トップページトピックス【理工研】人為的な移入が東京のゲンジボタルの地域的な遺伝構造をかく乱~ミトコンドリアDNA解析から判明~

【理工研】人為的な移入が東京のゲンジボタルの地域的な遺伝構造をかく乱~ミトコンドリアDNA解析から判明~

[記事掲載日:26.09.10]

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 理工学研究科の加藤 太一郎教授(理学専攻化学プログラム)の研究グループは、明星大学、国際基督教大学、佐賀大学と共同で、全国164個体群、全1,109個体のミトコンドリアDNA配列を解析・比較しました。全国では東本州、西本州・四国、九州に対応する3つの主要なミトコンドリア系統が確認されました。一方、東京では70%超の個体群が地域外系統由来のハプロタイプを含んでいました。これは東京の生息地では、多くの場所で東京由来とは異なる地域を起源とするホタルが共存していることを示しています。論文は、まれな自然分散だけでは説明しにくく、繰り返しの人為的な国内移入(domestic translocation)が最も簡潔な説明であると結論づけています。20260910hotaru01.png

研究概要

 ゲンジボタル(Nipponoluciola cruciate)は日本固有種で、本州・四国・九州と周辺の島々に分布しています。地域によって求愛時のオスの発光間隔が異なり、東本州で約4秒、西本州・四国・九州で約2秒と言われています。分布の境界はおおむねフォッサマグナに対応しており、東本州、西本州・四国、九州に対応する3つの主要な遺伝系統が知られています。

 ところが、東京では環境再生事業や催事などに伴って全国各地から頻繁にゲンジボタルが移入されてきたとみられています。また、それを裏付けるようにたびたび西日本に特徴的な遺伝系統の個体が見つかっていました。しかし、その分布を全国規模のDNA解析にて網羅的に追跡した例はなく、本当に人為的な移入(domestic translocation)が行われてきたかは明確ではありませんでした。

 今回、理工学研究科の加藤 太一郎教授(理学専攻化学プログラム)の研究グループは、明星大学、国際基督教大学、佐賀大学と共同で、全国164個体群、全1,109個体のミトコンドリアDNA配列を解析・比較しました。その結果、東京の生息地では、70%を超える場所で東京とは異なる地域を起源とするホタルが混在していることが分かりました。一方、他の地域では東京に匹敵するレベルの混在は認められませんでした。このことから、他の地域と比べて、東京ではホタルの人為的な移入が頻繁に行われてきたことが明確になりました。今後は、交雑などの遺伝的かく乱が生じているかどうかを全ゲノムレベルで解析する計画です。

 この研究成果は、オープンアクセスの国際科学雑誌「Conservation Genetics」に2026年8月20日に掲載(https://doi.org/10.1371/journal.pone.0318641)されました。

 詳細は、本学のプレスリリースのページをご参照ください。

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