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稲盛アカデミー主催による、第32回京都賞受賞者を囲む鹿児島コロキウムを開催

[16.12.01]

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 京都賞は京セラ株式会社名誉会長の稲盛和夫氏により設立された稲盛財団が運営し、科学や文明の発展と人類の精神的深化高揚に著しく貢献した人々に贈られる国際賞で、本年の第32回受賞者は、先端技術部門(情報科学)に金出武雄博士(ロボット工学者 カーネギーメロン大学ワイタカー記念全学教授)、基礎科学部門(生命科学)に本庶佑博士(医学者 京都大学名誉教授)、思想・芸術部門にマーサ・クレイヴン・ヌスバウム博士(哲学者 シカゴ大学エルンスト・フロインド法学・倫理学特別功労教授)の3名が選ばれました。
 
 鹿児島大学では京都賞受賞者鹿児島講演会に先立ち、11月15日に、部門ごとに受賞者を囲み、教員と大学院生が学術的交流を目的に討論や意見交換を行う会(鹿児島コロキウム)を開催しました。
 先端技術部門では、渡邊睦教授(工学部長)が進行役となり、川﨑洋理工学研究科教授、小野智司理工学研究科准教授、大学院生5名が参加しました。金出博士はコンピュータビジョンのロボティクス分野への革新的な応用技術として、車の自動運転、仮想化現実技術を実装したEye Vision、スマートヘッドライトの研究などをされており、鹿児島大学からは、①「複数ロボットの協調による物体モデリングに関する研究」、②「複数プロジェクタの同時投影により複数の任意形状に異なるパターンを表現するプロジェクションマッピング」、③「動物体の3次元計測システム-ハイスピード計測と水中計測応用事例-」を紹介し、それぞれに貴重なアドバイスを頂くことが出来ました。
 
 基礎科学部門では、原博満医歯学総合研究科教授が進行役となり、石塚賢治医歯学総合研究科附属難治ウイルス病態制御研究センター教授、伊藤祐二理工学研究科教授、大学院生3名が参加して、本庶博士より、免疫細胞で働く様々な分子の一つであるPD-1の発見が、新しいがん免疫療法の道を開くに至る研究の苦労話と取り組む姿勢や考え方について伺いました。研究者の心構えとして、「これまで知りたいと思うことをやってきた。何かの役に立つと思って研究を始めたことはない。興味を持ち、勇気を持ってチャレンジすること(3C: curiosity, challenge, courage)が大事。生物学は橋を掛けたり、ロケットを飛ばすような力学計算で想定できる仕事とは違う。生物学の歴史上の大発見は全て想定外のこと。失敗はつきもので、とにかく沢山の種をまくことが必要。多くの若者が科学を志す体制を日本は整備すべき」とのアドバイスを頂きました。
 
 思想・芸術部門では、新名隆志教育学系准教授が進行役となり、平井一臣法文学系教授(副学長)、柴田健志法文学系教授、森田豊子グローバルセンター特任准教授、大学院生2名が参加し、議論を通して博士の思想に深く触れることが出来ました。その一つは、今回のアメリカ大統領選挙は、今のアメリカ社会を反映したものであり、アメリカ社会が多くの矛盾を抱え、また危機的な状況に直面しているけれども、そのことによってアメリカ社会が有する民主主義の潜在力とでもいうべきものへの信頼と期待について伺うことが出来ました。また日本における男女平等についての話題では、女性は現状をあまり気にすることなくのびのびと考え行動することが重要とのコメントがありました。大学院生から、日本では人文社会科学への評価が低く就職は非常に厳しいが、アメリカではどうかとの質問に、アメリカでは哲学を勉強してこそ、発想力、創造力が豊かな人間として高く評価を得ることが出来るとのお話を頂きました。
 
 それぞれの分野で最高峰に位置する受賞者と直接議論が出来たことは、鹿児島コロキウム参加者にとって大きな財産となりました。特に大学院生は、受賞者が研究を通じて築き上げてきた人生観や世界観にも触れることができ、短い時間ではありましたが貴重な体験の場となりました。
 
(写真:意見交換会の様子)