トップページトピックス【理工学】SNSアプリと深層学習による市民参加型プラスチックごみ画像収集プロジェクト

【理工学】SNSアプリと深層学習による市民参加型プラスチックごみ画像収集プロジェクト

[記事掲載日:22.01.31]

  • topics-SDGs-07(エネルギーをみんなに そしてクリーンに)
  • topics-SDGs-11(住み続けられるまちづくりを)
  • topics-SDGs-15(陸の豊かさも守ろう)

 本学大学院理工学研究科 加古 真一郎研究室と、国立大学法人九州大学(以下「九州大学」)、国立研究開発法人海洋研究開発機構(以下「JAMSTEC」)、株式会社ピリカ(東京都渋谷区、代表取締役:小嶌不二夫)は、共同でごみ拾いSNS「ピリカ」を活用して、ごみ散乱状況分析の実証実験を開始しました。

プロジェクト概要


 海に漂流・漂着するプラスチックごみの80%は陸起源と言われています。ただ、街中や海岸に捨てられたプラスチックごみの総量(個数や重量)や、これが海に流れ出ていく量を、実際に求めることは簡単ではありません。このたび、九州大学応用力学研究所の磯辺篤彦教授と、鹿児島大学学術研究院の加古真一郎准教授、そしてJAMSTEC付加価値情報創生部門の松岡大祐副主任研究員らの研究グループは、株式会社ピリカ(東京都渋谷区、代表取締役;小嶌不二夫)とともに、街中や海岸に捨てられたプラスチックごみの画像を収集し、総量の算定に取り組む市民参加型の研究プロジェクトを開始しました。本プロジェクトは2021年1月より2025年3月末まで実施予定で、ごみの散乱状況の現状を、市民参加型で継続的かつ定量的に調査を行う体制の構築を目指します。

 プロジェクトでは、株式会社ピリカの提供する無償のスマートフォン(スマホ)アプリであるごみ拾いSNS「ピリカ」の画像データを利用します。市民のみなさんが、アプリをインストールしたスマホで街や海岸のプラスチックごみを撮影すれば、これらの画像が日時や位置情報とともに、鹿児島大学やJAMSTECに送信されます。その画像データから、深層学習を用いてプラスチックごみを抽出し、ごみの種類(ペットボトル、レジ袋など)や被覆面積を自動判別する仕組みです。多くの画像データを集めることで、種類別のプラスチックごみ量の推算や、その時間変化の追跡に取り組みます。
 スマホアプリは株式会社ピリカのウェブサイト(https://sns.pirika.org)からダウンロードすることができます。現在の日本語版に加えて、2021年度末までにはタイ語版をリリースする予定です。
 この研究プロジェクトは、国際協力機構/科学技術振興機構のSATREPS助成(東南アジア海域における海洋プラスチック汚染研究の拠点形成[代表:磯辺])と、環境省環境研究総合推進費(海洋プラスチックごみに関わる動態・環境影響の体系的解明と計測手法の高度化に関する研究[代表:磯辺])の支援を受けています。

220128_ai_rikougaku_1.png

研究者から:
 市民の皆さん一人ひとりが、お手持ちのスマホを利用することで、海洋プラスチック研究に参加するプロジェクトです。得られた結果は株式会社ピリカ様のウェブサイトを通して、市民の皆様と共有いたします。市民参加で作成したビッグデータによって、研究の大きく前進することを期待しています。