ぬいぐるみで子どもたちを笑顔に!鹿大流ぬいぐるみ病院プロジェクト(学生インタビュー)
本学では、学生自らが企画・運営・実施する様々な活動を支援することによって、本学における進取の精神を継承・発展することを目的とし、「鹿児島大学進取の精神チャレンジプログラム」を実施しています。
2019年度採択された10プログラムのうち、1プログラムをピックアップ!学生にインタビューしました。活動の様子をお届けします。
ぬいぐるみで子どもたちを笑顔に!
鹿大流「ぬいぐるみ病院プロジェクト」
団体名
- ぬいぐるみ病院サークル
お話してくれた学生
- 渡 耕大さん(代表・医学部医学科3年)
- 安田 幸志郎さん(医学部医学科3年)
- 水流 かなこさん(医学部保健学科3年)
医学部生で結成した「ぬいぐるみ病院サークル」
世界137の国と地域が加盟し、130万人以上の医学生が参加する(※)国際NGO「国際医学生連盟(IFMSA)」。そのIFMSAの日本支部である「日本医学生連盟(IFMSA-JAPAN)」の鹿児島支部として活動しているのが、私たち医学部生で結成した「ぬいぐるみ病院サークル」です。
2017年に活動開始、2018年に公認サークルとなりました。
サークルが柱とする2つの活動その1
「ぬいぐるみ病院プロジェクト」活動
私たちが柱とする活動は2つあります。まず一つ目は「ぬいぐるみ病院プロジェクト」活動です。
これはIFMSA-JAPANの活動の一つで、子どもたちの病院嫌いをなくすことをモットーに、ぬいぐるみを用いた模擬診察や保健教育を行うものです。
多くの子どもたちにとって検査・治療等の医療行為は怖いものであり、時にトラウマすら植えつけられることもあるため、模擬診察等によって子どもたちの医療行為に対する恐怖心を和らげることを目指します。
私たちは2〜3ヶ月に一度、鹿児島市内の保育園に赴き、子どもたちと模擬診察をしています。子どもには医者になってもらい、患者に見立てたぬいぐるみと「診察ごっこ」を行いながら、診療の流れや医師の仕事について理解してもらいます。
保育園での模擬診療の様子(2019年5月)【写真:学生提供】
サークルが柱とする2つの活動その2
「プレパレーション」活動
「プレパレーション」活動は、検査・治療等を控えた子どもに対する事前説明や配慮のことで、実際の医療現場で行われています。私たちはこれに学生の立場で取り組んでいます。
きっかけは、「検査実施時の子どもの鎮静」という、小児医療の課題の一つを知ったこと。子どもが検査を嫌がって泣いたり暴れたりすれば、当然大人は抑えつけますし、やむを得ず鎮静剤を使用する場合もあります。これでは子どもが病院に対してネガティブな感情を抱いてしまうだけですし、また、鎮静剤には呼吸停止や心停止等のリスクも伴い、危険です。これを対話のみで改善できたらという思いから、取組みを始めました。
2019年、病院で初めてのプレパレーションを実施。
保護者からも反応は上々。でも、難しさも痛感…
2017年、鹿児島市内の病院から依頼を受け、打ち合わせや現場の見学を始めました。
この病院ではかつて看護師がプレパレーションを行っていましたが、多忙さゆえ取りやめたという経緯があったのです。とはいえ、大学生による医療現場でのプレパレーションは前例がなく、なおかつ入院中の子どもを相手にするため、入念な準備が必要でした。
そして2019年5月、初めて実施しました。検査の前日、子どもと絵本を読んだり、一緒に遊んだりして親睦を深め、プレパレーションを行いました。内容には工夫をこらしました。例えば、採血を行う子どもには、ゴムチューブで腕を縛り圧迫する代わりに細長い風船を代用し「明日はこんなふうに腕に巻くんだよ。怖くないからね」と優しく説明しました。プレパレーションの甲斐あってか、検査当日は普段よりも落ち着いて検査を受ける子どもたちの様子が見受けられ、ほっとしました。また、保護者の方からも、このような取組みは必要であるとの意見をいただきました。
しかしながら、様々な年齢・発育状況の異なる子どもを相手とすることの難しさも痛感しました。今後も活動は継続する予定なので、アンケート等からデータを集め、より良い実施ができるよう研究していきたいと思っています。
今後の目標と、将来に向けて
私たちの目標の一つは、この活動を通じて社会に少しでも貢献することです。子どもの健康は社会にとって必要なことですし、私たちにとっても、この経験が将来医療従事者となったときに役立つと思っています。
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このインタビューは、鹿大だより24号(2019年10月発行)の記事を、WEB掲載用に一部加筆・修正したものです。
掲載写真は学生から提供されたものです。掲載写真の無断転載・無断使用を禁じます。(制作:広報センター)
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