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第3回環境文化シンポジウム 「名瀬のむかし、奄美大島のこれから 」を開催しました

[記事掲載日:19.10.11]

 9月23日、「第3回環境文化シンポジウム 名瀬のむかし、奄美大島のこれから-名瀬から発信する奄美の環境文化を考える」を奄美市AiAiひろばにて開催し、約100名の方にご参加いただきました。
 
 冒頭、馬場 昌範理事(国際・研究担当)による主催者挨拶、共催者である環境省那覇自然環境事務所の東岡所長(環境省奄美自然保護官事務所千葉上席自然保護官による代読)、鹿児島県環境林務部自然保護課の羽井佐課長による共催者挨拶がありました。
 
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馬場理事による主催者挨拶
 
 
 第1部「シマのくらしと名瀬の街」では、小栗 有子准教授(法文学部)がコーディネーターとなり、小栗准教授から、環境文化について、これまでの鹿児島環境学研究会の取組を含め解説があった後、 当日の午前中に開催された関連プログラム『名瀬の街散策 ニシ・ヒガシ』について、案内人を務めた奄美市立奄美博物館館長の高梨修さん、奄美郷土研究会副会長の岩多 雅朗さん、丸田 泰史さんから報告していただきました。歴史とともに名瀬の街の海岸線の形や河川の流れを大きく変えてきたこと、寄留商人のあとを引き継いだシマの人々が街を発展させていったこと、蘭館(らんかん)橋に秘められた悲恋物語など、話の尽きない第1部となりました。
 
 
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第1部の様子
 
 
 第2部「名瀬のむかしと今を振り返り、名瀬とシマのこれからを考える」では、星野 一昭特任教授をコーディネーターに、奄美市立奄美博物館館長の高梨 修さん、奄美郷土研究会副会長の岩多 雅朗さん、名瀬八月踊り保存会事務局長の當 光二さん、サーモンアンドガーリックの新元 一文さん(宇検村出身)、市街地で25年間、ダグウッドサンドを営むオーナーの南 和仁さんにご登壇いただきました。當さんは唄と踊りを伝承していく難しさとその工夫について述べられ、南さんは、スマートフォンやSNSの発達で若者世代の購買行動が大きく変わったこと、新元さんは、宇検村郷友会を例に、壮年・若者世代に継承していくような、多様な「縦」つながりをつくっていく難しさを語られました。
 
 
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第2部の様子
 
 
 会場から、住用町市地区区長の山下 茂一さんより、都市部とのアクセスが向上したことで医療面等が便利になった反面、人口流出を招いたことが述べられ、奄美市教育委員会より、奄美大島島内の山村留学制度について、里親確保の難しさや、子どもの意識の変化により、送迎での留学が好まれる現状について話がありました。星野特任教授が「世界自然遺産登録とは、人類の宝として守るべき、遺すべき自然があることを世界に認められ、注目されるということ。これを機会に、奄美大島の皆さんがこれからどういうシマにしていきたいかを語っていけるようにしてほしい」と述べられました。
 
 シンポジウムは、小栗准教授が「年配者の方々が大切にしてきたことを若い世代の暮らしや楽しみとして、どう紡ぎ直していくのか問われていくと思う。皆さんが持っている思いや経験、つながりはパズルのピースのひとつひとつ。そのピースを持ち寄って大きなひとつの絵にすることが環境文化。縁あって、ここに集った皆さんがここを始まりとして、これからの奄美をいっしょにつくっていってほしい」と語りかけ、締めくくられました。
 

【参考】
鹿児島環境学研究会HPはこちら