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第33回京都賞受賞者を囲む鹿児島コロキウムを開催

[記事掲載日:17.11.29]

 京都賞受賞者鹿児島講演会に先立ち、11月15日に部門ごとの受賞者を囲む鹿児島コロキウム(鹿児島大学主催)を鹿児島市内のホテルで開催しました。
 
 三村髙志博士(半導体工学者 株式会社富士通研究所名誉フェロー)受賞の先端技術部門では、福島誠治理工学研究科教授が進行役となり、前島圭剛理工学研究科准教授及び大学院生2名が参加しました。福島教授から電気電子工学専攻の教育体制、研究体制の紹介と三村博士の研究分野に近い分野の概要説明があり、それに続き①ZnOの半導体薄膜や透明導電膜の研究(前島准教授)、②2周波同時入力における高調波制御によるデュアルバンド整流器の高効率化(濱野皓志さん(大学院生))、③超小型人工衛星地球局用RoFシステムにおける波長分散低減(上薗知宜さん(大学院生))を発表し、三村博士から研究成果に対する評価や他機関との共同研究に対するアドバイスを頂きました。
 
 グレアム・ファーカー博士(植物生理学者 オーストラリア国立大学特別教授)受賞の基礎科学部門では、鈴木英治理工学研究科教授・グローバルセンター長が進行役となり、志水勝好農学系教授、相場慎一郎理工学研究科准教授及び大学院生1名が参加しました。最初に相場准教授が、キナバル山の熱帯雨林の植物生産力が気温と土壌の違いに影響されていることについてプレゼンし、ファーカー博士からは「とても面白いし重要な研究」とのコメントを頂きました。次に大学院生の福留光拳さんがミヤコグサに共生する根粒菌について報告し、ファーカー博士からは「最終的な目標を明確に持つことが大切」との温かいアドバイスを頂きました。また研究者の心構えとして「根気よく長く続けることが大事ですよ」とのアドバイスを下さいました。
 
 リチャード・タラスキン博士(音楽学者 カリフォルニア大学バークレー校名誉教授)受賞の思想・芸術部門では、梅林郁子教育学系准教授が進行役となり、梁川英俊法文学系教授及び教育学研究科の大学院生等3名(山下玲海さん、湯浅菜摘さん、馬場添有紀さん)が参加し、議論を通して博士の音楽・音楽史に対する知見に深く触れることが出来ました。音楽の意味は客観と主観のインタラクションによって生まれ、人によって異なるというタラスキン博士の見解について伺うことができ、博士ご自身は音楽歴史学者として、「音楽は何を意味するのか」ではなく、「音楽はどういった意味を表したのか」についてものを語るというお話を頂きました。また、ショパン音楽のエディションの選択や民族音楽の西洋音楽史での位置づけ、音楽とセンサーシップについて語っていただきました。
 
 各分野最高峰の受賞者と直接議論が出来たことは、鹿児島コロキウム参加者にとって大きな財産となりました。特に大学院生は、受賞者が研究を通じて築き上げてきた人生観や世界観にも触れることができ、貴重な体験の場となりました。
 
 
(写真上:先端技術部門(エレクトロニクス) 三村 髙志博士)
(写真中:基礎科学部門(生物科学) グレアム・ファーカー博士)
(写真下:思想・芸術部門(音楽) リチャード・タラスキン博士)
 

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