トップページトピックス【理工研】ヒトとマウスに共通して作用する「腸管指向性・完全ヒト抗体」の創出に成功

【理工研】ヒトとマウスに共通して作用する「腸管指向性・完全ヒト抗体」の創出に成功

[記事掲載日:25.07.29]

  • topics-SDGs-03(すべての人に健康と福祉を)
  • topics-SDGs-04(質の高い教育をみんなに)
  • topics-SDGs-17(パートナーシップで目標を達成しよう)

20250729kyoudounews00.jpg



 理工学研究科(理学系)の伊東 祐二教授、鳥取大学大学院医学系研究科の飛知和 弦輝 大学院生、香月 康宏教授、東京薬科大学の冨塚 一磨教授らの共同研究グループは、独自の抗体創出プラットフォーム技術を用いて、腸疾患の有望な標的タンパク質「Glycoprotein A33 (GPA33)」に対し、ヒトとマウスに共通して作用する新規の完全ヒト抗体の作製に成功しました。

 これまで、GPA33 を標的とする抗体の開発においては、マウスとヒトの「種の壁」により、動物モデルで得られたデータによってヒトでの治療効果を予測することが困難でした。同研究グループは、独自の染色体工学技術により作製した完全ヒト抗体産生動物と、膨大な候補から目的の抗体を効率的に選び出すファージディスプレイ技術を組み合わせることで、この課題の解決に取り組みました。

 作製された抗体は、ヒトとマウス、ラット3種のGPA33 に共通して高い結合性を示し、マウス体内では標的である腸組織へ顕著に集積することが確認されました。本研究成果は、GPA33 を標的とする医薬品開発を大きく加速させることが期待されます。

 なお、本研究成果は、「Biomedicine & Pharmacotherapy」誌で2025年7月15日(日本時間)、オンライン公開されました。

 研究の詳細は、こちらよりご覧ください。


【論文タイトル】
Targeting of bowel tissue by fully human antibodies cross-reactive with human and mouse GPA33 antigen"
(ヒトおよびマウス GPA33 に交差反応する完全ヒト抗体による腸組織への指向化)

【論文著者名】
Genki Hichiwa, Abdur Rafique, Asaki Nagashima, Yayan Wang, Kanako Kazuki, Ryohei Ogihara, Muhammad Feisal Jatnika, Ryosuke Shimamoto, Yumi Iwai, Narumi Uno, Hiroyuki Satofuka, Kazuma Tomizuka*, Yuji Ito**, Yasuhiro Kazuki***
*,**, ***:責任著者

【雑誌名】
Biomedicine & Pharmacotherapy

【DOI】
10.1016/j.biopha.2025.118336