トップページトピックス【医歯研】第51回日本免疫学会学術集会ベストプレゼンテーション賞を受賞!

【医歯研】第51回日本免疫学会学術集会ベストプレゼンテーション賞を受賞!

[記事掲載日:23.02.28]

  • topics-SDGs-03(すべての人に健康と福祉を)
  • topics-SDGs-09(産業と技術革新の基盤を作ろう)

 12月7日から3日間、熊本城ホールで開催された第51回日本免疫学会学術集会において、大学院医歯学総合研究科免疫学分野(原 博満教授主宰)の笠松 純講師がベストプレゼンテーション賞を受賞しました。本賞は、その年の学術集会のワークショップ・ポスターの発表で最も優れたものを表彰するものです。笠松講師は、昨年に引き続き連続受賞となりました。

 受賞発表は、「The aryl hydrocarbon receptor instructs the immunomodulatory profile of a subset of Clec4a4+ eosinophils unique to the small intestine」です。好酸球は、寄生虫感染やアレルギー反応で重要な役割を担う免疫細胞です。小腸には多くの好酸球が存在していますが、その役割はよく知られていませんでした。笠松講師は、米国・ワシントン大学セントルイス医学部及び信州大学医学部と共同で、マウスの小腸には従来の好酸球とは異なり、免疫系を抑制する好酸球がいることを発見しました。この特殊な好酸球は抑制型C型レクチン受容体(Clec4a4)を発現しており、その分化は芳香族炭化水素受容体(AHR)によって制御されています。

 先進国では、国民の3人に1人が何らかのアレルギーを持つとされています。食物アレルギーの治療は食事療法が中心であり、この研究から免疫抑制型Clec4a4+好酸球に着目した新しい食物アレルギーの治療法開発につながることが期待されます。

20230228menekigaku.jpg

腸管好酸球サブセットの機能と分化経路

※腸管には抑制型C型レクチン受容体(Clec4a4)の有無により、2種類の好酸球サブセットが存在しています。一般的に、好酸球はアレルギーや寄生虫免疫応答を促進する免疫細胞として知られていますが、今回発見したClec4a4を発現する好酸球は寄生虫免疫応答を抑制していました。また、この細胞は食物に含まれる物質で活性化される芳香族炭化水素受容体(AHR)によって分化することから、新しい食物アレルギー治療の開発が期待できます。