トップページトピックス【博物館】日本初記録となるアナゴ科魚類のレプトセファルス幼生を確認、「ナンヨウオキアナゴ」と命名

【博物館】日本初記録となるアナゴ科魚類のレプトセファルス幼生を確認、「ナンヨウオキアナゴ」と命名

[記事掲載日:22.06.08]

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 総合研究博物館の研究チームは、アナゴ科オキアナゴ属魚類のCongriscus maldivensis(コングリスカス・モルディベンシス)のレプトセファルス幼生を形態学的・遺伝学的特徴に基づき日本から初めて確認し、新標準和名「ナンヨウオキアナゴ」を提唱しました。
 ナンヨウオキアナゴを含めたオキアナゴ属魚類のレプトセファルス幼生は、同科他属と比較して大きくなることが知られており、本研究で報告された個体も全長が15cm以上にもなる大きな個体でした。

 本研究で報告されたナンヨウオキアナゴのレプトセファルス幼生は、2021年9月に鹿児島県三島村黒島沖の水深400 mから、タカエビ漁の混獲物として漁獲されました。その後笠沙町で漁業を営まれている伊東 正英さんのご協力の元、鹿児島大学総合研究博物館に寄贈されました。本種はインド・太平洋の熱帯域に広く分布しています。これまで本種の分布の北限はフィリピンでしたが、本研究により北限が1300 kmも更新されました。
 本研究で得られた個体は、黒潮の影響により偶発的に輸送された可能性が高いと考えられます。ナンヨウオキアナゴは深海に生息することから、分布や産卵場など不明な部分も多いため、今後の更なる研究の進展が期待されます。


20220608nanyouoki.jpgナンヨウオキアナゴCongriscus maldivensisの写真(鹿児島大学総合研究博物館所蔵)



【掲載論文】
大隅諸島黒島沖から得られた日本初記録のアナゴ科Congriscus maldivensisナンヨウオキアナゴ(新称)の葉形仔魚
【著者】
望月 健太郎・伊東 正英・本村 浩之
【掲載誌】
魚類学雑誌
【DOI】
10.11369/jji.22-009(7 pp)

【関連ページ】
総合研究博物館 本村 浩之教授ホームページ