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宇検村・鹿児島大学防災ワークショップを開催

[記事掲載日:23.03.27]

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 3月11日、宇検村生涯学習センター「元気の出る館」において、宇検村・鹿児島大学ワークショップ「宇検村湯湾での個別避難計画を考える~奄美群島総合防災研究会でのモデルとして」(主催:宇検村・本学、後援:鹿児島県大島支庁、奄美市、大和村、瀬戸内町、龍郷町、喜界町、名瀬測候所)を開催しました。湯湾集落での避難行動要支援者の個別避難計画を、個人情報を扱いつつ具体的に考える会の性格から、参加者は消防団員、介護福祉等関係者、総務課および保健福祉課職員等の宇検村民中心に50名程度が会場に集まり、オンラインでは、後援の市町村関係者が視聴しました。

 開会の主催者挨拶において、宇検村の元山公知村長は、海に面する集落が多い宇検村で台風高潮や津波への備えが必要であることは、奄美群島での共通の課題でもあり、有事には、県大島支庁、奄美群島北部自治体、名瀬測候所等、地域で連携・対応していくことの必要性について説明されました。また、地域の防災力を高めるには住民間の相互理解が重要であり、今回のような機会が大事であること等を述べられました。
 その後、後援団体を代表した挨拶にて、鹿児島県大島支庁の新川 康枝支庁長は、個別避難計画において地域住民による共助が重要であることを指摘され、ワークショップ等の直接的な働きかけで、奄美群島の地域住民の防災意識の向上が図られることを期待されました。


20230327bousai001.jpg宇検村 元山村長の開会挨拶

20230327bousai002.jpg鹿児島県大島支庁 新川支庁長の挨拶


 続いて、宇検村保健福祉課の保枝 力人課長から、ワークショップ開催の趣旨説明にて、特に、消防団、福祉関係者、行政が共に考え、宇検村での今後連携を深めることの重要性が強調されました。

 ワークショップ前には、参加者の基礎知識を高めるために、2つの報告がなされました。
 1つ目の報告では、共通教育センターの岩船 昌起教授が「宇検村での個別避難計画の独自性」と題して、日本国内および鹿児島県内で個別避難計画策定にかかわる概要と課題を指摘し、これらの課題等を克服できる、宇検村で策定中の個別避難計画の特長等について解説しました。
 2つ目の報告では、宇検村保健福祉課の浅尾 晋也保健師が「宇検村での避難行動要支援者の状況」と題して、宇検村での個別避難計画の策定状況、集落ごとの避難行動要支援者数の概要、ワークショップ対象となる湯湾での避難行動要支援者の状態像等について説明しました。


20230327bousai003.jpg岩船教授による報告


 ワークショップでは、救助・避難支援にかかわる消防団員、日常的に避難行動支援者の生活を支える介護・福祉関係者、防災にかかわる総務課職員、福祉等にかかわる保健福祉課職員が混ざり合うように、1班当たり5~7人で、6班を構成しました。班ごとに1人の避難行動要支援者の避難のあり方について、また避難行動要支援者をどの順番で避難支援・搬送を行えばよいかについて議論を行い、各班ごとに発表し、会場全体で情報共有しました。
 宇検村湯湾では、難病患者等、避難に多数の支援者が必要な方は現段階ではいないものの、避難行動要支援者全員が効率的に避難でき、かつ支援者が殉職しないための避難支援の手順を確認し、宇検村での防災事業にかかわる取り組みは今後、他の奄美群島や鹿児島県内自治体でも参考になるものであることがまとめられました。


20230327bousai004.jpgワークショップにて班の議論を見守る本学教職員

20230327bousai005.jpgワークショップにて班の議論を見守る名瀬測候所職員


 最後に、主催者による閉会挨拶として、岩井 久理事(企画・社会連携)は、ワークショップ開催日が3月11日であることから、東日本大震災を回顧し、その時の犠牲者・被災者に心を寄せつつ、災害弱者を支援する共助の大切さについてコメントし、同ワークショップにより地域防災力がより一層向上することへの期待を述べました。また本学としても今後、防災に限らずより総合的・継続的に、宇検村の地域づくりに貢献していくとの目標を強調して、シンポジウムを締めくくりました。


20230327bousai006.jpg岩井理事の閉会挨拶


※なお、本ワークショップは、避難行動要支援者の個人情報を扱う性格であることから、事前の宣伝を控えて、支援にかかわる宇検村関係者と、後援の行政関係者等の参加に限って実施しました。