トップページトピックス法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センター設立記念シンポジウムを開催

法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センター設立記念シンポジウムを開催

[記事掲載日:22.12.14]

  • topics-SDGs-04(質の高い教育をみんなに)

 11月23日、法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センターは、稲盛会館にて設立記念シンポジウムを開催いたしました。タイトルは「鉱山の鹿児島~近代化を鉱山から読み解く~」。本センターの教育研究の中心である「近代化」を、鹿児島に多数あった「鉱山」との関係から考えようという試みです。

 シンポジウム前半の「講演」の部最初の講演では、鹿児島大学名誉教授の大木 公彦先生が、「地球からの贈り物 火山の恵み」と題して、鹿児島が鉱物資源に恵まれている理由や、鹿児島が昔から、錫や金だけでなく、鉄や硫黄、タングステンなど、多様な鉱物資源を持っていたことなどを解説しました。
 また、次の講演では、同じく鹿児島大学名誉教授である志賀 美英先生が、江戸時代、薩摩藩営として稼働していた複数の鉱山のうち、谷山地区の錫山鉱山に焦点を絞り、その成り立ちから藩政期の運営の仕組み、それが近代化の過程でどのように変化していったのかについて解説しました。

 第二部のパネルディスカッションでは、講師二人に尚古集成館の松尾 千歳館長も加わり、丹羽 謙治センター長の司会のもと、さらに話を進めました。薩摩藩の英国留学生は、鉱山開発の技術を学ぶ使命ももって派遣されたこと、島津 斉彬が生きていた時代に、すでに電気を使って発破をかけ、坑道を掘り進める実験が行われていたこと、谷山の錫山では嘉永6年(1853年)に新たな鉱床が見つかっているが、それよりも10年ほど前に、すでに薩摩にはイギリスやフランスが押しかけてきていたことから、当時の大砲に使う錫の鉱脈を見つけたのはおそらく偶然などではなく、探していたからだろうということなど、鉱山と近代化にまつわる様々な話を聞くことができました。
 また、パネルディスカッションの最後にはゲストとして、五代 友厚がその前身を設立した、大阪市立大学の同窓会メンバーである八木 孝昌先生が参加され、鉱山王と呼ばれた五代 友厚の取り組んだ公害対策と、北海道開拓使官有物払い下げ事件の真相究明と名誉回復活動についてご説明いただきました。
 パネリスト、ゲストの先生とも、熱心に話をされ、また会場からもご質問やご意見をいただき、切り上げるのが難しいほど充実したシンポジウムになりました。

 当日はWEBによる参加や当日参加も含めると、北は北海道から南は徳之島まで、130人余りの方にご参加いただきました。お忙しい中参加された皆様に感謝申し上げます。


20221214kingendai01.jpg 20221214kingendai02.jpg

佐野 輝学長挨拶(写真左)、松田 忠大法文学部長挨拶(写真右)


20221214kingendai03.jpg 20221214kingendai04.jpg

丹羽センター長挨拶(写真左)、大木先生講演の様子(写真右)

20221214kingendai05.jpg 20221214kingendai06.jpg

志賀先生講演の様子(写真左)、パネルディスカッションの様子(写真右)

20221214kingendai07.jpg 20221214kingendai08.jpg

ゲストとしてご登壇いただいた八木先生(写真左)、岩井 久理事挨拶 (写真右)