水産学研究科の大学院生が新種や日本未記録の魚を発見・命名

　水産学研究科の大学院生で、総合研究博物館で研究を行っている修士1年の藤原恭司さんと萬代あゆみさんが、これまで日本から記録がなかった魚を鹿児島の海から発見、命名しました。

 

　藤原さんは、ホタルジャコ科のセダカヒメスミクイウオ（新称）、タイ科のイワツキクロダイ（新称）、ハタ科のキオビイズハナダイ（新称）の3種に新しい標準和名をつけました。セダカヒメスミクイウオは東シナ海の水深58 m、イワツキクロダイは笠沙の水深27 m、キオビイズハナダイは草垣群島、三島村黒島、トカラ列島、奄美大島の水深180～360 mから採集されました。

 

　萬代さんは、ヤマトシビレエイ科のツキミシビレエイ（新称）に新しい標準和名をつけました。ツキミシビレエイは東シナ海を含む南日本の水深141～435 mから採集されました。同時にシビレエイの仲間の「科（属と種の上位の分類単位）」の再編に着目し、タイワンシビレエイ属が含まれる科に対し、新和名タイワンシビレエイ科、ヤマトシビレエイ属が含まれる科に対し、新和名ヤマトシビレエイ科を提唱しました。

 

Fujiwara, K., U. B. Alama, M. Okamoto and H. Motomura. 2017. First records of the acropomatid fish (Teleostei: Perciformes), Parascombrops yamanouei, from Japan and the Philippines. Biogeography, 19: 85-92.

 

藤原恭司・伊東正英・本村浩之．2017．鹿児島県から得られた日本初記録のタイ科魚類Acanthopagrus taiwanensisイワツキクロダイ（新称）．魚類学雑誌，64 (2): 107-112.

 

藤原恭司・田代郷国・高山真由美・瀬能　宏・本村浩之．2017．ハタ科イズハナダイ属魚類Plectranthias sheniの日本からの記録と適用すべき標準和名の検討．魚類学雑誌，64 (2): 121-129.

 

萬代あゆみ・松沼瑞樹・本村浩之．2017．日本初記録のヤマトシビレエイ科魚類ツキミシビレエイ（新称）Tetronarce formosaと本種の標徴に関する新知見，および近縁種との形態比較．魚類学雑誌，64 (2): 157-170.

 

　また、水産学研究科2年で、総合研究博物館で研究を行っているクント・ウィボウさんは、スズメダイ科のオヤビッチャに近縁な種の有効性を確認し、シリテンスズメダイと命名しました。加えて、ガラパゴス諸島沖で有人潜水艦によって採集されたフサカサゴ科の魚を新種と証明し、命名しました。

 

Wibowo, K., M. Toda and H. Motomura. 2017. Validity of Abudefduf caudobimaculatus Okada and Ikeda 1939 and synonymies of Abudefduf vaigiensis (Quoy and Gaimard 1824) (Perciformes: Pomacentridae). Ichthyological Research, doi 10.1007/s10228-017-0594-3

 

Wibowo, K. and H. Motomura. 2017. A new species of the deepwater scorpionfish genus Phenacoscorpius (Teleostei: Scorpaenidae) from the Galápagos Islands. Zootaxa, 4323 (2): 261-268.

 

　この他にも鹿児島大学卒業生と総合研究博物館の研究チームによって、最近3カ月の間に、日本や東南アジア、オーストラリアから、キホウボウ科、ハタ科、スズメダイ科、トラギス科などの魚類8新種が発見・発表されました。

 

【関連ページ】

http://www.museum.kagoshima-u.ac.jp/staff/motomura/motomura.html

 

①セダカヒメスミクイウオ	②キオビイズハナダイ	③イワツキクロダイ
④ツキミシビレエイ	⑤カンザシスズメダイ	⑥Sacura sanguinea
⑦Phenacoscorpius mccoskeri

 

鹿児島周辺海域から発見された魚たち

最近発見された新種の魚たち