【博物館・連合農学研究科】実体不明のエソ科魚類、実は新種だった!「ハレギエソ」と命名
[記事掲載日:25.05.20]
本学総合研究博物館と大学院連合農学研究科の研究チームは、南日本から得られた標本に基づき、エソ科アカエソ属の新種Synodus lautus(シノダス ラウタス)を記載し、標準和名として「ハレギエソ」を提唱しました。学名は本種の「華やか」を意味し、和名は本種の色彩が特別な日に着る服である「晴れ着」を連想させることに因んでいます。
これまで本種はハワイ諸島に分布するSynodus usitatus(シノダス ウシタタス;和名ウシエソ)と同種とされており、1938年に採集された三重県産の1標本のみが知られていました。しかし、ハワイ諸島産標本と三重県産標本ならびに新たに入手した日本産標本を比較したところ、前鼻孔皮弁の形や頭部の形態、尾鰭の模様などが異なることから別種と判断されました。これにより、Synodus lautusは日本のみに、Synodus usitatusはハワイ諸島のみにそれぞれ分布することがわかりました。
Synodus lautusは日本固有種であると考えられ、静岡県から東シナ海と御蔵島の沖合の水深60~200メートルに生息し、釣りや底曳網漁によって合計11個体が得られています。
本研究の成果は、日本魚類学会が発行する英文誌Ichthyological Researchにて2025年5月16日に公開されました。今回使用された標本(タイプシリーズ)は、鹿児島大学総合研究博物館・京都大学総合博物館・高知大学・和歌山県立自然博物館・神奈川県立生命の星・地球博物館に収蔵されています。
【掲載論文】A new species of Synodus from southern Japan, with a redescription of Synodus usitatus Cressey 1981 (Teleostei: Aulopiformes: Synodontidae)
【著者名】Ryusei Furuhashi and Hiroyuki Motomura
【掲載誌】Ichthyological Research (Online First)
【DOI】https://doi.org/10.1007/s10228-025-01025-y
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(生鮮時のSynodus lautus(ハレギエソ)のホロタイプ(標準体長142.1 mm:静岡県産))