トップページトピックス【博物館・連大・水産】日本初記録となるフエダイ科魚類を確認、「オオアカムツ」と命名

【博物館・連大・水産】日本初記録となるフエダイ科魚類を確認、「オオアカムツ」と命名

[記事掲載日:23.03.08]

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 総合研究博物館・連合農学研究科・水産学部の研究チームは、鹿児島県大隅諸島から得られたフエダイ科ハマダイ属魚類4個体を形態学的・遺伝学的に調査し、これらがEtelis boweni(エテリス・ボーウェンアイ)であることを確認し、新標準和名として「オオアカムツ」と命名しました。同研究によって日本ならびに北西太平洋における本種の標本に基づく初めての記録となるとともに、分布の北限記録となりました。同研究の成果は、2023年3月8日に日本魚類学会が発行する魚類学雑誌電子版で出版されました。

 オオアカムツはこれまでに近縁なハチジョウアカムツと混同されていましたが、2021年にAndrewsらによって紅海からオーストラリア西部およびサモアにかけてのインド・西太平洋産標本に基づいて新種として記載されました。一方、日本国内でも魚市場関係者や漁師さんは昔から両種を識別しており、オオアカムツはハチジョウアカムツより太くて大きくなり、脂ものっているため、高値で取引されていました。同研究により今後はオオアカムツとハチジョウアカムツは区別して扱うことが可能になります。なお、大隅諸島ではオオアカムツとハチジョウアカムツが同時に漁獲されていることが確認されており、両種は同所的に生息すると考えられます。

20230308ooakamutu01.jpgオオアカムツの写真
(KAUM-I. 160343,標準体長390.5 mm,鹿児島大学総合研究博物館所蔵)

20230308ooakamutu02.jpgハチジョウアカムツの写真
(KAUM-I. 160342,標準体長407.9 mm,鹿児島大学総合研究博物館所蔵)

【掲載論文】
鹿児島県大隅諸島から得られた北西太平洋初記録のフエダイ科魚類Etelis boweniオオアカムツ(新称)

【著者】
ジョン ビョル・大富 潤・本村 浩之

【掲載誌】
魚類学雑誌

【DOI】
10.11369/jji.22-018

【関連ページ】
総合研究博物館 本村浩之教授 ホームページ