鹿児島大学 鹿児島大学高等教育研究開発センター

専任教員ブログ

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生成系AIの利用と大学での学び

 森です。

 ChatGPTなどの生成系AIに関するニュースを目にすることが多くなりました。大学も例外ではなく、学生にどのように向き合ってもらうのか?教職員の利用はどのようにするべきか?といった検討が各大学で進んでいます。
 本学でも、5月9日に「鹿児島大学における生成系AIの利用について
https://www.kagoshima-u.ac.jp/information/2023/05/post-1828.html)」声明が出されました。

 こういったテクノロジの進歩は大学での学びを考える上で、大きな転機になり得ます。現時点では、データが古いことや、誤りもあることなど多くの問題点も指摘されていますが、これらの改善・解消は時間の問題でもあります。こう考えると「いちいち調べるよりChatGPTに聞いた方が早い」という状況になったり、ChatGPTと対話しながらアイデアを練ったりする人が多く出てくることは容易に想像できます。そのような世の中で大学生は何をどのように学び、それを社会でどう応用したり、発揮したりしていけば良いのでしょうか?

 例えば、早稲田大学は
「生成AIなどの利用について https://www.waseda.jp/top/news/89507 において、
ーーー 答えのない問題に取り組み徹底的に考え自分なりの答えを導くことができる「たくましい知性」を鍛え、人種、国籍、宗教、民族、言語、性別、性的指向などが異なる多様な人々を尊重し共感して様々な問題の解決に協働できる「しなやかな感性」を育む ーーー
のように、学生に育んで欲しい能力をベースに生成系AIの利用についての声明を出しています。

 このほかに、大阪大学「生成AI(Generative AI)の利用について」
https://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2023/04/17001
以下のような学びの意義を踏まえて作成された声明もあります。
ーーー 高等教育の意義は、さまざまな情報を活用し、自らの考えを創り上げ、さらには、自らと異なる意見や考えに耳を傾けて、人と人との対話を通して独創的な考え方やアイデアを生み出すところにあります。 ーーー

 これらの大学の事例からも分かるように、大学での生成系AIの利用は「学生にどう成長して欲しいか?」といったことや、「学生自身がどのように学び、どのように成長したいと思っているのか?」を踏まえなければ検討することはできません。そして、先述のような学びを支援するためには、学生自身が学びを振り返ることが非常に重要な活動の1つとして挙げられます。

 学生自身がどのように成長したいか?を自分なりに考え、その目標を達成するために自分は何をやっていて、今どのぐらいのレベルなのか?そして、これからどのようなことにチャレンジしなければならないか?このようなことを学生が個人で検討しながら、ChatGPTのようなテクノロジ・システムはもちろん、他者などとの関わりを自ら考える必要があるでしょう。また、大学はそのための支援がより重要になると言えます。

 これらは学習ポートフォリオやキャリア形成支援など様々な文脈で行われてきました。本センターでも、関係の部署と連携しながら、これらの支援を加速させていくために動き出しています。少しでも多くの学生が、鹿児島大学で学びを糧に羽ばたいていってもらえるようにと考えています。

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