トップページトピックス【博物館】水産学部4年生、名前がなかったベラの仲間にキツネオハグロベラと命名

【博物館】水産学部4年生、名前がなかったベラの仲間にキツネオハグロベラと命名

[記事掲載日:21.06.23]

 総合研究博物館の研究チームはベラ科オハグロベラ属の一種Pteragogus enneacanthus(プテラゴグス・エネアカンサス)を日本産標本に基づく初記録として報告しました。本種はインド・西太平洋の熱帯域に広く分布することが知られていましたが、日本では大隅諸島や沖縄諸島などから水中写真が撮影されているのみで、同定の根拠となる標本は得られていませんでした(注1)。
 
 筆頭著者である水産学部4年の飯野友香さんは、国内におけるオハグロベラ属魚類に関する記録を調査することによって、P. enneacanthusの国内の分布状況を明らかにすると共に、本種には適用されるべき和名がないことをつきとめました。さらに、2014年12月に屋久島から、2016年10月に口永良部島から採集された未同定標本をP. enneacanthusと同定しました。
 
 飯野さんは、背側の濃い狐色と腹側の白色縦帯がキツネの体色を連想させることに因み、新標準和名キツネオハグロベラを提唱しました。本研究の成果は総合研究博物館が発行する査読付き和文誌Ichthy(イクチィ)で2021年6月23日に出版されました。
 
 日本産キツネオハグロベラの2標本は鹿児島大学総合研究博物館に学術標本として所蔵されています。
 
 
飯野友香・本村浩之.2021.ベラ科魚類Pteragogus enneacanthusキツネオハグロベラ(新称)の標本に基づく日本からの初記録,および国内における分布状況.Ichthy, Natural History of Fishes of Japan, 9: 21-26 (doi: 10.34583/ichthy.9.0_21).
 
注1:すべての生きものは標本に基づき名前(和名も学名も)が付けられます。目撃情報や写真に基づく命名はできません。命名に使用された標本は博物館で半永久的に保管されます。
 
 
210623_kitsuneohagurobera_museum.jpg
標準和名キツネオハグロベラの基準となった標本(鹿児島大学総合研究博物館所蔵)
 
 

【関連ページ】

総合研究博物館 本村浩之教授 ホームページはこちら