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創立60周年記念式典式辞(平成21年11月24日)

 

 

 本日ここに、ご来賓並びに多くの関係者各位のご臨席のもと、鹿児島大学創立六十周年記念式典を挙行できますことは、誠に光栄であり、慶賀に堪えないところでございます。鹿児島県知事をはじめ、ご来賓各位にはご多用中にもかかわりませず、私どものためにご光臨賜りましたこと、厚く御礼を申し上げます。皆様には、日頃から、本学に対する温かいご指導・ご支援を賜り、心から感謝を申し上げます。

 

 さて、鹿児島大学は、戦後の学制改革によって昭和24年5月に第七高等学校、鹿児島師範学校、鹿児島青年師範学校、鹿児島農林専門学校及び鹿児島水産専門学校の県下5校の高等教育機関を母体として発足しました。本学は、高等教育の機会均等と国土の均衡ある発展を意図し、人類社会の発展の基礎となる「知の創生とその継承」を使命とする『知の拠点』として、本年、創立60周年を迎えることができました。

 

 昭和24年の発足当時は、文理学部、教育学部、農学部、水産学部の4学部と一般教養部、附属図書館からなり、その後、昭和30年には、医学部、工学部が鹿児島県立大学からの移管により設置されました。また、昭和四十年には、文理学部が改組され法文学部、理学部となり、昭和52年には、歯学部が設置されました。

 

 このような、幾多の変遷改革等を経て、現在では8学部、10大学院を擁し、約9000名の学部生と約2000名の大学院生、約2400名の教職員からなる総合大学として地域のご支援とご協力をいただきながら発展して参りました。また、これまでに学部生、大学院生を併せ約九万名にのぼる有為な人材を社会に送り出して参りましたところでございます。

 

 本学の位置する鹿児島は、日本列島の南に位置し、古くから海外との交流や文化の先進地としての役割を担って参りました。そして、高等教育は地域の方々の熱い思いと財政的支援によって幾多の変革を重ねながら脈々と引き継がれてきたところでございます。

 

 鹿児島大学の源流は、藩学造士館や医学院に遡ることができます。若者がお互いに切磋琢磨しながら勉学に励み、進取の気性に富む人間を育む土壌を培ってきた鹿児島の教育的伝統を受け継ぎ、地域とともに誕生した大学として、「進取の気風」を継承し、「自ら困難な課題に果敢に挑戦する『進取の精神』を有する人材を育成すること、地域とともに社会の発展に貢献する総合大学をめざす」ことが、これからも鹿児島大学の目指す方向性として重要であると認識しております。このことは、本学のあるべき姿を明確に示すため平成19年11月に制定した「鹿児島大学憲章」でも宣言し、来年度から始まる第二期の中期目標・中期計画でも基本目標として定めたところでございます。

 

 幅広い教養の厚みに裏打ちされた倫理観と生涯学習力を備え、進取の気風にあふれる学生を育成するためには、学士課程の基礎となる共通教育の改善を図り、専門教育の質を保障するシステムを確立しなければなりません。 このため、早急に全学的・系統的なカリキュラムの整備に取り組むとともに、教育理念に基づき「学生憲章」を策定したいと考えています。この「学生憲章」の策定に当たっては学生自らが規範として学生生活を送れるようなものにしたいと考えているところから、学生にも参加してもらいながら策定して参りたいと考えています。

 

 研究面では、独創的・先端的な研究を積極的に推進するとともに、総合大学の特色を生かし、鹿児島の特性を踏まえて、島嶼、環境、食と健康等の全人類的課題の解決に果敢に挑戦して参ります。今後は、更に新たな歴史を作っていくために、教職員自らが率先して困難な課題に積極的に取り組み、実現可能な施策を大胆に打ち出して参る所存であります。

 

 また、本日は、遠路中国から本学との学術交流協定校である湘潭大学、湖南農業大学、雲南農業大学から学長、副学長はじめ多数の方々のご臨席を賜っております。南の玄関口である鹿児島県に根ざす大学として大学の国際化についても今後も真剣に議論し、学術交流や教育交流を通じて、国際交流拠点としての機能を高め、国際的課題の解決に貢献し、グローバル化時代に活躍できる人材を育成して参りたいと考えています。

 

 本日、創立60周年記念式典を迎えることができましたことは、私どもにとって大いなる喜びではありますが、平成16年4月には、国立大学法人法に基づき国立大学に法人格を付与するという大学制度上の一大転機がございました。我が国における国立大学を取り巻く環境は、極めて厳しいという現状を認識すると、困難な課題に果敢に挑戦する「進取の精神」をもって行動していくことが最も重要であると痛感しております。

 

 鹿児島大学に寄せられる期待を重く受け止め、歴史に裏付けされた教育の伝統の重さとこれまでご支援いただきました地域の皆様方に報いるべく、時代を先取りした改革を果敢に推し進め、時代を担う若者の人材育成とともに地域社会の発展に貢献する総合大学を目指して参る所存でございます。

 

 ご来賓並びに関係者各位におかれましては、今後とも私たちへの一層のご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げて私の式辞とさせていただきます。

 本日は、誠にありがとうございます。

 

 

     平成21年11月24日

鹿児島大学長

吉 田 浩 己