【理工研】新しい木質構法を応用した仮設バイオトイレのプロトタイプの建設
[記事掲載日:22.02.18]
大学院理工学研究科工学専攻建築学プログラム環境建築 鷹野 敦准教授は、北園製材所様と共同で開発した新しい木質構法を応用した、仮設バイオトイレのプロトタイプを建設しました。
再生可能材料(木材)をふんだんに用い、"女性も使いやすい仮設トイレ"をテーマに、同研究室の女子学生3名が中心になりデザインを担当しました。
この仮設バイオトイレに用いられた新しい木質構法は、本学と北園製材所様の産学共同で開発を進めたものです。2017年に開発を開始し、2021年8月には木造の耐力壁として国土交通大臣認定を取得しています。木の良さを活かし、非再生材料の使用を極力抑えた造りで、住宅に適用した場合、木材使用量は一般的な木造に比べ約5倍(建物内へのCO2固定量増加、地域資源の活用促進、化石燃料由来の材料の使用削減による環境負荷低減などの副次効果多数)の差があります。
鷹野研究室ではこの他にも、同構法の展開を、研究・実践の両面で幅広く行っています。
※展示用に建具を外しています。
【コメントのご紹介】
■デザイン担当した学生さんにお聞きしました。
中村 恭子さん(理工学研究科工学専攻建築学プログラム1年)
鈴木 芹菜さん(工学部建築学科4年)
田島 亜槻さん(工学部建築学科4年)
Q:女性が使いやすくするために工夫した点は?
A: ・便座に座らないといけない女性にとって、便座まわりの清潔度は重要であるため、掃除しやすいように便座まわりの高さを便座の高さと合わせたところ。
・服などを気にせず、使えるように通常の仮設トイレよりも広く設計したところ。
・換気窓を設ける、床をスノコ状にすることで、空気のこもっている、汚いというイメージを払拭したところ。
・視線は遮りながら透過性のある開口部を設けて明るい内部にし、人気など周囲の様子が伺えることで、不安を軽減できるところ。
Q:苦労した点は?
A:これらのの要素を、小さな建築の中で解決することに苦労しました。
Q:試作品が完成しどんな想いでしょうか。
A: ・自分が携わった設計が初めて形になり、感動しています。想像していた以上にいいものができて嬉しいです。
・実際に利用されている光景を見に行きたいし、使用した人の感想を聞いてみたいです。
・一方、デザイン時には模型を使って検討してきましたが、まだまだ改善点があるなとも感じました。
■3人の所属する研究室の鷹野准教授にお聞きしました。
本プロジェクトは、単に建築のデザインだけでなく、地域資源の有効活用を考えるもの。産学の共同による研究と実践を横断する取り組みは、学びの面でも、大学の社会的な意義としても重要です。
学生たちが実際の建物の建設に携わり、実践的なプロセスに関わることで成長していく様子は、私にとっても喜びです。