トップページトピックス【博物館・農林水産学研究科】南さつま市から日本初記録のウツボ属魚類を確認、「チャイロウツボ」と命名

【博物館・農林水産学研究科】南さつま市から日本初記録のウツボ属魚類を確認、「チャイロウツボ」と命名

[記事掲載日:22.06.28]

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 総合研究博物館・農林水産学研究科・笠沙町漁業協同組合の研究チームは、2009年4月25日に鹿児島県南さつま市笠沙町の定置網に入網した1個体に基づき、ウツボ科ウツボ属の一種Gymnothorax pseudoprolatus(ジムノソラクス・シュードプロラタス)を日本から初めて記録し、本種の茶色い体色に因み、新標準和名「チャイロウツボ」を提唱しました。本種はこれまで台湾産の1標本のみが知られており、鹿児島県産の標本は世界で2個体目の記録となります。

 本研究の成果は、日本魚類学会が発行する魚類学雑誌電子版で2022年6月24日に出版されました。
 チャイロウツボは、体が細長く、一様に茶色であることから、同属のGymnothorax prolatusや、タケウツボ属魚類とよく似ていますが、上下顎歯の列数、頭部感覚管孔数、脊椎骨数、および肛門の位置によって、これらのウツボ科魚類と識別されます。また、本研究で行った遺伝子解析により、本種は遺伝的特徴によっても同科他種と区別できることが確認されました。チャイロウツボは他のウツボ科魚類と比較するとやや小型であり、これまで40cm程度の個体のみが知られています。成熟サイズや産卵時期を明らかにするための今後の追加標本に基づく調査が期待されます。


20220628utubo.jpgチャイロウツボの標本(体長41cm)(総合研究博物館所蔵)


【掲載論文】
鹿児島県から得られた日本初記録のウツボ科魚類Gymnothorax pseudoprolatusチャイロウツボ(新称)
【著者】
出羽優凪・伊東正英・本村浩之
【掲載誌】
魚類学雑誌
【DOI】
10.11369/jji.22-008

【関連ページ】
総合研究博物館 本村浩之教授ホームページ