トップページトピックス:教育・学生水産学部4年生が日本初記録のベラ科魚類にイトヒキオハグロベラと命名

水産学部4年生が日本初記録のベラ科魚類にイトヒキオハグロベラと命名

[記事掲載日:22.02.09]

  • topics-SDGs-14
  • topics-SDGs-15
 総合研究博物館の研究チームは、ベラ科オハグロベラ属の一種Pteragogus flagellifer(プテラゴグス・フラジェリファ)を日本からの標本に基づく記録として報告しました。本種はインド・西太平洋の熱帯域に広く分布することが知られていましたが、日本では屋久島や沖縄島などから水中写真(写真1)が撮影されているのみで、同定の根拠となる標本は得られていませんでした(注1)。

 2004年1月25日に沖縄島から採集された個体(写真2)を調査し、その結果はオンライン査読誌Ichthy, Natural History of Fishes of Japanで2022年2月2日に出版されました。筆頭著者である水産学部4年の飯野 友香さんは、国内におけるオハグロベラ属魚類に関する水中写真による記録からP. flagelliferの国内の分布状況を明らかにすると共に、本種には適用されるべき和名がないことをつきとめました。そこで飯野さんは、日本に分布するオハグロベラ属魚類の中でも成魚において背鰭や臀鰭が特に伸長することに因み、新標準和名イトヒキオハグロベラを提唱しました。
 日本産イトヒキオハグロベラの唯一の標本は総合研究博物館に学術標本として所蔵されています。

注1:すべての生物は標本に基づき名前(和名も学名も)が付けられます。目撃情報や写真に基づく命名はできません。命名に使用された標本は博物館で永久保管されます。

20220209bera01.jpg
(写真1)イトヒキオハグロベラの水中写真
(屋久島ダイビングサービス「もりとうみ」原崎 森氏撮影)

20220209bera02.jpg
(写真2)標準和名イトヒキオハグロベラの基準となった標本
(鹿児島大学総合研究博物館所蔵)


【タイトル】
ベラ科魚類Pteragogus flagelliferイトヒキオハグロベラ(新称)の標本に基づく日本からの初記録,および国内における分布状況
【著者】
飯野 友香・本村 浩之
【掲載誌】
Ichthy, Natural History of Fishes of Japan
【DOI】
【関連ページ】
総合研究博物館 本村浩之教授 ホームページ