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さくらサイエンス招へいプログラムによる南アフリカとの電波天文学共同研究

[記事掲載日:24.02.13]

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 1月11日から1月29日、南アフリカのノースウェスト大学および南アフリカ大学の教員・学生8名が鹿児島に滞在し、本学の学生と共同で電波天文学について学び、共同研究を行いました。これは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「さくらサイエンス招へいプログラム」による助成金および天の川銀河研究センターの補助によって実現しました。

 本プログラムのテーマは「次世代センチ波・メートル波大型宇宙電波干渉計を用いた2国間連携の構築」です。現在、南アフリカでは次世代超大型電波干渉計Square Kilometre Array (SKA)の建設が進められており、現在、その先行機であるMeerKATの運用が始まっています。また、鹿児島大学では国立天文台が共同でVERAという超長基線電波干渉計(VLBI)を運用しています。そこで、両国の学生と教員が一同に会することにより、電波天文学の基礎、MeerKATで得られたデータの解析、VERAで得られたVLBIデータの解析を集中的に学ぶことができます。ここで最先端の電波天文学に触れながら、両国の学生が共同作業をし、将来の共同研究のきっかけを作ることを主な目的に据えて実施しました。

 南アフリカから引率した南アフリカ大学のJames Chibueze 教授は、鹿児島大学の大学院博士課程を2013年3月に卒業した方です。そのような縁もあって、はるばる南アフリカから7名もの学生を引率していただきました。
 到着した翌日1月12日には、鹿児島市内の西郷隆盛像や仙巌園などの観光名所を巡り、鹿児島の歴史や日本文化について学びました。本学からも14名の学生が同行し、案内役を務めました。

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(西郷隆盛像前にて記念写真)



 週末を挟んで1月15日には、午前中に本プログラムの概要説明を行ない、学内を案内したのち、午後から電波天文学の基礎に関するレクチャーが始まりました。最初の3日間で電波望遠鏡の基礎や電波干渉計、VLBIなどについて学んだ後、MeerKATやVERAを用いて得られた実際の観測データの解析方法について学びました。
 その後、グループワークへと移行し、学生が自ら手を動かし、それぞれ設定した研究テーマに取り組みました。南アフリカの学生1−2名と本学の学生1−2名の3−4名からなる4グループを結成し、それぞれが電波銀河、高速電波バースト天体、中性水素原子ガス、水メーザーについて研究を行いました。通常は数週間以上かけて行うような解析を1日半という限られた時間の中で集中して取り組み、その結果を発表スライドに仕上げ、1月26日の成果発表会で発表しました。チームには意欲旺盛な本学理学部1年生の姿もありました。
発表会には、南アフリカ大使館からの公使もゲストとして参加され、どのチームも期待以上の素晴らしい講演であったと高く評価されました。

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左から
(郡元キャンパス案内後、正門前にて記念写真)
(理学部1号館103教室にて。電波天文データの解析ソフトAIPSを、それぞれのコンピューターにインストールしている様子)

 1月11日から29日の滞在期間中、1月18日および25日には、それぞれ1日かけて、薩摩川内市のVERA入来局20m電波望遠鏡、JAXA内之浦宇宙空間観測所を見学し、実物の電波望遠鏡や日本の宇宙開発について学ぶ良い機会となりました。
 また、滞在期間中の週末には、学生同士で自主的に、桜島や霧島など、鹿児島の観光名所に出かけ、交流を深めました。2週間強の滞在を通じて、南アフリカからの学生も鹿児島での生活に馴染むと同時に、本学の学生にとっても南アフリカをはじめとするアフリカの国々の文化を学ぶ貴重な経験となり、また、日本にいながらにして、英会話のスキルを向上させる機会となりました。
 1月29日には鹿児島から東京に移動し、国立天文台などを見学し、1月31日に出国、参加者全員が無事に帰国されました。

 鹿児島大学は今後も南アフリカとの交流を継続し、2国間の絆を深めていきます。

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(1月16日、理学部1号館屋上にて。手作り電波望遠鏡で天の川からの電波を観測している様子)



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(1月25日、理学部1号館前にて集合写真)



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(1月26日、成果報告会を終えて、北辰通りで記念撮影)


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