トップページトピックス世界初!悪性骨腫瘍に対する承認(実用化)を目指した腫瘍 溶解性ウイルスの第Ⅱ相医師主導治験(多施設共同)を開始

世界初!悪性骨腫瘍に対する承認(実用化)を目指した腫瘍 溶解性ウイルスの第Ⅱ相医師主導治験(多施設共同)を開始

[記事掲載日:22.02.28]

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 鹿児島大学病院では、独自開発した、がん細胞のみを殺傷する遺伝子組換えウイルス医薬「サバイビン反応性m-CRA-1」の、悪性骨腫瘍に対する承認を目指した第Ⅱ相医師主導治験(多施設共同)を開始したということで、2月18日に、探索的医療開発センターの 小戝(こさい)健一郎 センター長(大学院医歯学総合研究科 遺伝子治療・再生医学分野 教授)ら5人が記者発表を行いました。

 「サバイビン反応性m-CRA-1」は小戝教授らが開発したもので、がん細胞のほとんどで「サバイビン」という遺伝子が異常に生み出されており、この医薬がその異常な発生の仕組みに反応し、増殖しながらがん細胞を破壊します。また、正常な細胞には機能しないため、安全性が高く、副作用も非常に少ないことを、動物実験などで確認していました。
 悪性骨軟部腫瘍に対する第Ⅰ相治験は、2016年から鹿児島大学病院で実施しました。9人の被験者に対し、治験薬に関連した重大な有害事象が確認されず安全性が確認され、有効性を示唆する結果も見られました。この結果を踏まえ、悪性骨腫瘍に対する多施設共同(鹿児島大学、国立がん研究センター中央病院、久留米大学)第Ⅱ相治験を開始しました。
 悪性骨腫瘍は骨にできるがんで、100万人に対し4人(日本全体で年間500~800人)が発症する「希少がん」であり、有効な治療法がない状況にあります。今回、遺伝子治療薬として承認されれば「世界初」となるもので、今後2年間で20人を対象に有効性を評価し、2025年に再生医療等製品や希少がんに対するオーファンドラッグとしての早期承認申請を目指します。
治験を担当する永野副センター長は「骨腫瘍は希少がんのため、製薬会社も治療薬が開発しにくい状況でした。実用化すれば、患者さんの希望の光になるのではと考えています。」と話し、小戝教授からは「一刻も早く患者さんに届け、将来的には多くのがんに対する適用を目指したい。」と力強い抱負が述べられました。
 本治験は、日本医療研究開発機構(AMED)の革新的がん医療実用化研究事業(代表:小戝教授)にて実施するもので、本学の大学院医歯学総合研究科 遺伝子治療・再生医学分野(小戝研教授、松田助教)、医学部保健学科 理学療法学専攻(永野教授)、大学病院 整形・運動機能センター(谷口教授)、同 臨床研究管理センター 治験管理部門(武田教授、二川薬剤主任)、同 検査部(橋口教授、山口准教授)、同 放射線部(吉浦教授、中條助教)らの共同研究グループで取り組んでいます。

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記者発表を行う 小戝 健一郎 探索的医療開発センター長
(大学院医歯学総合研究科 遺伝子治療・再生医学分野 教授)


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報道機関からの質問に答える 小戝 センター長



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(写真左から)整形・運動機能センター長 谷口 昇 教授、探索的医療開発センター 副センター長 永野 聡 教授、病院長 坂本 泰二 教授、
探索的医療開発センター長 小戝 健一郎 教授、臨床研究管理センター治験管理部門長、薬剤部長 武田 泰生 教授
※★写真撮影時のみ、マスクを外しております。