トップページトピックス【博物館】北西太平洋初記録のイソカサゴを発見、「イチゴイソカサゴ」と命名

【博物館】北西太平洋初記録のイソカサゴを発見、「イチゴイソカサゴ」と命名

[記事掲載日:23.05.23]

  • topics-SDGs-04(質の高い教育をみんなに)
  • topics-SDGs-14(海の豊かさを守ろう)

 総合研究博物館と大分マリーンパレス水族館「うみたまご」を中心とした研究チームは、与論島と沖縄島から得られたフサカサゴ科イソカサゴ属魚類15個体を形態学的に調査し、これらがScorpaenodes corallinusであることを確認し、新標準和名として「イチゴイソカサゴ」と命名しました。新標準和名の「イチゴ」は本種の体色(赤地の体に白色点が散在)が苺を連想することに因みます。

 本研究によって、本種の標本に基づく日本ならびに北西太平洋からの初めての記録となるとともに、分布の北限記録となりました。本研究の成果は、2023年4月26日に日本動物分類学会が発行する国際誌Species Diversity電子版で出版されました。

 イチゴイソカサゴはインド・太平洋の広域から散発的に記録されていましたが、これまで北西太平洋には分布しないと考えられており、また、本種の形態学的特徴は明らかになっていませんでした。そこで、日本産の標本をScorpaenodes corallinusのタイプ標本(アフリカ南東部のケニヤ、タンザニア、モザンビーク、セイシェルで採集された個体)、およびニューカレドニアから得られた一般標本と比較検討して同定を確認した上で、同属他種との識別形質について再評価を行いました。
 なお、国内で記録されているイチゴイソカサゴは全個体が総合研究博物館に所蔵されています。

ichigokasago.jpg

イチゴイソカサゴの写真(KAUM-I. 58534,標準体長80.0 mm,総合研究博物館所蔵)


【掲載論文】
First Japanese records of the Indo-Pacific scorpionfish (Scorpaenidae) Scorpaenodes corallinus, with a re-evaluation of coronal spines as a diagnostic character

【著者】
Hoshino, K., Y. Sakurai and H. Motomura

【掲載誌】
Species Diversity, 28 (1): 123-131

【DOI】
10.12782/specdiv.28.123 
https://www.jstage.jst.go.jp/article/specdiv/28/1/28_SD23-04/_article/-char/en

【関連ページ】
 総合研究博物館 本村浩之教授 ホームページ
http://www.museum.kagoshima-u.ac.jp/staff/motomura/motomura.html