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【博物館】オニダルマオコゼ属としては半世紀ぶりの新種発見

[記事掲載日:21.07.08]

 総合研究博物館、近畿大学、サバ大学ボルネオ海洋研究所(※)の研究チームは、マレーシアのボルネオ島とインドネシアのフローレス島からオニオコゼ科オニダルマオコゼ属Synanceia(シナンセイア)の新種を発見しました。

 
 本新種は腹鰭に「5本」の軟条を有し、前鰓蓋骨棘が「5本」あることが特徴です。そのため、ラテン語で「5」を示すquinque(クインク)と命名されました。
 
 Synanceia quinque(シナンセイア・クインク)(写真1)は、棘に猛毒を有するオニダルマオコゼ(写真2)と同じ属の魚で、本新種にも強い毒があると考えられます。オニダルマオコゼは体長40 cmに達する大型種ですが、Synanceia quinqueは10 cm以下の小型種です。
 
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写真1.新種Synanceia quinque(シナンセイア・クインク)
 
 
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写真2.日本にも生息するオニダルマオコゼ
 
 
 オニダルマオコゼ属には現在6種が知られており、1766年(明和3年)に記載されたツノダルマオコゼS. horridaが最も古く、最後は1973年(昭和48年)に記載された種でした。本研究はオニダルマオコゼ属としては半世紀ぶりの新種発見となりました。
 
 本研究の成果は日本魚類学会が発行する英文誌「Ichthyological Research(イクチオロジカル・リサーチ)」のオンライン版に2021年7月5日付けで掲載されました。
 
 Synanceia quinqueは東南アジアの浅い海に広く分布すると思われますが、生息数は少なく(現在2個体のみが知られている)、詳しい生態も分かっていません。今後のさらなる研究と保全が必要です。
 
 
 ※サバ大学は鹿児島大学の大学間学術交流協定校です。
 
 

 

【論文情報】


<タイトル>
 Synanceia quinque, a new species of stonefish (Synanceiidae) from Borneo and Flores. 
<著者名>
Matsunuma, M., B. M. Manjaji-Matsumoto and H. Motomura. 
<雑誌>
Ichthyological Research(イクチオロジカル・リサーチ)
<DOI>
 

 
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