【学内連携研究】 鹿児島の薬用植物から新型コロナウイルス感染症の治療薬シード化合物を発見!!
[記事掲載日:24.12.12]
■研究成果の概要
理工学研究科 濵田季之准教授らを中心とする研究グループは、本学の大学院理工学研究科、ヒトレトロウイルス学共同研究センター・トランスレーショナルメディシン分野、先端科学研究推進センター感染制御研究部門などとの連携研究により、鹿児島県産のシソ科薬用植物ホーリーバジルに含まれる「sulfoquinovosyl diacylglycerol (SQDG) 」という化合物が、新型コロナウイルス (SARS-CoV-2)の増殖を抑制することを発見しました。本研究成果は、Springer Nature社が発行する生薬に関する専門誌「Journal of Natural Medicines」誌に掲載されています。
(「Journal of Natural Medicines」誌のGraphical Abstractを抜粋および一部改変)
■本研究のポイント
・ホーリーバジルから単離されたSQDGが、新型コロナウイルスの増殖に重要な酵素であるメインプロテアーゼの働きを強力に阻害することを発見
・培養細胞を用いた実験でも、ウイルスの増殖を抑制することを確認
・これまでにない新しい作用メカニズムの可能性を示唆
■研究の意義
・天然資源からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの治療薬シード化合物の開発促進
・身近な食用植物であるホーリーバジル(=タイ料理のガパオライスで使われる独特の香味をもつ植物)からCOVID-19の新しい治療薬開発につながる可能性を示唆
・新たな地域産業への発展も期待
■国際学術誌に掲載
・本研究成果は、Springer Nature社が発行する生薬に関する専門誌「Journal of Natural Medicines」誌に受理され、11月25日付けでオンライン掲載されました。
オープンアクセス論文として、https://rdcu.be/d1s4s をクリックすることで論文をご覧になれます。
・本論文の第一著者である小瀬 日奈子さん(理工学研究科修士課程1年生)は、本研究成果を中心とした学会発表2件で「優秀発表賞」を受賞しており、本TOPICSでも紹介されました(2023年12月18日および2024年11月22日に掲載)。
【論文情報】
掲載誌:Journal of Natural Medicines
タイトル:Sulfoquinovosyl diacylglycerol, a component of Holy Basil Ocimum tenuiflorum, inhibits the activity of the SARS-CoV-2 main protease and viral replication in vitro.
著者名:小瀬 日奈子, 須藤 正幸, 鬼束 聡明, 岡村 浩昭, 石川 岳志, 谷 文都, 矢吹 由香子,
白水 美香子, 馬場 昌範, 岡本 実佳, 濵田 季之 (責任著者)
https://doi.org/10.1007/s11418-024-01855-6
Published online: 25 November 2024