トップページトピックス【博物館・農林水産学研究科】ミミズハゼ属の新種を発見、シラヌイミミズハゼと命名

【博物館・農林水産学研究科】ミミズハゼ属の新種を発見、シラヌイミミズハゼと命名

[記事掲載日:22.05.20]

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 総合研究博物館の研究チームは、四国から奄美大島にかけて生息するミミズハゼ属魚類の新種をシラヌイミミズハゼLuciogobius punctilineatus(ルシオゴビウス プンクティリネアタス)として記載しました。種小名punctilineatusは体側中央にある1本の点線模様に因んだもので、新標準和名のシラヌイはこの模様が蜃気楼現象としての不知火を連想することに因みます。本研究の成果は、ニュージーランドの国際誌Zootaxa(ズータクサ)に2022年5月17日に掲載されました。

 ミミズハゼ属魚類はその名の通り細長い体をしたハゼの仲間で、海岸などに堆積した礫の隙間に潜り込んで生活します。シラヌイミミズハゼは腹鰭が吸盤状、胸鰭の鰭膜後縁が浅く切れ込む、肛門から臀鰭起部の距離が長い、体側中央に小黒斑が1本の点線状に並ぶことなどによって特徴付けられます。本種は現在のところ徳島県、高知県、鹿児島県本土、下甑島、種子島、屋久島、奄美大島に生息することが確認されました。主な生息地は河川河口域と隣接した礫浜海岸に点在する淡水の滲出部付近であり、きわめて特異的な環境を好むことが分かりました。また、本種の繁殖期は概ね春から初夏にかけてと推定されました。

 シラヌイミミズハゼを含め、ミミズハゼ属魚類の多くは種ごとに限られた環境にのみ生息するため、今後のさらなる研究成果に基づく生息環境の保全が求められます。
 シラヌイミミズハゼと同定された36標本(標準体長1.2~3.3 cm)はすべて総合研究博物館に所蔵されています。

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シラヌイミミズハゼのホロタイプ(上段:生鮮時,中段:固定後)とパラタイプ(下段:生時)


【掲載論文】Luciogobius punctilineatus n. sp., a new earthworm goby from southern Japan
【著者】Koreeda, R. and Motomura, H.
【掲載誌】Zootaxa,5138巻2号137-151頁
【DOI】10.11646/zootaxa.5138.2.2

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