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日本国内から初記録となるウバウオ科魚類を確認、「アマツミウバウオ」と命名

[記事掲載日:22.02.02]

 連合農学研究科3年の藤原 恭司さんを中心とする総合研究博物館、テキサスA&M大学、ワシントン大学の研究チームは、腹部に発達した吸盤構造をもつことが大きな特徴の魚類、ウバウオ科に含まれるLepadicyathus minor(レパディサイアサス マイナー)を奄美群島の与論島と八重山諸島の石垣島から採集された3標本に基づき確認しました。
 Lepadicyathus minorは1955年にインドネシアで採集された標本に基づき、新種として記載されて以降、ほとんど知られていませんでした。しかし、本研究によって、日本国内における分布が初めて明らかになったことに加え、本種が独立した単型属であること、近縁種との形態的相違など多くの新知見が得られました。

 本報告は日本魚類学会が発行する英文誌「Ichthyological Research」(イクチオロジカル リサーチ)で2022年1月22日に出版され、L. minorの大きな特徴の一つである体側後方の小白色斑が星のように見えることから、日本神話に登場する星の神である天津甕星(アマツミカボシ)に因み、新しい標準和名「アマツミウバウオ」が命名されました。単型属であるため、新しい属の和名も「アマツミウバウオ属」となります。
 アマツミウバウオは全長2 cm程の小型のウバウオで、上述の特徴に加え、口部がとても小さいこと、体に複数の白色線があることなどが大きな特徴です。本種の吸盤を用いた吸着生態や食性、産卵生態など、まだ分かっていないことが多く、今後の研究の発展が期待されます。

20220202amamiubauo.jpg与論島から採集されたアマツミウバウオLepadicyathus minorの生鮮時の写真(KAUM-I. 70995, 標準体長18.2 mm;総合研究博物館所蔵)


【タイトル】
Rediagnosis of the monotypic genus Lepadicyathus Prokofev 2005 (Gobiesocidae: Diademichthyinae) and redescription of Lepadicyathus minor (Briggs 1955), new combination
【著者】
Kyoji Fujiwara, Kevin W. Conway, Adam P. Summers and Hiroyuki Motomura
【掲載誌】
Ichthyological Research
【DOI】
10.1007/s10228-021-00851-0
【関連ページ】
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