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学生インタビュー:第2回かぎん未来創造プランコンテスト(2018年度)

 第2回かぎん未来創造プランコンテストで、本学学生・大学院生がそれぞれ「未来創造プラン大賞」、「グッドイノベーション賞」を受賞しました。
 このコンテストは、独創性のあるビジネスプランを持つ学生や教職員を発掘することを目的として、鹿児島銀行および九州経済研究所が主催するもの。
 優秀なプランについては、事業化に向けた支援を行うことで、地域活性化およびベンチャーマインドあふれる人材の育成を目指します。
 選考基準はプランの新規性・独自性、実現可能性・成長性、事業化へのパッションや表現力などで、第2回となる今年度は29件の応募の中から、1次選考、2次選考、最終選考を経て各賞が決定しました。
 2018年10月13日に最終選考が行われ、「グッドイノベーション賞」を受賞した理工学研究科の2名にインタビューしました。
 
 
 

グッドイノベーション賞受賞
「ぽけっとろいど~スマートフォンで簡単!本格ロボットプログラミング!~」

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理工学研究科1年 物理・宇宙専攻 須藤 順平さん(左)
理工学研究科1年 情報生体システム工学専攻 松田 翔太さん(右)

 
 

まずはプランの概要を教えてください。

 
須藤さん:
 スマートフォンの機能を活用した教育用プログラミングロボットの開発・販売を行うというものです。プログラミングの経験がない子どもから大人まで、親子が一緒に「ロボット」を動かす体験を通じて、楽しくプログラミングを学んでもらうと同時に、「プログラミング的思考」をも養ってもらえたらと考えています。
 具体的には、スマートフォンの音声認識の技術を利用します。スマートフォンに話しかけてプログラミングを行い、それを無線でロボットに送ります。ロボットはプログラミングされたとおりに動くので、直感的にプログラミングを体感できます。
 
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教育用ロボットの試作機1号。須藤さんがなんと1日で製作したそう!
 
 

子どもでも簡単にプログラミングができるようになる、という教材なんですね。

 
須藤さん:
 もちろんプログラミングを楽しんでもらうことが目的です。ただこの事業の本質はそこではありません。プログラミングの本質は、ただ言語を理解してコードが書けるようになるというようなテクニカルなところにあるのではなく、「プロラミング的思考を培う」ところにあります。
 2020年から小学校でのプログラミング教育が必修になりますが、必修化の狙いは、プログラミングができるようになること、つまりプログラマーを育成することではなく、「プログラミング的思考」を身につけさせるところにあります。
 プログラミング的思考というのは、物事には手順があって、その手順を踏むと、うまく解決できるといった論理的思考のことですね。
 
松田さん:
 私自身、大学に入ってからプログラミングを始めたのですが、大学4年間では想定していたレベルに達することができず、ハードルの高さを感じました。ですから、小学生にプログラミング教育を行うということを初めて聞いたときも、そのハードルの高さがネックになるのではないかと思いました。
 でも実はプログラミングというものはすごく単純で、基本的な考え方は「順序処理」「条件分岐」「繰り返し」この3つだけ。この3つの基本要素を体感的に理解できれば、私が感じていた取っ付きにくさのようなものは解消されるのではないかと思います。
 
 
 

将来的な事業展開については考えているのですか?

 
須藤さん:
 賞金をいただいたので、それを使ってできる範囲でやろうとは考えています。
 それで、まずは試作機を作ってみました。現在、松田君が音声入力を文字に起こすソフトを開発しています。お互い研究室の研究が本業なので、本業をおろそかにしない程度にやろうと思っています。
 
 
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実際にロボットを動かしてもらった。スマホから指令を与えると前進したり右折・左折したりする。
 
 

お二人は研究室も別々だそうですね。応募の経緯はどのようなものだったのですか。

 
須藤さん:
 院生向けに開講されているMOT教育プログラム(※)の授業の最終レポートが、ビジネスプランを考えるというものでした。その最終レポートを膨らませたのが今回のプランです。
 松田君とはこの授業で知り合いました。だから会って3ヶ月くらいかな。お互いのことを実はまだあんまりよく知らないです(笑)。
 
松田さん:
 私は大学院から鹿大に来たので、鹿大のこともよく分かっていません。鹿大歴、半年です。
 
須藤さん:
 そういうのも面白くて、松田君を誘いました。
 
(※)MOT教育プログラム:産学・地域共創センターが開講する教育プログラム。「新事業創出や技術の事業化・特許化」「技術と経営のセンスを併せ持った人材(高度専門的職業人)育成」を目的として構成されており、「知的財産戦略構築実務論」と「技術経営と社会連携経営」の2つの講義がある。
 
 

普段の研究内容について教えてください。

 
須藤さん:
 私は星の観測をしていて、入来観測局(鹿児島県薩摩川内市)にも月に1回くらい行っています。
 私の研究室は天体観測用の特殊な装置の開発を行っていて、私自身も、天体撮像用の赤外線カメラの開発を行っています。望遠鏡で星を観測する際にカメラで撮影を行うのですが、そのカメラが特殊なんです。
 
松田さん:
 私はクローラビジョンを用いた環境認識に関する研究を行っています。
 クローラとは戦車でいうキャタピラの部分。クローラにカメラを取り付けて、乗り越えられない段差に出会った時に、どう段差を認識して回避していくのかということを研究しています。コンピューターが外の世界をどう認識しているのかというのを考える研究で、人工知能に近いです。
 
 

今後事業を展開していくとして、世の中がどうなっていったら良いなという思いがありますか。

 
須藤さん:
 私は小・中学校の時にプログラミングというものに漠然とした興味はありましたが、何から手を付けたら良いのか分からなくて、結局大学に入るまでプログラミングを行う機会がありませんでした。そういった壁を取り払うきっかけになれば良いかなと思います。
 
松田さん:
 プログラミングは難しいというイメージがどうしてもありますが、先程も言ったように、基本となるのは3つの要素だけ。それさえ理解できていれば、自分がやりたいと思うことは必ず現実に起こせるし、それが可能なのが現代社会です。身の回りのコンピューターや機械もすべてプログラミングされて論理的に動いています。そういうことを理解して、色々なことができる力を子ども達に身につけてもらう一歩になれば良いなと思っています。
 
須藤さん:
 この事業プランに興味をもってくれる方がいれば、ぜひ私たちに声をかけてもらえたら。2人だとどうしても限界があるので、一緒にやってくれる人がいたら大歓迎です。
 
 
熱い思いが感じられるインタビューでした。須藤さん、松田さん、どうもありがとうございました。
 
【インタビュー:2018年11月7日/掲載日:2018年11月19日】