トップページお知らせ【島嶼研】第252回研究会のご案内(薩南諸島における山川石製墓石の研究)

【島嶼研】第252回研究会のご案内(薩南諸島における山川石製墓石の研究)

[25.10.07]

 国際島嶼教育研究センターでは第252回研究会を開催いたしますのでお知らせします。
詳細は以下をご覧ください。

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【詳細】
日時:令和7年10月27日(月)16時30分~18時
会場:総合教育研究棟5階 国際島嶼教育研究センター会議室およびオンライン(Zoom)
演題:薩南諸島における山川石製墓石の研究
講師:松﨑大嗣(指宿市教育委員会生涯学習課)

【要旨】
「山川石」とは、指宿市山川福元周辺でとれる黄色凝灰岩である。軟らかく、加工が容易で風化に強いことから石材として古くから利用されてきた。なかでも15世紀からは島津家当主墓の石材として伝統的に用いられ、「藩主専用の墓石」として理解されることもあった。しかし、これまで山川石製墓石の分布や生産体制、製作技術といった考古学的側面からの研究アプローチは少なく、その実態は不明であった。加えて、指宿市の今和泉島津家では、山川石と類似した黄色凝灰岩「池田石」を用いていることが近年の調査成果によって明らかとなり、階層性をもった石材利用も想定されるようになった。そのようななか、薩南諸島において、山川石製墓石が数多く流通していること、とりわけ島役人によって大型の山川石製墓石が建立されていることもわかってきた。薩南諸島に山川石製墓石が流通する背景には、鹿児島藩港として琉球貿易の窓口として機能した山川港の存在が考えられるが、具体的な流通網や商業活動の実態はわかっていない。そこで本発表では、研究の基礎となる分布調査を報告したうえで、今後の研究の方向性を模索したい。

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(屋久島町栗生墓地の山川石製墓石)

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(徳之島伊仙町松山墓地の山川石製墓石)