トップページトピックス【理工】酵素を利用してナイロンをモノマーへと完全分解することに成功! ~これまで廃棄されていたナイロンをケミカルリサイクルする基盤技術となり得る成果~
【理工】酵素を利用してナイロンをモノマーへと完全分解することに成功! ~これまで廃棄されていたナイロンをケミカルリサイクルする基盤技術となり得る成果~
[記事掲載日:25.02.20]
プラスチックの一種であるナイロンは、耐熱性・耐薬品性に優れており、衣類や自動車部品など我々の身の回りの様々な素材・製品に利用されています。しかし難分解性で生分解を受けないため使用後の環境負荷問題が顕在化しており、また効果的なリサイクル方法も確立されていません。
今回、理工学研究科の白石雄樹氏(博士後期課程学生)と加藤太一郎准教授(化学プログラム)を中心とする研究グループは、兵庫県立大学の根来誠司名誉教授と共同で、難分解性のナイロンを酵素(Nyl series)を利用して原料であるモノマーへと完全分解する方法を開発しました。
Nyl seriesは、研究グループが1970年代に発見したナイロンオリゴマーを分解・資化可能な微生物から得た独自のナイロン加水分解酵素群です。ただしこれらの酵素は高分子量のナイロンに対して微弱な分解活性しか示さず、そのままナイロン製品の分解に利用することはできませんでした。今回の検討で著者らは、高分子量のナイロンを簡便な化学的前処理に供することで水溶性化し、ここへ酵素(Nyl series)を作用させれば加水分解効率が劇的に向上することを明らかにし、最終的にモノマーへと完全分解する方法を確立することができました。これまでリサイクルが困難で廃棄・焼却処分されてきたナイロンを効果的に再利用するための基盤技術となり得る画期的な研究成果です。
(今回の研究で確立した方法を利用してナイロン製品の一つである漁網に対するモノマー化を行った検討結果)
この研究成果は、オープンアクセスの国際科学雑誌「PLOS One」に2025年2月11日に掲載(https://doi.org/10.1371/journal.pone.0318641)され、同日のKKB鹿児島放送のニュース「NEWS+おやっと!」(https://news.yahoo.co.jp/articles/4ec95c0837d486250ef8a1e40db70ea7bda061be)と、2月14日付けの南日本新聞朝刊にて報道されました。
詳細は、本学のプレスリリースのページをご参照ください。
参照URL : https://www.kagoshima-u.ac.jp/about/250207release.pdf