トップページトピックス【博物館・農林水産】奄美大島から日本初記録となるハゼ科魚類を確認、モンロユカタハゼと命名

【博物館・農林水産】奄美大島から日本初記録となるハゼ科魚類を確認、モンロユカタハゼと命名

[記事掲載日:22.03.14]

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 鹿児島大学総合研究博物館と横須賀市立自然・人文博物館の研究チームはハゼ科ユカタハゼ属の一種Hazeus profusus(ハゼウス・プロフスス)を日本から初めて記録し、新標準和名としてモンロユカタハゼと命名しました。モンロ(紋絽)はユカタ(浴衣)を代表とする和服に用いられる織物の一種である「絽」に文様を織り出したもので、本種の明瞭な体の模様や孔器列がそれぞれ絽の文様と穴(絽目)を連想させることに因みます。本研究の成果は日本動物分類学会が発行する査読付き和文誌タクサで2022年3月1日に出版されました。
 Hazeus profususはフィリピン、インドネシア、パプアニューギニア、およびソロモン諸島で採集された標本に基づき、2021年に新種として記載されました。本種はこれまで日本国内における分布が確認されていませんでしたが、1999年に奄美大島の瀬戸内町沿岸から採集され、「ユカタハゼ属の一種」として博物館に所蔵されていた標本を調査したところ、本種であることが確認されました。
 本報告で使用された標本は内湾の水深5-30 mにかけて広がる急勾配の砂泥底斜面の水深10 m付近に単独でいたところを採集されました。また、これまで本種の分布の北限はフィリピンのルソン島でしたが、本研究により奄美大島における生息が確認されたため、本種の分布北限が1000 km以上も更新されました。

【掲載論文】奄美大島から得られた日本初記録のユカタハゼ属魚類モンロユカタハゼ(新称)

【著者】
古𣘺龍星・萩原清司・本村浩之

【掲載誌】日本動物分類学会誌タクサ,52: 32-36

【DOI】
10.19004/taxa.52.0_32

【関連ページ】
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モンロユカタハゼ(奄美大島産;萩原清司氏撮影)