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令和元年度前期「初年次セミナーⅠ」

1.受講生が取り組む授業時間外学習の週平均時間

   ○学習時間内での取り組む態度と時間数はかなり関係していると思う。テキストの内容

     はどちらかというと文系の色合いが強いと思うが、入学時の学力なのか学部学科で理

     解度も異なるようである。

 ○2~3時間、3~4時間という回答も数名からは得られたものの、多くは30分から1時

  間もしくは1時間から1時間半にとどまっており、十分といえるものではなかった。

  授業時間外の学習課題に対してどの水準まで取り組むかは学生次第になるため、課題

  の量を増やすより、その学習項目が現在あるいは今後の学習生活にどのような意味を

  持つかを伝えるようにしていきたい。

 ○最低1時間毎週学習に取り組まないと、単位認定が厳しそう。この客観的事実を受講

      生に示しつつ、学習時間を適正なもの(1.5-3.0時間程度)に持っていきたい。

 ○本授業では、ラーニングコモンズ内の授業時間外学習サポートに行くように促したり、

      拡大オフィスアワーとして、私の研究室で直接レポートの相談会を行ったりした。実

      際に複数の学生が、授業時間外学習サポートに何度も通ったり、拡大オフィスアワー

      を利用したりした。学生は、これらの学習機会を利用しながら、質の高いレポートを

      作成したことが予想され、必然的に授業時間外学習も多くなったと考えられる。

 ○初年次セミナーを担当して難しいと感じているのは、クラスの雰囲気作りである。初

      年次セミナーに取り組む意義を伝えたいし、また教育効果を上げていきたいとも努力

      しているのだが、特定の受講生の端から何も受け付けない態度、意図的とも思えるや

      る気の無さの表明などから、クラス全体の雰囲気が悪くなるケースがある。これが影

      響していると考えてるのであるが、クラス間でアンケート結果に大きな差が生じている。

 

2.受講生が実感する学習成果

 ○欠席割合も以前の学生より増えているように思う。昨年と担当学部が変わったが、学

      部間の意識(モチベーション)の差は大きいように思う。前期は、レポート作成が主

      であるので、テーマにこだわらず、学部学科(個別)に応じた内容のレポート作成を

      指導した方が学習効果はあると思う。

 ○担当した2クラスを比較すると歴然とするが、学習時間と実感する学習成果には良い

      相関関係が見られる。

 ○授業では、マニュアル通りの進行をするだけでは不足があると感じた点について、

   (1)事前・事後課題(宿題)を見直し、別課題を実施

   (2)教科書以外の参考資料を提示・配付

   (3)授業内容の組み替え(順番の入れ替え)を実施

     などのデザインの変更を行った。これらは、学生に「レポートを書くスキル」、「論

     理的に考えるスキル」の獲得を強く意識しながら行った。この点を踏まえると、デザ

     インの変更が、学生にとっても有意義なものであったと評価することができる。

 ○端から何も受け入れない、初年次セミナーなんて時間の無駄だというような態度を示

      す受講生が僅かにおり、こうした拒否の態度を示す受講生にどうアプローチするのか

      が課題になってきているように感じる。

 

3.授業時間中における講義内容に対する自主的な考察・取り組み

 ○理系の学生はコンピューターによるデータ処理では、文系の学生を引っ張っていたり、

      文系の読解力が必要なときは文系の学生が主導したりと、それなりの複合学部混合の

      効果はあった。

 ○図表を自力で作成するのが困難な学生も少なくない。また、1回の授業で図表作成と

      その説明及び考察の仕方の両方を扱うのは時間的にも厳しい。こうしたことから、図

      表作成は「情報活用」で扱うか、授業外に回すかして、この授業では説明及び考察に

      特化した方が良いのではないかと感じた。図表作成ではなく説明及び考察を選択した

      のは、後期に扱う事実と意見とを区別して記述することにつながるためである。

 ○グループ学習を取り入れているので、必然的に自主的な考察・取り組みを行う機会が

      増える。しかし、一部グループ討論にうまく入れていなかった受講生もいた。これら

      学生に対しては声を掛けるなり、manabaを使った個別指導を行おうと思う。

 ○本クラスでは、学生間でニックネームで呼び合う取組みを行った。自身で呼ばれたい

      ニックネームを設定し、それらを使って呼び合うことで、人間関係をより築きやすい

      雰囲気になるよう働きかけた。本クラスではアカデミックスキルの獲得はもちろんの

      こと、大学での心理的安心感の源となる友人関係を構築してもらうことで、今後の学

      生生活の充実につなげてもらえたらと思う。

 ○初年次教育では協働教育のスタイルが求められていると考えている。よって、初年次

      教育を担当する教員として新たに求められている能力にファシリテーション・スキル

      が挙げられるとも考えている。他の先生の授業スタイルを参考にしたり、ファシリテ

      ーション・スキルを書籍から身につけようと努力しているところであり、少しはその

      効果が現れてきたのではないだろうか。ただ、前の項目で触れたような端から拒否す

      る受講生を動機づけるまでには至っていない。

 

4.授業に対する総合的評価や受講生から指摘された点

 ○「とても良かった」と「おおむね良かった」の合計で回答数の69%を占めていた。

      良かった点として、「レポートの書き方が学べた」、「グループワーク」、「教科書

      をすべて通った点」などが挙げられていた。また、改善が求められる点として、「基

      礎的なことが多くて少しつまらなかった」、「教科書の不備」、「クラスによって評

      価や授業の大変さが違う」などが挙げられていた。

   ○グループで相談する際、講義中に黙っていたり、人任せで知らんぷりということはな

     いよう気を配った。それぞれが自分の考えを発表するときは、かなり努力していたと

     思う。 全員に発表させるのは時間が足りない。先生の話が少し長いという学生がいた。

 ○クラスによって授業に対する動機付けや満足感に開きがあるようである。学部学科混

      成クラスにおけるこの様な差を生じさせた理由として、特に今回は片方のクラスで休

      講・補講が一部実施して授業スケジュールが乱れたことに対する不満だと考えられる。 

 ○(a)レポートのテーマの自由度に関して

      ■寄せられた意見

      ・テーマはやりたいものをさせるべきだ。

      ・レポートのテーマはもっと自由に決めさせてもらいたかった。

      ・レポートのテーマを個人で決められたら良いなと思います。

      ■授業担当者としての所見

両クラスともに、レポートの大テーマを全員参加のグループワークで決定した後、自

身がどのテーマに属したいかを基準に、学生間で協議しながらグループ分けを行った。

その際、グループメンバー数の上限を決めた。そのため、第一希望のグループに所属

できなかった学生が複数名存在した。

テーマの自由度に関しては、昨年度の実績をもとに今回の形式を採用した。昨年度の

実績より、(1) 自由度が高すぎることで、いつまでもテーマが決まらない学生が複数

名存在したこと、(2) 自由度が高いことが良いレポートを書くことに直結しない。

言い換えると、レポートの質はテーマに依存せず、早めにレポートに取りかかること

で、十分な検討時間を確保することができ、質の高いレポートを作成することができ

るなどの点を考慮し、今回の形式を採用した。

学生には、「授業だより:特別編」にてこの説明を行い、来年度以降は、今年度のレ

ポートの質などを分析しながら総合的に決定を行うことをフィードバックした。

      (b)演習課題と講義のバランスについて

      ■寄せられた意見

  ・説明を聞いているだけでは眠くなってしまうこともあるので、ワークシートにメモ

         欄を大きめに創ってメモしながら話を聞く形式の授業が良いのでは?

      ・無理やり90分やろうとしなくもて良いと思う。

      ・ミニッツペーパーを書く時間をもう少し残して欲しいです。

      ■授業担当者としての所見

      私が記録した授業メモ内にも、予定よりも講義が長かったり、ミニッツペーパーを記

      入する時間が確保できていなかったりする授業回が複数回あった。学生から寄せられ

      た改善点も考慮し、2019年度・後期より以下の点を改善した。

      ・ワークシート内に「メモ欄」を追記

       →ワークシートに新たに「メモ欄」を設けた。メモ欄は、授業中に自由に記入して良

      いことを学生に伝えた。ワークシートは、授業支援ボックスでスキャンし、授業後概

      ね24時間以内にmanabaに掲載した。これによりメモ欄は、眠気対策のような表面的

      な取り組みに留まらず、実際のノートとして機能し、学生はいつでも、どこでもmana

      baから見返すことができるようになった。

      ・時間の確保について

      →ミニッツペーパーを記入する十分な確保できなかった理由として、予定より演習時

      間が伸びてしまい、その分を授業終了までリカバリできなかったことが挙げられる。

      この点を考慮しながら、授業内でも、予定より演習時間が延びた場合の対応について

      事前にシミュレーションを行うようにした。

      実際に、第2回で演習課題の解説の時間がとれなかったため、解説を次週に回すなど

      の対応をとり、時間の調整を行った。

     (C)グループワークの多様性について

      ■寄せられた意見

      ・特定の人ばかりだったので、もう少し他の人と話し合いをしたかった。

      ・他のテーマを持ったグループとも交流や意見交換があって良いと思った。

      ■授業担当者としての所見

      前期に実施したグループワークは、グループ内での討論を中心に実施した。横断的な

      グループワークが行われなかったため、後期は「ジグソー法」を取り入れて、グルー

      プ内で検討した内容を、他グループに向けて解説を行うような活動を導入した(例え

      ば、第2回)。今後も積極的に導入していく予定である。

 ○授業に対して平均的な評価をしてくれたクラスと、かなり高く評価してくれたクラス

     とに分かれている。前述のように、クラスの雰囲気作りが影響しているのではないか。

     根拠には乏しいが、学部での入門的専門教育の内容と重複しているなどから、特定学

     部の学生が不満感を抱いているような気もしている。また、「グループワークがしや

     すかった」と比較的多くの受講生が回答してくれているが、これはファシリテーショ

     ン・スキルが少し効いているのではないか。さらに、本年度の初年次セミナーは、前

     期と後期の内容がやや重複していると考えており、ならばと前期のうちに後期の授業

     内容についても簡単に触れるようにしたのだが、これに対する高評価が返ってきてい

     る。ただ、後期の冗長性が逆に増すため、適切であったかどうかは後ほど検証したい。

     最後に、1名から「評価基準が事前に示された内容と違う」とのコメントが来ている。

     マニュアルにはルーブリック(に近い表)が掲載されていることから、受講生にはそ

     れらを印刷して配布している。ルーブリックは公表していなければ意味がないと考え

     ているためである。ただ、ルーブリックが評価対象ごとに複数存在していること、評

     価数値が書き込まれていないこと(よって、厳密にはルーブリックではない)、ルー

     ブリックには明記されていない要素を加味することがあること等が原因であると思わ

     れる。もう少し様子を見て、改善の必要性を判断したい。

 

5.その他

 ○学生に対するフィードバックがどれくらい効果的なのかを把握しておきたい。フィー

      ドバックはある程度効果があるはずだが、授業負担増加の主要因にもなっている。学

      生の自主学習・自己研鑽を奨励するが、アドバイスを与えるべき学生を放置する訳に

      もいかない。どういう学生に対してアドバイスを重点的に与えるべきかを、今後見極

      めていきたい。

 ○初年次教育に関与する教員を対象としたFD研修として、ファシリテーション・スキル

      研修が重要ではないか。初年次セミナーは小集団で学生が相互研鑽するという工夫さ

      れた授業スタイルとなっており、授業担当教員のファシリテーション・スキルの向上

      は有効だと考えている。

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