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【水産】アカオビハナダイの興味深い繁殖生態が明らかに!

[記事掲載日:21.09.15]

 このたび水産学部水圏科学分野久米元研究室では、東京海洋大学との共同研究によりアカオビハナダイの興味深い繁殖生態を明らかにしました。

 

 アカオビハナダイはダイバーに人気の高い美しい外観をもつハタ科の小型種で、通常は水深の深い岩礁域に低密度で生息しています。鹿児島湾では桜島を中心とした水深の浅い岩礁・サンゴ礁域に高密度で生息し、スクーバダイビングにより容易に観察することができます。
 これまで本種は一夫多妻のハレムを形成し、雌から雄へと性転換する雌性先熟の繁殖様式をもつ(monandric species)と考えられてきました。私達の研究室では鹿児島湾でスクーバ潜水により毎月定期的に標本を採集し、生殖腺の組織学的観察を行いました。その結果、本種は全ての個体が精巣と卵巣が混在するBisexual phaseを経由し、その後性成熟すること、また、雌として産卵を経験する前に雄に性分化する一次雄と、産卵後に雄へと性転換する二次雄が存在する(diandric species)ことが明らかとなりました。
 以上の結果は、本種が単純な一夫多妻ではなく、複雑な社会構造をもつ可能性を強く示しており、個体数密度が極めて高い鹿児島湾にのみ特有の現象なのかもしれません。また、魚類を含む脊椎動物の性の進化について考える上で貴重な知見となります。
 なお、この研究成果は、9月18日から20日に開催される日本魚類学会年会(ウェブ大会)で発表予定です。
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