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学生インタビュー:第2回かぎん未来創造プランコンテスト(2018年度)

 第2回かぎん未来創造プランコンテストで、本学学生・大学院生がそれぞれ「未来創造プラン大賞」、「グッドイノベーション賞」を受賞しました。
 このコンテストは、独創性のあるビジネスプランを持つ学生や教職員を発掘することを目的として、鹿児島銀行および九州経済研究所が主催するもの。
 優秀なプランについては、事業化に向けた支援を行うことで、地域活性化およびベンチャーマインドあふれる人材の育成を目指します。
 選考基準はプランの新規性・独自性、実現可能性・成長性、事業化へのパッションや表現力などで、第2回となる今年度は29件の応募の中から、1次選考、2次選考、最終選考を経て各賞が決定しました。
 2018年10月13日に最終選考が行われ、見事大賞「未来創造プラン大賞」を受賞した尾林 莉咲さんにインタビューしました。
 
 

未来創造プラン大賞受賞
「利用者本位を目指す訪問歯科診療特化型プラットフォームの提供」

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尾林 莉咲さん

歯学部歯学科4年

 
 

まずはプランの内容について教えてください。

 「訪問診療」を希望する患者と、「訪問診療」を行っている歯科医師をマッチングさせるシステムを構築し、運用を目指すものです。
 たとえば皆さんがマンションやアパートを探すとき、地域や賃料、間取り、築年数などたくさんの条件から選択しますよね。同じように患者が「訪問診療」を行っている歯科医師を探す際、罹患している病気や既往歴・住まい等、様々な条件から選ぶことができれば、患者にとって最適な歯科医師を探すことができるのではないかと考えました。このようなシステムを構築し、WEB上に公開して、歯科医師や患者に利用してもらうというのが私のプランです。
 
 

条件検索ができるのですから、患者さんにとってはありがたいですね。

 患者だけではなく、医師にとってもメリットがあります。たとえば遠方の患者を訪問するのは医師にとって経済的にも時間的にも負担です。それに歯科医師の中には、糖尿病患者に対する治療を得手としているなど、得意分野を持つ方もいます。
 でも現実には、対応できないような病気を患う高齢者の患者に鉢合わせる場合もあります。訪問診療は「撃たれることのない野戦病院」のようなもので、閉じられた空間の中、限られた器具だけで臨機応変に対応しないといけないので、ベテランの医師でも容易ではないらしいです。ですから、このようなマッチングシステムがあれば、医師も十分な診療を行うことができるのではないかと考えました。
 
 

サイト経由で患者が訪問診療の申込みをしたら、歯科医院から何パーセントかの謝礼を得る、というビジネスモデルなんでしょうか?

 いえ、それはできないんです。療担規則で決まっていて。保険医療機関というのは儲けを意識したらいけないんですね。集客してもらって謝礼を支払うというのは、利益を目的とした出費になりますから、歯科医院側が罰せられてしまう。
 ですから、掲載費用をいただく程度になりますね。利益はあまり生まなくても、現状を変えるには、こういったことをやらなければと思っています。
 
 

コンテストへの応募の経緯は、どのようなものだったのでしょうか。

 世の中をよくしたいという思いは普段からあるんですが、私はアルバイトで歯科助手のようなことをしていて、その歯科医院が訪問診療を行っています。でも認知度の低さからか、あまり利用されていないようです。一方で、利用する患者は遠方にお住まいだったり、訪問診療で良い先生にめぐりあうのは難しいという話を患者さんから聞いたりしていて。そういったミスマッチを解消できないかというところから始まっています。
 でもいちばんは、自分を変えたいというのがあって。自分に自信がないんです。「夢をかなえるゾウ」(※)という本に、「自分を変えたかったら“応募する”のが一番良い」と書かれていたんです。その頃、ちょうどこのコンテストのことを知って、良い機会だと思ったというのが経緯です。
(※)夢をかなえるゾウ:日本の作家水野敬也による書籍。平凡な主人公が「神様」を名乗る謎の生物ガネーシャから与えられる課題をこなしながら自らの人生を変えていく物語。2007年発行。
 

普段はどのような勉強をされていますか。

 基礎医学・臨床医学があって、いまは完全に後者。患者相手を想定した授業がほとんどです。
 ある症状の場合はこの病気が疑われるとか、ある病気に対してはこういうアプローチをすべき、とか。あとは実習です。入れ歯を装着したり、実際に削ったりと実践的な実習をしています。
 
 
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実習室にて。普段はこのように一人一人が模型を使ってトレーニングを行っているそうです
 
 
 

これから医療の世界を目指す後輩の皆さんにメッセージをお願いします。

 鹿児島大学の歯学部は、教授も含めて、先生方と学生の距離がかなり近いと思います。先生方も教育熱心な方が大勢いらっしゃって、今回の応募についても、先生にアドバイスを求めたら、鹿大の卒業生で、訪問診療に詳しい先生を紹介してくれました。連携が密だなと感じました。
 歯科診療において訪問診療は、今後ニーズが高まっていくと思います。病床数の不足などの問題もあって、病院に入りたくても入れないというケースも多いですから。医療者が病院で待つだけでなく、自ら外に出る必要性も高まっていくのではないかと思います。
 
 
 
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尾林さんが学生として日々を過ごす歯学部棟(桜ヶ丘キャンパス)にて。
多くの人のQOL(quality of life:生活の質)を上げたいという思いから、医療の道を志したと語ってくれた尾林さん。
その高い志をこれからもきっと持ち続けてくださると思います。
 
 
尾林さん、どうもありがとうございました。
 
【インタビュー:2018年11月7日/掲載日:2018年11月19日】