トップページトピックス【近現代セ】令和8年春のシンポジウム「伊佐の近現代/未来 これまでの百年とこれからの100年」を実施
【近現代セ】令和8年春のシンポジウム「伊佐の近現代/未来 これまでの百年とこれからの100年」を実施
[記事掲載日:26.03.31]

3月20日、鹿児島大学法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センターは、鹿児島県立大口高等学校との共催、伊佐市の後援のもと、令和8年春のシンポジウム「伊佐の近現代/未来 これまでの百年とこれからの100年」を菱刈環境改善センターにて開催しました。
鹿児島県北部に位置する伊佐市は、1980年に38,000人いた人口が2020年には24,000人へと減少するなど、著しい人口減少に直面しています。本シンポジウムは、昭和元年から100年の節目を機に、これまでの歩みを振り返りながら伊佐の未来像を共有するという趣旨のもと企画したものです。
「鹿児島の近現代」教育研究センターの丹羽 謙治センター長による主催者挨拶に続き、第1部では大口高等学校の吉満 庄司校長にご登壇いただき、「近現代における伊佐の繁栄〜牛尾金山、曽木発電所、国鉄山野線、そして大口高校を切り口に〜」と題した講演を行いました。吉満氏からは、かつての繁栄を支えた産業やインフラについて詳細な解説があり、参加者は地元への愛着や豊かな観光資源に対する理解を深めました。
第2部では、「伊佐の<未来>」をテーマにしたトークセッションを行いました。まず、話題提供として日髙 優介特任助教から「統計から見える伊佐の<現在>」と題して現在の伊佐市をとりまく各データが示されました。出生数の減少や、県内ワーストとなる空き家率、農業従事者の高齢化といった厳しい現実が浮き彫りになる一方、昼夜間人口比率が99.3%と「独立した経済圏・生活圏」を保っている強みや、高収益化による産業の可能性も指摘され、その後の議論の客観的な共通の土台となりました。
このデータを受け、松田 忠大教授の司会のもと、多彩なパネリストによる白熱した意見交換が行われました。
伊佐市の橋本 欣也市長をはじめ、猩々農園株式会社の猩々 由美子取締役、伊佐アシスト合同会社の井ノ原 大成代表といった地域で活躍する方々に加え、大口高等学校2年の林 優希さん、本学大学院1年の山中 雪嘉さんといった若い世代が登壇し、行政、農業、ITベンチャー、そして次世代を担う高校生・大学院生という多様な視点が交差しました。
伊佐の良い所、伊佐の課題、伊佐の未来に向けて自分ができること、鹿児島大学に期待することといったトピックからは、自然の豊かさや都会にはない独自の魅力が浮かび上がってきたものの、それを外部へ効果的に発信していく上での課題も明らかになりました。トークセッションでは伊佐の課題を「伸びしろ」と捉え直し、皆が笑顔になる未来に向けた具体的なアイデアが多く共有されました。
最後に主催者を代表して吉満大口高等学校校長から挨拶が行われ、「ない」ものを嘆くのではなく、「ある」もので闘っていくことの重要性が述べられ、鹿児島大学が地域の人々と歩むことへの期待が語られました。
過去から現在、そして未来へとつながる伊佐の100年を考える本シンポジウムは、133名の参加者が地域への思いを一つにする有意義な機会となり、盛況のうちに幕を閉じました。ご来場いただいた皆様、後援いただきました伊佐市に御礼申し上げます。
講演を行う吉満大口高等学校校長

トークセッションの様子