トップページトピックス【博物館・農林水産学】総合研究博物館の研究チームが標本に基づく日本初記録の魚を確認―カグツチヨコシマクロダイと命名

【博物館・農林水産学】総合研究博物館の研究チームが標本に基づく日本初記録の魚を確認―カグツチヨコシマクロダイと命名

[記事掲載日:22.03.22]

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 総合研究博物館の研究チームは、標本に基づき日本から初めてフエフキダイ科ヨコシマクロダイ属魚類のMonotaxis heterodon(モノタキス・ヘテロドン)を記録し、新標準和名「カグツチヨコシマクロダイ」を提唱しました。和名の「カグツチ」は赤色を呈する鰭が、日本神話に登場する火の神「カグツチ」を連想させることに因みます。

 Monotaxis heterodonは、長年、形態的特徴がよく似ているヨコシマクロダイMonotaxis grandoculis (Forsskål, 1775)と同種であると考えられていましたが、2005年に両種が別種であることが明らかにされました。前者は写真記録のみによって日本における分布が確認されていましたが、標準和名の提唱は標本に基づいて行う必要があるため、これまでM. heterodonに適用する和名がありませんでした。本研究では琉球列島から得られた標本を調査し、ヨコシマクロダイ属2種の比較検討を行ないました。

 これまで、カグツチヨコシマクロダイとヨコシマクロダイの識別には生鮮時の色彩が重要であり、色彩が消失した標本の状態では識別が困難だと考えられていましたが、本研究によって標本の状態においても2種を識別できる複数の形態学的特徴を世界で初めて明らかにしました。

 本研究で標準和名を提唱した際に基準となった標本は総合研究博物館に学術標本として所蔵されています。

【タイトル】
First specimen-based records of Redfin Emperor Monotaxis heterodon (Perciformes: Lethrinidae) from Japan, with new diagnostic characters applicable to identification of preserved specimens

【著者】
Shunta Shibuya, You Sakurai and Hiroyuki Motomura

【掲載誌】
Species Diversity, Vol. 27, pages 45-51

【DOI】
10.12782/specdiv.27.45

【関連ページ】
 総合研究博物館 本村浩之教授 ホームページはこちら

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カグツチヨコシマクロダイ(沖縄島産;総合研究博物館所蔵)

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ヨコシマクロダイ(奄美大島産;総合研究博物館所蔵)