トップページトピックス【連合農学研究科】未知の深海性カサゴ2種を約100年ぶりに別種と同定、「スミクイアカカサゴ」、「アズキカサゴ」と命名

【連合農学研究科】未知の深海性カサゴ2種を約100年ぶりに別種と同定、「スミクイアカカサゴ」、「アズキカサゴ」と命名

[記事掲載日:21.03.03]

 大学院連合農学研究科3年の和田英敏さんは、深海域に生息するシロカサゴ科魚類Lythrichthys longimanus(リスリイクチス・ロンギマヌス)とLythrichthys cypho(リスリイクチス・サイフォ)の2種を鹿児島県の薩摩半島沖から新たに発見し、リスリイクチス・ロンギマヌスは口内が墨を塗ったように黒いことから「スミクイアカカサゴ」、リスリイクチス・サイフォは小型で赤い体色をもつことから「アズキカサゴ」と命名しました。
 
 今回の発見は、笠沙町在住の漁業者である伊東正英さんが和田さんの指導教員である鹿児島大学総合研究博物館の本村浩之教授にこの2種を標本として寄贈したことが、きっかけとなったもの。
 
 これら2種はこれまで外見のよく似るアカカサゴ(学名:Lythrichthys eulabesリスリイクチス・ユーラベス)と混同され、100年近く同種と考えられていました。しかし、これらが鱗の特徴や口内の色彩などの外見的特徴に加え、遺伝子の特徴が大きく異なることから、それぞれが別種であり、日本をふくむ西太平洋の深海域に広く分布していることを明らかにしました。
 また、和田さんはこれら2種とは別に、同論文中でオーストラリア近海から深海性カサゴの2新種も報告しています。
 カサゴの仲間はどの種もとても似ていて識別することが難しいグループであり多くの分類学的な問題を抱えているため、今後の更なる研究の進展が期待されます。
 
 
 この研究の成果をまとめた論文は、日本魚類学会が発行する英文誌Ichthyological Research(イクチオロジカル・リサーチ)で2021年2月19日に出版されました。
 
Wada, H., Kai, Y. and Motomura, H. 2021. Revision of the resurrected deepwater scorpionfish genus Lythrichthys Jordan and Starks 1904 (Setarchidae), with descriptions of two new species. Ichthyological Research, doi.org/10.1007/s1022 8-020-00793 -z
 
 
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アズキカサゴ Lythrichthys cypho(鹿児島大学総合研究博物館所蔵)
 
 
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スミクイアカカサゴ Lythrichthys longimanus(京都大学所蔵)
 
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