トップページトピックス理工学研究科 内海俊樹教授らがM&E2019年度論文賞を受賞

理工学研究科 内海俊樹教授らがM&E2019年度論文賞を受賞

[記事掲載日:20.09.23]

 理工学研究科理学専攻の内海 俊樹教授らの論文が、Most Valuable Paper of the year 2019 in Microbes and Environments に選ばれました。
 
 Microbes and Environments は、日本微生物生態学会、日本土壌微生物学会、台湾微生物生態学会、植物微生物研究会、極限環境微生物学会が共同編集している国際誌であり、2019年に掲載された54報のオリジナル論文の中から、内海教授らの論文に論文賞が授与されました。
 
 受賞の対象となった論文のタイトルと著者は以下の通りで、同誌の34巻2号に掲載されました。
 
■タイトル:
“Antimicrobial Activities of Cysteine-rich Peptides Specific to Bacteriocytes of the Pea Aphid Acyrthosiphon pisum”
■著者:
Nahoko UCHI, Mitsutaka FUKUDOME, Narumi NOZAKI, Miyuzu SUZUKI, Ken-ichi OSUKI, Shuji SHIGENOBU, Toshiki UCHIUMI

[受賞論文のダウンロードはこちら

 

 この論文は、エンドウヒゲナガアブラムシの菌細胞でのみ発現するシステインに富んだペプチド(BCRペプチド)に関する論文で、基礎生物学研究所・重信教授との共同研究の成果です。エンドウヒゲナガアブラムシの菌細胞の中には、ブフネラという細菌が細胞内共生しており、アブラムシの旺盛な繁殖力を支えています。内海教授は、マメ科植物の根粒内に存在するシステインに富んだペプチド(NCRペプチド)が、マメ科植物と根粒菌の共生に必須であることを明らかにしていました(Science, 2010)。受賞論文では、化学合成した6種のBCRペプチドが抗菌活性を示したり、細胞膜の選択透過性を喪失させるなど、NCRペプチドと非常によく似た活性を有することを明らかにし、動物であるアブラムシが、マメ科植物と同じように、システインに富んだBCRペプチドを共生細菌であるブフネラの制御に用いている可能性を示しました。

 

▼異なる共生系のよく似たペプチド
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 この研究成果は、動物と植物の垣根を超えた「生物間相互作用の統合的な理解への扉を開くエキサイティングな仕事である。」と非常に高い評価を受けました。
 
 本賞受賞理由については、こちら(和文英文)をご覧ください。
 本研究の簡単な紹介はこちらをご覧ください。
 
 本来なら、日本微生物生態学会第34回大会(2020年9月14日〜17日,新潟)にて授賞式と受賞講演が実施される予定でしたが、新型コロナの影響で開催中止となりました。受賞講演は、11月中旬以降に、オンラインにて開催される予定です。