トップページトピックス【博物館】琉球列島と台湾に分布する体長50cmに達する大型エソ科魚類の新種を発見

【博物館】琉球列島と台湾に分布する体長50cmに達する大型エソ科魚類の新種を発見

[記事掲載日:22.11.01]

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 鹿児島大学総合研究博物館とオーストラリアのノーザンテリトリー博物館・美術館の研究チームは、琉球列島と台湾から得られたエソ科マエソ属魚類を41標本(標準体長12~50cm)に基づき、Saurida fortis(サウリダ・フォルティス)ドロゾメエソ(新称)として新種記載しました。種小名fortisはラテン語で屈強や逞しいという意味をもち、本種の体が太く大きいことが由来です。一方、本種の体が黒ずむことから、タイプ産地である奄美大島の伝統工芸品、大島紬の製作過程のひとつである泥染めに因み、新標準和名としてドロゾメエソを提唱しました。本研究の成果は、2022年10月20日に日本魚類学会が発行した査読付き英文誌Ichthyological Research(イクチオロジカル リサーチ)電子版に掲載されました。

 ドロゾメエソは日本国内では奄美大島以南の琉球列島に分布し、水深40-180mのやや深い場所から釣りにより漁獲されています。これまで本種は同属のクロエソやワニエソと間違えられて奄美大島における分布が報告されていましたが、鱗の数や歯の形態、色彩、および遺伝的な特徴からこれら2種とは別種であることが確認されました。
 エソ科魚類は外見の特徴に乏しく識別が難しいため、まだまだ分類学的にたいへん混乱しています。本研究のような詳細な種の比較が行われることによって、そのような問題が解決されていくことが期待されます。


 本研究で使用したドロゾメエソの標本は鹿児島大学総合研究博物館、国立科学博物館、三重大学水産実験所、沖縄美ら島財団総合研究センター、台湾国立海洋生物博物館、およびノーザンテリトリー博物館・美術館に学術標本として所蔵されています。

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ドロゾメエソ(Saurida frotisのホロタイプ;総合研究博物館所蔵)


【論文】
2022. Saurida fortis, a new species of lizardfish (Aulopiformes: Synodontidae) from the northwestern Pacific Ocean. , doi:

【著者】
Furuhashi, R,. B. C. Russell and H. Motomura.

【掲載誌】
Ichthyological Research (20 Oct. 2022)

【DOI】
10.1007/s10228-022-00894-x

【関連ページ】
総合研究博物館 本村浩之教授 ホームページ