【研究成果】「香り」が不安を軽減する脳の仕組みを発見
[記事掲載日:18.10.24]
「香り」が不安を軽減する脳の仕組みを発見
~リナロール香気は嗅覚を介して不安軽減効果を生み出す~
本学大学院医歯学総合研究科統合分子生理学の柏谷英樹講師、桑木共之教授らの研究グループは、大学院医歯学総合研究科侵襲制御学 原田浩輝助教、上村裕一教授らとの共同研究により、「香り」による抗不安効果及びその基盤となる脳神経回路を発見しました。
古来より、香気の抗不安作用は広く知られており、民間療法として用いられてきました。しかしながら香気分子が『香り』として本当に抗不安作用をもたらすのか?もし本当であるなら、どのような脳の仕組みで不安を和らげてくれるのか?は長らく不明でした。
本研究では不安を和らげる作用(抗不安作用)があると考えられているラベンダー香気に着目し、その主要香気成分の一つであるリナロールという香気分子の抗不安効果を検証しました。その結果、リナロールの香りを嗅がせると確かに不安様行動が減り、抗不安作用が確認できました。この効果は嗅覚を遮断してしまうと消失することから、『香り』により抗不安効果が現れることが明らかになりました。さらに抗不安薬として現在臨床で用いられるベンゾジアゼピン系薬剤が作用する神経経路をリナロール香気が活性化することで抗不安効果が現れることが明らかになりました。本研究で用いられたリナロール香気刺激ではベンゾジアゼピン系薬剤でしばしば問題となる運動障害が見られないため、より安全な抗不安薬開発につながることが期待されます。
本研究の成果は、オンライン科学雑誌「Frontiers in Behavioral Neuroscience」(10月23日付)に掲載されました。
古来より、香気の抗不安作用は広く知られており、民間療法として用いられてきました。しかしながら香気分子が『香り』として本当に抗不安作用をもたらすのか?もし本当であるなら、どのような脳の仕組みで不安を和らげてくれるのか?は長らく不明でした。
本研究では不安を和らげる作用(抗不安作用)があると考えられているラベンダー香気に着目し、その主要香気成分の一つであるリナロールという香気分子の抗不安効果を検証しました。その結果、リナロールの香りを嗅がせると確かに不安様行動が減り、抗不安作用が確認できました。この効果は嗅覚を遮断してしまうと消失することから、『香り』により抗不安効果が現れることが明らかになりました。さらに抗不安薬として現在臨床で用いられるベンゾジアゼピン系薬剤が作用する神経経路をリナロール香気が活性化することで抗不安効果が現れることが明らかになりました。本研究で用いられたリナロール香気刺激ではベンゾジアゼピン系薬剤でしばしば問題となる運動障害が見られないため、より安全な抗不安薬開発につながることが期待されます。
本研究の成果は、オンライン科学雑誌「Frontiers in Behavioral Neuroscience」(10月23日付)に掲載されました。
Hiroki Harada, Hideki Kashiwadani, Yuichi Kanmura, Tomoyuki Kuwaki, Linalool odor-induced anxiolytic effects in mice, Frontiers in Behavioral Neuroscience (2018), doi: 10.3389/fnbeh.2018.00241
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnbeh.2018.00241/
また、本研究成果はアメリカ科学振興協会(AAAS)のニュースサイト(EurekAlert!)の他、The New York Timesなど各国メディアでも取り上げられ、広く世界に発信されました。
また、本研究成果はアメリカ科学振興協会(AAAS)のニュースサイト(EurekAlert!)の他、The New York Timesなど各国メディアでも取り上げられ、広く世界に発信されました。
https://www.eurekalert.org/
鹿児島大学大学院医歯学域医学系統合分子生理学
講師 柏谷 英樹(カシワダニ ヒデキ)