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平成17年度卒業式告辞(平成18年3月24日)

 今日晴れて鹿児島大学をご卒業の皆さん、おめでとうございます。例年にない厳しい冬が過ぎ去って、今日の卒業式を祝福しているような明るい暖かい春になりました。皆さんの新しい門出に心からお祝いを申し上げます。
 ただいまここに、ご来賓、ならびに名誉教授の方々の御臨席のもとに、平成17年度鹿児島大学卒業式が挙行できますことは、大きな慶びであります。
 鹿児島大学学部卒業生1973名、大学院修了生538名、17ヶ国からの外国人留学生58名を含む合計2511名の皆さん、ご卒業まことにおめでとうございます。ここに、卒業のすべての皆さんに、鹿児島大学の教職員並びに在学生を代表して、心からお祝い申し上げます。
 また今日の卒業と新たな門出を待ち望み、感激でお慶びのご両親、ご家族の皆様、そして関係者の皆様に対して、お祝いとともに感謝申し上げます。
 学部卒業の皆さんは、鹿児島大学生として過ごした4年間、あるいは6年の間に実に多くのことを学ばれたに違いありません。20世紀から21世紀の科学は急速に進歩発展し、学ぶべき知識量は厖大になりました。その蓄積された知見や思想、考え方から、皆さんは貴重な、そして多くの成果を得られたことを確信いたします。それと同時に、素晴らしい環境の下に鹿児島大学生らしい教養と豊かな人間性を獲得されたことをも確信いたします。
 大学院修了の皆さんは、急速に進歩発展する21世紀の研究課題に挑戦され、朝夕を問わず真摯に研究に没頭されました。新しい知見や結論を得るまでには指導教員の先生との激論など、それぞれ紆余曲折があったに違いありませんが、大きな成果を得られ、修士あるいは博士の学位を得られたことに深く敬意を表します。
 また、成績優秀な学部学生、大学院生に授与される鹿児島大学稲盛賞、大学院生を対象に本年度から設けられました鹿児島大学工業倶楽部賞受賞の皆さんにも心からお慶びを申し上げます。
 さて、皆さんは今日の門出にあたり、大きな感慨とともに新たな決意を等しく胸に抱いているに違いありません。私も皆さんの新しい門出に当たってお祝いを申し上げるとともに、次の三つの事柄を大切にしてほしいと、皆さんにお願い致します。それは、
 1.鹿児島大学で学んだことに限りない誇りを持ちましょう
 2.志を高く掲げ、努力を怠らず、そして人一倍努力しましょう
 3.大学在学中に培った友情を大切にしましょう
の三つのお願いであります。
 皆さんは、鹿児島大学で学問を修得する過程で、あるいは研究の過程で、何を得られたでしょうか。複雑な事象の中にも、物事には合理的な真理があることを発見されたに違いありません。あるいはまた、詳細に解析し、考察を繰り返す過程で、そこには多様な考え方があることを学ばれたに違いありません。それらの多くの経験・発見は、新しい出発に当たって非常に重要な意義を持っていると思います。それは皆さんがこれからの長い人生を切り開いていく道程で心の糧、心の支えになるのだと断言できるからであります。すなわち、それらが皆さんの自信と誇りの源泉になるはずであります。鹿児島大学で学んだことに限りない誇りを持って一歩、二歩と前進しようではありませんか。
 幸いにもわれわれはまた、鹿児島が日本の近代化の幕開けとその礎を築いたという歴史的な背景を持っており、その誇りが私どもを支えてくれます。このことは、この地に根付く旺盛なチャレンジ精神とともに、21世紀の私達にとっても極めて大切なものであると言えます。
 まさに新しい門出にあたり、強い決意とともに希望に胸を膨らましておいでの皆さん、新たな出発に当たってどのような志を掲げられたでしょうか。
 20世紀の偉大な実業家であった松下電器の松下幸之助氏は「道を開く」の中で「志を立てよう。本気になって、真剣に志を立てよう。生命をかけるほどの思いで志を立てよう。大事なことは、みずからの志である。自らの態度である。千万人といえども我ゆかんの烈々たる勇気である。実行力である。志を立てよう。自分のためにも、他人のためにも、そしておたがいの国、日本の国のためにも」と述べて、志を立てることの重要性を強調しております。今日の新たな人生の門出に当たって、皆さんこぞって、志を高く掲げ、日々努力を怠らず、そして人一倍努力しようではありませんか。
 文明が極度に発達した現代は、個が尊重され優先される時代であります。このことは逆に人と人との人間関係の構築が益々重要になったことを意味します。学業生活の中で、あるいはスポーツ活動や文化活動で、さらにボランティア活動などの社会活動を通じて人と人との繋がりを得て、そこで多くの人々と知り合い、語り合うことで、皆さんは「人の有り様」や「人間とは何か」を学び、そして心の友を得られたに違いありません。このことは学問の達成や研究成果と同じように、非常に重要な意義を持っており、これからの皆さんを支えてくれる精神的な大きな部分をなすはずです。また、将来の飛躍にも非常に大切なことであります。すなわち、それは友情であり、親密な人間関係であります。
 アベル・ボナールは「友情論」の中で、「友情は至高の情熱であり、捨てるとしてもいちばん最後に捨てるべき情熱である」とし、「われわれをして他の人々よりも高いところにおもむかせる努力は、この情熱(友情)の必要をますます我々に痛感させるばかりである」と述べて、友情を至上のものとしています。在学中に得られた友情を、そして多くの人と人との貴重な人間関係をいつまでも大切にしてください。
 今や世界はグローバル化の中にあります。それは毎日発信される多くの情報や事例から皆さんも伺い知ることができるかと思います。国と国との垣根が低くなって、ヒトも物も自由に行き来する時代になりました。したがって、以前とは次元の全く異なった新しい時代に突入したと認識することが重要であり、この認識を持つことが激しく変化する現在に対応するには絶対の条件であります。グローバル化の中でわが国の経済や政治もまた新しい時代の中にあると言えます。その変化の中で、われわれは常にわれわれが立っている場所を、いつも確認する作業を怠ってはなりません。
 皆さんがこの世に誕生した20世紀末の1980年代には日本は規格大量生産の近代工業社会の絶頂期にありました。その後90年のバブル崩壊とそれに続く失われた10年を経験することになります。資本主義社会は「知価革命」によって「多様な知恵の値打ちが資本蓄積の主要な源泉になる社会」、すなわち知価社会・知識基盤社会に移行しつつあると言われています。世界的にはドイツ統一に続く1991年のソ連邦崩壊・解体があり、2001年のアメリカ9・11同時多発テロ、2003年のアメリカのイラク侵攻と大混乱が続いています。これらから、今や世界は政治的にも経済的にも産業革命以来の歴史的大転換期にあると認識することができます。
 さらにわが国内では、20世紀とは異なった社会的問題が次々に発生しております。少子高齢化社会の出現は、日本の社会の有り様を大きく変えてしまいつつあるように思われます。教育のあり方、地域崩壊、暴力殺人事件の多発などその影響は大きく、まだその解決の糸口すら見えておりません。
 しかしながら、グローバル化と知価革命という変革期の中では、自己を如何に確立するか、個性を如何にして伸ばすかということが重要であることを忘れてはなりません。それには、先にも述べましたが、皆さんが鹿児島大学で学び成し遂げた学問や研究の成果を自分自身の重要な部分として、まず大切にすることだと思います。そしてこれからもさらに切磋琢磨するという作業を続けて行かなければなりません。すなわち、自らのアイデンティティ、主体性を常に自覚しつつ、社会に、そして世界に羽ばたくことが大切であることにほかなりません。
 さて、皆さんが卒業されるこの鹿児島大学にも、21世紀の変革の荒波は押し寄せております。
 平成16年4月には、国立大学法人鹿児島大学として新たなスタートをしました。その出発に当たって、「鹿児島大学は、高度な教育研究・学術によって新しい豊かさを創造する日本の主要な『知の拠点』になることを目指す」と宣言し、そして世界に向かって大いに情報発信することを誓いました。それに基づいて私たち教職員は新しい鹿児島大学を創出すべく日夜努力しております。
 当然ながら、大学は学問の府、知の拠点として、教育研究の自由、そして思想の自由が保証されなければなりません。法人化されても、英知を結集して大いに改革を推進し、新しい世紀、新しい時代に相応しい新しい鹿児島大学を構築することが重要であります。
 さあ、今日今この学窓からまさに飛び立たんとする皆さん。私達の大学の基本理念にも、「真理を愛し、高い倫理観と芸術性を備え、怯懦を排して自ら困難に挑戦する人格を育成し、・・・」と記述しており、どのような困難にも果敢に挑戦することを求めております。
 今日から鹿児島大学卒業生として、皆さんが日本をリードするぐらいの気概を持って、志を高く掲げて、新しい目標に向かって果敢に挑戦し、世界に大きく羽ばたかれんことを強く希望いたします。
 そして私達は、鹿児島大学が限りなく発展し、皆さんが誇りにできる大学にすることを重ねてお約束致します。

  新しい光は南から
  新しい光は鹿児島から

と、私達がスローガンとする「新しい光」で、皆さんとともに日本と世界を照らそうではありませんか。

  平成18年3月24日

    鹿児島大学長
      永 田 行 博