【博物館・農林水産学研究科】日本初記録となるイソギンポ科魚類を発見、「カザハナニジギンポ」と命名
[記事掲載日:24.01.31]
鹿児島大学総合研究博物館と農林水産学研究科を主とする研究チームは、これまで日本国内での記録と適用される標準和名がなかったイソギンポ科ハタタテギンポ属Petroscirtes xestus(ペトロスシルテス ゼスタス)が屋久島と阿嘉島から各1個体採集されたことを報告し、本種に新標準和名としてカザハナニジギンポを提唱しました。この和名は、本種の特徴的な色彩である背鰭上部にみられるさえた赤みの黄色と、背鰭から体側にみられる白色斑が晴天時に雪が舞うように降る風花(かざはな)という現象を連想させることに因みます。
カザハナニジギンポは、これまでインド・西太平洋に広く分布することが知られていましたが、日本国内での標本に基づく記録はなく、宮古島で撮影された水中写真が知られているのみでした。本種は平坦な砂泥底に好んで生息し、貝の空殻に営巣する生態が知られています。
本研究の成果は、日本魚類学会が発行する魚類学雑誌にて2024年1月15日に公開されました。カザハナニジギンポと同定された日本産の2標本(標準体長34.1-37.8 mm)はそれぞれ鹿児島大学総合研究博物館と神奈川県立生命の星・地球博物館に保管されています。
【掲載論文】標本に基づく日本初記録のイソギンポ科Petroscirtes xestusカザハナニジギンポ(新称)
【著者名】樋口聡文・瀬能 宏・高久 至・本村浩之
【掲載誌】魚類学雑誌
【DOI】https://doi.org/10.11369/jji.23-027
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( カザハナニジギンポの水中写真(屋久島ダイビングライフ 高久 至氏撮影))
( 標準和名カザハナニジギンポの基準となった標本の生鮮時写真(鹿児島大学総合研究博物館所蔵))