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喜界町・鹿児島大学 防災シンポジウム「喜界町の津波防災を考える―鹿児島大学学生による現地調査からの提言-」を開催

[記事掲載日:24.03.01]

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 2月15日に喜界町役場 多目的室において、喜界町・鹿児島大学 防災シンポジウム「喜界町の津波防災を考える―鹿児島大学学生による現地調査からの提言-」が開催され、喜界町の役場職員や地域住民など、計87名が参加しました。
 本学学生4人と授業担当教員が喜界町でフィールドワークを通じてまとめたデータや課題を指摘し、その解決案などを提言しました。総合討論では、町担当者や区長、フロアの方々と意見を交わし、喜界町の地域性に応じた津波からの避難行動や防災対策等を考えました。

 なお、本シンポジウムは、令和5年度アイランドキャンパス事業(鹿児島県離島振興協議会)「喜界町の地区防災計画・個別避難計画の策定に係るフィールドワーク-鹿児島大学高度共通教育科目『地域防災演習』による地域貢献-」の成果発表会に位置づけられます。
 
 開会にあたり、喜界町の隈崎 悦男町長 ならびに本学の武隈 晃 理事・副学長(教育担当)から主催者挨拶がありました。

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(隈崎喜界町長の挨拶)



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(武隈理事・副学長(教育担当)の挨拶 (オンラインZoomで参加))



 続いて、岩船昌起教授(総合教育機構共通教育センター)から、基調講演および趣旨説明が行われました。令和6年能登半島地震や東日本大震災等、過去の自然災害での被災の状況を振り返ると、事前に備えが大事であること、今回のシンポジウムでは、2021年から岩船教授が実施してきた喜界町での研究テーマ等を学生が分担して現地調査を行い、得られたデータに基づいて提言すること等が述べられました。

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(岩船教授による趣旨説明の様子)



 学生発表では、「上嘉鉄の津波避難経路を検討する」「測量結果から佐手久での津波避難を考える」「喜界町指定避難所の収容人数を再考する」の3件が報告されました。

 理学部2年の梶原こころさんは、上嘉鉄集落内の避難経路において、震度7の激震で塀や家屋の崩れる可能性を指摘し、その可能性が高い場所を把握することや、車で通行できない可能性も視野に入れた徒歩等での避難行動の事前立案を提案しました。

 工学部2年の𡈽谷晃輝さんは、岩船教授と佐手久で行った測量結果が、距離約2㎞間で約10㎜の誤差で、信頼性が高いにもかかわらず、地理院地図の等高線(補助曲線)5mと約5m程度異なることや、喜界町の標高掲示板と数m異なる場合もあることを報告しました。津波避難の基本となる標高について、提示する各機関で検証が必要なことを説きました。

 法文学部4年の川越日香里さん、工学部3年の豊嶋美結さんは、指定避難所27箇所および福祉避難所4箇所の収容可能人数を再考しました。県コロナ対応避難所収容基準「1人あたりの個人占有空間4㎡+通路1m」では収容可能人数740人(全町民11%)が、「2㎡+通路0.5m」で1957人(30%)となることを提示し、感染症の有無や、テント利用や車中泊、要配慮者の生活も考慮し、避難所ごとの運営マニュアル作成の必要性を提言しました。

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(学生発表の様子)



 総合討論では、阿見 隆之名瀬測候所地域防災官が喜界島沖地震で津波が襲来する場合を想定しての気象庁警報等の発出のあり方を報告し、上嘉鉄や早町の区長や、町総務課防災財産チーム担当者、町保健福祉課包括保健チーム担当者らも加わり、地震・津波災害への備えについて意見を交わしました。今回得られたデータは、再検証が必要なものもありますが、基本的に、喜界町の地域防災計画にそのまま反映させることができるものであること、避難計画等、災害への備える仕組みは、町の防災、保健担当者を中心に、区長や集落で取り組み、訓練等を通じてPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを繰り返して醸成していくべきこと等が確認されました。

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(総合討論会の様子)



 最後に、閉会挨拶として、吉沢 伸一喜界町総務課長により、喜界町と鹿児島大学との防災にかかわる取り組みの発展が祈念されつつ、シンポジウムが締めくくられました。