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平成28年度入学式告辞(平成28年4月日)

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 本日ここに、平成28年度の鹿児島大学入学式が挙行されますこと、誠に慶びに堪えません。新入生の皆さん、鹿児島大学への御入学おめでとうございます。鹿児島大学の教職員を代表して皆さん一人ひとりの入学を心から歓迎致します。
 今年は、本学の9つの学部に、2,036名の学部学生、また、9つの大学院研究科に586名の大学院生、このうち65名の外国人留学生を含め、総勢2,622名の新入生を迎えました。
 みごと入学を果たされた皆さんの研鑽と努力に敬意を表し、その志を支えてこられたご家族の皆様には心よりお喜びを申し上げます。
 鹿児島大学の起源は、242年前の1773年に設立された藩学造士館にさかのぼります。この造士館では、当時の最高水準の学問と教育が施され、「進取の気性」に富む若者を育て、我が国の歴史の変革と近代化に大きな役割を果たしました。
 明治以降も、造士館の名称を受け継いだ第七高等学校造士館や、師範学校、高等農林学校、水産専門学校、工業専門学校、医学専門学校などの教育機関が設立され、我が国の発展を支えた多くの専門技術者や教育者を輩出しました。
 また、戦後の1949年には、これらの高等教育機関の歴史と伝統を受け継ぎ、新制の国立鹿児島大学が発足し、さらに2004年には国立大学の法人化に伴い、国立大学法人鹿児島大学となりました。本学は、このような歴史を経て、現在では、9つの学部と10の大学院研究科を擁し、約1万1千名の学生が在籍する西日本有数の総合大学へと発展してきました。
 これまで、10万名を超える若者が、この鹿児島大学のキャンパスで学び、国内はもとより世界の各地で、それぞれの専門的知識と技術を生かし、人類の平和と繁栄・福祉の向上のために大きな足跡を残してきています。
 本学の大学憲章では、「自主自律と進取の精神を尊重し、自ら困難に立ち向かい、地域社会や国際社会で活躍しうる人材を育成する」ことを掲げ、また、「学生の潜在能力の発見と適性の開花に努める」ことを教育の基本姿勢とし、本学での学びが皆さんの人生設計の礎となるように、支援を惜しみません。
 その取組として、皆さんが“進取の精神”を自ら培うために、①自学自習のための学習環境の整備、②課題解決力を養成するための支援、③海外留学ならびに海外研修への支援、④就職・キャリアデザインの支援、⑤ボランテイア活動への支援、ならびに、⑥学生諸君の向上心を育て称えるための各種の表彰制度や奨学金制度を備えています。
 本学は、昨年から学生支援として、鹿大「進取の精神」支援基金を創設し、広く卒業生や社会の皆様にご寄付をお願いしております。その多くの浄財は、皆さんが海外へ留学される際や短期海外研修に出かける際の支援金として用いられ、また、留学生を海外から招くためにも使われます。
 鹿児島大学は、日本で一番学生を大切にする大学として、学生が安心して学べるキャンパス環境を整えるために、学内の危機管理に対する備え、生活相談や進路相談、また健康上のカウンセリングを手厚く支援するなど、皆さんの大学生活の充実に向けて全学挙げて努めてまいります。
 さて、皆さんが学生生活を送る鹿児島は、古くからアジアと世界の諸地域に開かれた南の玄関口として、海外との交流を通じ異文化の導入を率先して行い、豊かな文化や学術を育くみ、我が国の変革と近代化を推進した数多くの人材を輩出してきた地でもあります。皆さんは、このような風土の中で、鹿児島の教育の伝統である「進取の精神」を引き継いだ本学で、自分の夢の実現に向けて、学業に励むことになります。
 皆さんは本学での学びを通して、幅広い教養と専門的知識や技術を修得すると共に、社会との関わりの中での学びを深め、多様な物の考え方、地域課題の発見や地域資源の新たな創成の力、グローバルな視野と行動力、発信力、コミュニケーション力や粘り抜く力、困難を乗り越える力など、社会人としての基礎力をしっかりと身につけなければなりません。
 本学は、グローバルな視野を備えた人材の養成と共に、地域貢献マインドを備えた人材の育成にも力を注いでいます。そのために、地域の自治体、産業界、金融界、教育界ならびに医療界と連携し、地域特性を活かしたキャリア教育の推進や地域が求める人材を育成するプログラムを開発しています。本学で学業を修めた学生諸君が、地域の産業・教育・文化・医療・地域コミュニテイの総合的発展に貢献することを期待しています。
 鹿児島大学での地域貢献マインドの学びは、鹿児島地域に限られたものでなく、日本全国の地域創生支援につながるものであります。
 皆さんは、さっそく本日より、自分の将来設計を描く作業に取り組んでください。皆さんは自分の将来像を描いて、それぞれの学部を専攻しています。今日からは、より具体的な目標を定め、その目標に向かって将来設計を描かなければなりません。
 そのためには、本学で学ぶ共通教育や専門教育課程の幅広い知識の修得はもちろんのこと、より多くの書物に触れ、友との議論も深め、“①社会が自分に何を求めているか、②自分は社会に対してどのような貢献ができるか、③人生にどのように向き合うべきか”など、自分のなすべき目標をつかむ努力をしなければなりません。そして、学ぶ事の楽しさを体験し、質問や疑問に対しては自ら声を発し、課題解決への努力を尽くし、社会へ貢献する姿勢を作り上げていただきたい。
 鹿児島大学では、地域の課題はもちろんのこと、国際的にも高い評価を受けている基礎研究や応用研究、またイノベーションに繋がる研究が展開されています。皆さんは、本学で行われている研究活動にも接し、また、世界の変化や科学技術のたゆまぬ進歩に心を踊らせ、世界をリードする研究者としての夢も描いていただきたいと思います。
 皆さんの年代は、人生で最も成長し、上昇勾配の最も高い時であります。自らの「努力や研鑽」と共に、「新しい経験や出会い」が、人生に厚みと深みと重みをもたらし、心を高めるものとなります。
 皆さん一人ひとりが、200年以上の歴史と伝統を有する鹿児島大学において、様々な研鑽を積む中で、新しい自分を発見し、「進取の精神」を育み、持続可能な社会の力強い担い手に成長されることを期待しております。
 
 本日の入学式には、海外からの新入生も数多く参加しております。ここで留学生の皆さんに、短く英語で歓迎の言葉を申し上げます。
 
 Greetings international students! I deeply welcome your admission to Kagoshima University. Kagoshima, where you will spend time as a student, is a land which taken the lead in the introduction of foreign culture through its interaction with overseas lands as the Southern gateway open to Asia and the rest of the world. Kagoshima has developed a rich culture and academics, and produced a large number of famous people who advanced the modernization and transformation of Japan. I hope you international students will make good use of this academic culture of Kagoshima University and study hard to realize your dreams.
 
 At Kagoshima University, we pursue innovative research, basic and applied research which has received international acclaim, as well as research aimed at solving local problems. I hope that you will be able to come into contact with this research here, and become invigorated by the ceaseless advance of scientific research to pursue your own dreams of becoming a researcher who will lead the world forward. 
 
 最後になりましたが、皆さんの大学生活が実り多いものとなることを心より祈念して、告辞と致します。
 
平成28年4月7日
鹿児島大学長 前田芳實
 
(日本語訳)
 留学生の皆さん!鹿児島大学への御入学を心より歓迎いたします。皆さんが学生生活を送る鹿児島は、古くからアジアと世界の諸地域に開かれた南の玄関口として、海外との交流を通じ異文化の導入を率先して行い、豊かな文化や学術を育くみ、我が国の変革と近代化を推進した数多くの人材を輩出してきた地でもあります。皆さんは、このような教育風土を有する鹿児島大学で、自分の夢の実現に向けて、学業に励んでください。
 鹿児島大学では、地域の課題はもちろんのこと、国際的にも高い評価を受けている基礎研究や応用研究、またイノベーションに繋がる研究が展開されています。諸君は、本学で行われている研究活動にも接し、また、世界の変化や科学技術のたゆまぬ進歩に心を踊らせ、世界をリードする研究者としての夢も描いていただきたいと思います。