トップページトピックス【研究成果:総合研究博物館】総合研究博物館と沖永良部島のダイビングショップがピグミーシーホース2種を日本初確認~カクレタツノコとユリタツノコと命名

【研究成果:総合研究博物館】総合研究博物館と沖永良部島のダイビングショップがピグミーシーホース2種を日本初確認~カクレタツノコとユリタツノコと命名

[記事掲載日:20.03.02]

 鹿児島大学総合研究博物館とGTダイバーズ沖永良部島は2020年3月2日付けで、沖永良部島の魚類目録(英文)を出版しました。沖永良部島の魚類相はほとんど調べられておらず、今回、6回延べ100人による調査を実施しました。その結果、標本や写真に基づき、637種の魚が確認されました。このうち、361種が沖永良部島から初めて記録されたものです。さらに、そのうちの2種は日本初記録でした。
 
 これら2種はヨウジウオ科タツノオトシゴ属のなかでも体長2 cmほどの小型種で、一般的にはピグミーシーホースと呼ばれる仲間に含まれます。Hippocampus denise(ヒポカンパス デニセ)(写真1, 2)は沖永良部島の沖合水深38 mから発見されました。採集された個体は体長24 mmのメスで、尾でつかまっていたサンゴの色に合わせて、あざやかなオレンジ色でした。色に加え、体表に瘤を有し、サンゴにうまく擬態しています。とても見つけずらいことから、カクレタツノコ(隠れ竜の子)と命名されました。もう一種のHippocampus pontohi(ヒポカンパス ポントアイ)(写真3~5)は水深15 mの海底から2個体(体長22 mmのオスと体長17 mmのメス)が採集されました。こちらは海藻に擬態しているのか、水の流れに合わせて体をユラユラと揺らしていることから、ユリタツノコ(揺り竜の子)と命名されました。
 
 これら2種のピグミーシーホースは主に東南アジアなどの熱帯域に生息しており、沖永良部島は分布の北限にあたります。観賞魚としても人気がある魚ですが、北限の個体群を守るためには保全活動が期待されます。
 
 日本産カクレタツノコとユリタツノコの標本は鹿児島大学総合研究博物館に学術標本として所蔵されています。本研究の成果は鹿児島大学総合研究博物館が発行する研究報告に掲載されました。
 
Motomura, H. and K. Uehara. 2020. An annotated checklist of marine and freshwater fishes of Okinoerabu Island in the Amami Islands, Kagoshima, southern Japan, with 361 new records. Bulletin of the Kagoshima University Museum, 12: 1-125.
 
 
【関連ページ】
 総合研究博物館 本村浩之教授 ホームページ
 
 総合研究博物館研究報告No. 12のダウンロード
 
 ユリタツノコの水中動画(上原航知氏撮影)
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video1, video2, video3, video4, video5
 
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写真1 カクレタツノコの標本 体長24 mm(鹿児島大学総合研究博物館所蔵)
 
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写真2 カクレタツノコとサンゴの水中写真(上原航知氏撮影)
 
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写真3 ユリタツノコの標本 体長17 mm(鹿児島大学総合研究博物館所蔵)
 
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写真4 ユリタツノコの標本 体長22 mm(鹿児島大学総合研究博物館所蔵)
 
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写真5 ユリタツノコの水中写真(上原航知氏撮影)