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ベストティーチャー(令和2年度)

 鹿児島大学では、本学の教育実践に顕著な成果をあげたと認められた教員に対して、その功績を表彰し、本学教員の意欲向上と、大学教育の活性化を図ることを目的としたベストティーチャー賞制度を平成30年度から設けています。
 このページでは、令和2年度に受賞した教員の授業に対する心がけや創意工夫を行っている点などについてのコメントを紹介します。

ベストティーチャー最優秀賞

  • 酒井 佑輔
  • 法文学部
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  •  この度は、令和2年度鹿児島大学ベストティーチャー最優秀賞を授与いただき身に余る光栄にございます。
     このような名誉ある賞を頂けたのは、教育・研究業務を日夜支えてくださる事務の皆さま、切磋琢磨しあえる同僚の先生方、そして何より能動的な授業参加を通じて一緒に授業を創ってくれた学生の皆さまによる、ご理解・ご支援あってこそだと感じております。また大変ご多忙な中で選考に携わってくださった佐野学長並びに理事の方々にも重ねてお礼申し上げます。
     私は法文学部地域社会コースにおいて、主にNPOや多文化共生、グローバル化等をキーワードに社会教育に関する授業を担当しています。このような名誉ある賞を頂いたものの、実際のところ教育課題は山積みで試行錯誤の毎日です。
     そうした中でも授業で特に意識しているのは、
       ①CBL(Community Based Learning(地域に根差した学び))
       ②学習者の主体的な学びをうながす環境の醸成
       ③学習者相互の学びあい
    の3点です。
    ①CBL(Community Based Learning(地域に根差した学び))
     鹿児島という地域そのものが学びの宝庫であること、教育や研究を通して鹿児島の地域に少しでも関わることが本学としても重要であるという考えから、授業ではできる限り鹿児島の地域課題や実態等を踏まるよう心がけています。
     具体的には地域で活躍する人をゲスト講師として招いたり、時には実際に授業に関わってもらい学生と協働し授業内容の成果物作成などにも取り組んでいます。
    (実践事例については以下の法文学部HPをご覧ください https://kadai-houbun.jp/seminar_info/210323-02/
    ②学習者の主体的な学びをうながす環境の醸成
     学習者が自ら主体的に問いを持って学ぶには、学習ニーズや問いの可視化や深化と、それをはかるための学習者と教育者との対話が重要だと考えています。そこで授業ではアイスブレイク等を取り入れて学習者が発言・参加しやすい環境づくりにはげんでいます。
     またrespon等も活用し学生からの授業に対する疑問や意見、批判に対してもできる限り答えるようにしています。こうしたやりとりでは、授業中発言等で失敗しても問題ないこと、逆に進んで失敗しそこから学ぶことが評価につながることも強調します。
     このような働きかけを通じて失敗・参加が可能な授業であることを伝えつつ学習者とできる限り対話することで主体的な学びをうながす環境づくりにはげんでいます。
    ③学習者相互の学びあい
     獲得した知識やノウハウをインプットしただけではすぐに忘れてしまったり、机上の空論と化し日常生活に引きつけて考え生かすのが難しいのではないか、という思いがあります。そこで、授業は主に反転授業(flip teaching)形式を用いています。
     学習者には事前に文献購読等の予習課題をかします。授業当日は予習課題の理解の確認や課題内容を自分に引き付け問いを深めるグループディスカッション等を行います。また、グループごとに議論した内容を発表する場も確保します。
     こうして学んだ内容を自ら他者に言語化し伝えたり、理解できていない人を支えあうことで学習者同士のより深い学びが生起すると考えています。
     冒頭申し上げたように教育課題は山積しておりますが、この度頂いた賞に恥じぬよう今後も自己研鑽に努めてまいりたいと思います。この度は誠にありがとうございました。

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  • 杉浦 剛
  • 歯学部
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  •  令和2年度鹿児島大学ベストティーチャー最優秀賞の栄誉をいただき、大変光栄に感じております。学長はじめ理事の先生方に御礼申し上げます。また、歯学部よりの推薦の際に携わっていただいた先生方にも深く感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。
     さて、ベストティーチャー賞受賞にあたりコメントということでしたが、私は教育について方法論や理論を学んできたわけではありません。ただただ「学生の目線で・学生のニーズを探る」「メリハリをつける、ポイントをはっきりさせる」「関心を引き出し、興味を維持させる」「実践に直結させる」「教科書や成書に書いていないことを学ばせる」にはどうしたらいいかを夢中で試行錯誤をくりかえしてまいりました。
     私は歯学部で口腔外科学と医療安全、感染対策を担当しています。医療系以外の学部の先生方の参考になるかはわかりませんが、私の取り組みを紹介させていただきます。
    (1) 学生の目線で・学生のニーズを探る
     講義を組み立てるうえで大切にしていることがあります。それは学生の目線・学生の立場です。自分が歯学部学生であった時のことを思い出し「何がわからなかったか」「どうして欲しかったか」については少なくとも私の講義では解消するようにしています。私が学生の時の一番の悩みは、低学年次で教えられたことが既に理解済みの事項として解説されず、それが講義の消化不良の原因になっていることでした。歯学部では低学年次に人体解剖や生理学、生化学という人体の基礎を学び(基礎系科目)、高学年になると臨床科目を学びます。教授の順次性は妥当ですが、「学生は臨床で基礎系科目がどう役に立ってくるかわからない」「基礎系科目で臨床系の内容までは教授しにくい」ので、一般に基礎系科目の内容は忘れているのが学生の傾向です。そこで、私の講義では基礎系科目の先生に来てもらって、疾患の理解や治療計画に必要な基礎系科目の情報提供も同時にしてもらうようにしています。事前打ち合わせは大変ですが、学生の理解度が明らかに違います。
     また、manabaを利用してポストアンケートを実施するようにしています。テストはミニマムな理解度のチェックしかできませんが、自由筆記で感想を書いてもらうと予想もしていない間違った理解や、意外な弱点に気付くことができ、次の講義の際にその部分を振り返るようにしています。
    (2) メリハリをつける・ポイントはっきりさせる
     それでも90分の講義は長いです。アクティブラーニングを常にするわけにはいきませんので集中力を維持させる工夫は必要です。私の講義では「講義内で最低限習得すべき内容」についてプレテストを行います。できなくて当然なのですが、講義中に集中すべき部分の内容について先に情報を与えることは効果があります。講義終了時にポストテストを行って理解改善度をチェックします。もちろん講義中もメリハリをつけることが大切です。語気の調節や雑談、例示、相互対話など、学生の様子を見ながら適宜挿入するようにしています。
    (3) 関心を引き出し、興味を維持させる
    (4) 実践に直結させる
     現代の学生は無関心が特徴です。学問に関心がない、他人に興味がない、そんな学生に関心を向けさせるのは、実体験や疑似体験です。何年後かに自身が対面するであろう問題に直面させます。実際の患者の基礎情報、写真、検査結果などありとあらゆる情報をセットにして5~6名のグループに提供します。課題は「これまでに学習した内容や、診療ガイドラインをベースに、この患者の治療方針をかんがえなさい。」というシンプルなものです。ただ調べる際に信用できる情報を得なければいけませんので、信頼できるインターネットの情報元などは提供しています。グループ発表をさせ、学生全員がその発表に対する採点と感想をmanabaに入力します。講師側として最もうれしい瞬間は「教えていないこと、教科書にかいていないことを学生自ら提示してくる」「自分が患者だったらどうか」という講義で伝えないこと、伝えるのが難しいことを提示してくることです。「調べること、考えることの楽しさは自己学習習慣形成につながる」のです。
    (5) 教科書や成書に書いていないことを学ばせる
     医療系の講義で、教授がむずかしいし、コアカリキュラムも書いていないけれど教えなければいけないと私が考えていることがあります。それは「医療人は患者と同じ人間である」ということです。患者の立場で考えることができる医療人でなければ、どんな素晴らしい治療方針もテクニックも無意味になってしまいます。
     「患者の声を聴く」という講義を、私の患者さんに協力してもらって「診断されたときどう思ったか、先生の言葉がどう響いたか」「家族の反応はどうだったか」「仕事はどうしたか」など教科書からは学べないことを提供する義務が教育にはあると感じています。
     教育の基本は双方向性と言われ、かつこのコロナ禍でこの双方向性という言葉が教育手法にのみ注目されているように感じます。実際には双方向性とは、学生の気持ちを汲む、学生に教員の意図を読み取らせるということが真の双方向性ではないでしょうか。座学の講義でもこれは可能だと考えます。結局、「人間くさい教育をする」ということなのではないかと思っています。皆さんの熱意が学生に伝わるように祈念しております。

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  • 北原 兼文
  • 農学部
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  •  この度は、栄えあるベストティーチャー最優秀賞をいただきまして身に余る光栄に存じます。ご推薦いただきました農学部FD委員会及びご選考いただきました佐野輝学長を始め、選考委員の皆様に厚くお礼申し上げます。
     私は糖質化学を専門とし、主に「有機化学」や「植物性食品学」を教授しています。従来の授業は、パワーポイントの映写とホワイトボードの板書、配付資料で進めていました。ご承知の通り、令和2年度の前期は全授業が遠隔授業として始まりました。これに対応するために、全てのパワーポイントの講義資料を見直し、フリー素材集の「いらすとや」を駆使して、文字情報と関連絵画で印象が残るように工夫しました。この講義資料を刷新したことが、学生さんにとって良かったのかもしれません。
     「有機化学」は、1年生の前期、月曜日、1時限の開講です。大学における初めての専門科目になりますので、学生さんたちが学科の専門に興味を持っていただくように、また気軽に質問できる雰囲気となるように心がけています。ブルーマンデーとならないように。

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ベストティーチャー賞

  • 中島 友樹
  • 教育学部
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  •  この度は,令和2年度鹿児島大学ベストティーチャー賞を授与いただきありがとうございます。教育学部の先生方・学生の皆様をはじめ,関係の皆様に心よりお礼申し上げます。
     私の専門は,体育科教育です。教育学部においては,教師を志望する学生さんを対象に,小学校や中学校,高等学校における体育・保健体育科の授業のあり方や,教材研究に関する授業を主に担当しています。授業については,現在もなお課題を感じており改善の必要性を認識しているところではありますが,以下,私が授業において意識していることについて述べさせていただきます。
    1.授業づくりはチーム戦
     本学に赴任する前は,小学校教諭(常勤講師として高等学校,ならびに特別支援学校にも勤務)として教育現場に身を置いていました。 そこで痛切に感じていたのは,授業づくりは「チーム戦」であるということです。児童生徒の状況や学びの履歴等の情報収集,授業のアイデアについては,一人でできることには限度があります。しかし,チームとして取り組むことができれば,はるかに大きな情報・発想・成果をあげることができます。
     本学に赴任してからも,先生方の授業を参観させて頂き,授業改善のアイデアや学生さんの学び方の特徴をみとるなど,貴重な情報収集の場として活用させて頂いています。また,学部・学科の先生方や他大学の先生方との交流から,授業のアイデアやコロナ禍における効果的な授業方法などを学ばせて頂いています。
    2.よい授業のできる条件
     よい授業ができるためには,自分がよい授業を受けるか,よい授業を直接見たことがあることが絶対条件であるといわれています。そのため,よい授業の具体を示すとともに,かつてその経験のある学生にはそれを思い出させ分析的に振り返ること,そのような経験のない学生には私自身の講義がよい体育授業として機能することを意識しています。
     学校現場において,体育・保健体育科の授業が研究授業として取り扱われる機会は多くないことに加え,それを専門的に学ぶ人は(小学校の場合)1割にも満たないといわれています。そのようなことから,本講義を通して体育授業の面白さに触れ,授業改善を求めて学びたいと思える人材育成の場となることを強く意識しています。
    3.今だからこそできることを
      令和2年度の授業は,コロナ禍の影響もあり,これまでとは全く異なる方法で行うことが求められました。そんな中,世間一般の体育授業は,筋力トレーニングやストレッチングの方法を伝達するものに終始する傾向が見られました。これでは「運動を媒介として,コミュニケーション能力を育成する場」としての体育の存在意義を示すことができないと危機感を抱いていました。そこで, 今,目の前にいる学生さん,すなわち数年後に学校現場で体育授業を行う人たちに,どのような状況においてでも体育授業の意義や価値を感じさせることのできる授業の具体を示すことが私の使命であると考え,授業を再構成しました。グループ毎に話し合った振り付けを個人のスマートフォンで撮影し,それを編集したものを視聴しながら感想の交流や改善点の指摘を行ったのは,そのような思いから生まれたアイデアです。
     本学部の教育成果は,卒業生の授業に表れると考えています。受講生の皆さんがやがて行う体育授業が,子供たちの成長を保障するものであること,そして,運動との素晴らしい出会いの場として機能すること。さらには,そのような子供たちの姿を見ながら充実感を感じられるような教師の育成に貢献するべく,私自身の授業を磨いていきます。

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  • 加藤 太一郎
  • 理学部
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  •  このたびは令和2年度鹿児島大学ベストティーチャー賞受賞の栄誉に浴し、身に余る光栄に存じます。私の講義に対して学生が良い評価を示してくれたことは大学教員として大きな自信となりました。ただこの結果に満足せず、更に改善しながらよりよい教育を提供できるように精進していかなければと気持ちを新たにしています。
     私は教育とは、学生が講義を受けたことによって知的好奇心が刺激され、その分野をもっとよく知りたい・自ら学びたいと思い、自発的に学ぶ行動をとるように導くこと、だと考えています。たった15回という限られた講義時間の中で、ある学問領域のすべてを学生に教授することは不可能です。私の授業を受けた学生が、講義が終わった後もワクワクしながら自発的・継続的に学び続けてくれるためのきっかけを作ることを目標に授業を行っています。そのためには知識をただ暗記するだけの受け身の授業ではなく、学生が自ら授業に参加し自ら考える機会を多く提供することが大切だと考え、問いかけたり、意見交換しながら講義内容を振り返る時間をできるだけ多く確保することに努めています。授業中にたくさん発言をしてもらうことで、学問分野の基盤的内容をしっかりと理解してもらえるだけでなく、みんなの前で自分の意見を発言できた!という学生の自信や自己効力感も高められているのではないかと思っています。
     私の教育分野は生化学に関連する講義と実験ですが、研究内容も本分野に関連した酵素有機化学であり、主に酵素タンパク質の基質認識や触媒能力発現機構の解明と構造-機能相関に関する研究をしています。研究を進めるためには生物を(有機)化学の視点から理解することが大切です。最終的に生命現象を有機化学反応式で記述するという目標を掲げながら、この分野に興味を持ってくれる学生が一人でも増えること、そしてその中から将来一緒に研究を進めてくれる意欲的な人材が現れることを期待して、今日も教育研究に取り組んでいます。

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  • 木村 至伸
  • 工学部
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  •  このたび、令和2年度ベストティーチャー賞を賜りたいへん光栄に存じます。本賞にご推薦くださった先生方および遠隔講義という慣れない学習環境にもかかわらず、私の講義を真剣に受講し評価してくれた学生の皆様に感謝いたします。また、本賞に選ばれたことは、工学部海洋土木工学科(現 先進工学科海洋土木工学プログラム)の教育熱心な先生方の近くで教育方法に対する刺激を受けてきたおかげです。この場を借りて感謝申し上げます。
    受賞対象科目:構造力学(2年次前期,必修科目),構造解析学(3年次前期,必修科目)
    授業への取り組み・工夫
     令和2年度の講義は、新型コロナウィルス感染症の影響により遠隔形式となったため、従来の対面講義(板書)用の直筆講義ノートをPPT版にするとともに、その内容の一部を虫食いにした配布用の資料を準備しました。資料を事前配布することで予習を促し、講義ノートでは式展開の行間を埋める説明を心掛けるため、アニメーションを多用するよう工夫を行いました。
     これらの資料を準備した上で、講義前には必ず自身の講義ノートを見直し、重要項目や学生が理解に苦しみそうな内容を予測しながら90分間の時間配分をイメージして講義に臨みました。講義後には、レポートの採点から学生の理解が低いと感じた内容を講義ノートに書き出し、翌週の講義で再度説明しています。講義中は、基本的な例題を取り入れ、受講生が解法を確認できるように全ての過程を説明します。応用的な問題では、"リアクション機能"を使用しながら、学生に質問することで理解度を確認する(たまには、ひっかけ問題を与えてみる)ことも行いました。受講生の直接的な反応や熱を感じることが難しい遠隔講義でしたが、可能な限り対面講義と同じ雰囲気の講義を提供できるように努めました。
     このように、教育への工夫として特別なことをしているわけではありませんが、授業評価アンケートでは以下のようなコメント(原文のまま)をいただいており、受講生に私の教育に対する姿勢が伝わっているものと感じています。遠隔講義という不慣れな講義形式だったにもかかわらず、講義の内容を理解してもらえたこと、加えて講義内容(姿勢?)を高く評価してもらえたことをとても嬉しく思います。
    ・資料が見やすくて確認しやすかった.
    ・スライドがとても見やすかった.不具合などもなく,授業に取り組めた.
    ・スライドを事前に配布してくれるおかげで板書の手間が減り,話を聞くことに集中できた.
    ・(遠隔授業の中で)オフラインと遜色ないクオリティを提供していた.
    ・質問にすぐに答えてくれ,レポートもスムーズに行うことができた.
    ・質問に行ったときに,分かるまで向き合ってくれた.
    最後に
     令和2年度は、新型コロナウィルス感染症の影響により授業形式が一変し手探り状態でした。1コマ90分の講義を準備するのにも多くの時間を費やしましたが、講義ノートを見直すことで多くの改善点を確認できたように思います。毎年違う受講生と真摯に向き合い、今後も講義内容の改善に努めていきたいと思います。

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  • 五島 崇
  • 工学部
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  •  令和2年度のベストティーチャー賞に選出いただき、授業評価アンケートにおいて高い評価をつけてくれた学生の皆さんに感謝いたします。「技術英語I」は、特段英語を得意としていない私が鹿児島大学に着任後8年間実施してきました。改めて授業アンケートの評価を見返したところ、ほぼ全項目の評価が毎年アップしていることに気づきました。授業として特別な工夫は行っておらず研究室で取り組んでいる教育法が少なからず授業でも学生の心に響いていると考えられ、非常に嬉しく思っております。
     これからもより良い授業を学生の皆さんと一緒になって創っていけるように教育活動に邁進していきます。
     授業を行うにあたり工夫したこと
     私の教育法は、「学生のモチベーションをあげて、維持する」に尽きると考えております。授業であれば半年、卒業研究は1年、修士研究は2年そして就職活動は半年から1年と、時には気持ちの浮き沈みがある中で情熱を持って取り組み続けられるように教育を行います。
     それでは、「いかにしてモチベーションアップと維持を図るか?」です。たとえ私が取り組む意義や方法を熱心に伝えても、また学生がその意義や方法を理解しても、学生はモチベーションが上がらずしては取り組むのが難しい。学生のアクティブラーニングには、まず互いを感じて理解するように努める「アクティブフィーリング」が重要であり、学生は気持ちが通じるとわかれば自ずとやる気が出ると考えております。
     以下はアクティブフィーリングの一例となります。
     
     1.学生のお手本となる:例えば、教員が授業の開始時刻と終了時刻を必ず守った上で、学生の遅刻を減点扱いとする。
     2.日々の元気な挨拶:授業以外のTPOでの挨拶などのやりとりを大切にする。
     3.良い授業をしようとしない:授業の正解を求めずに学生との駆け引きを楽しむ。毎週のレポートでは宿題の実施記録の他に
      自己評価および所感を書かせる。授業後に個々の学生の特徴を考えながら宿題の評価や質問へ赤ペンを入れる。授業への改善
      依頼がある場合には次の授業に必ず取り入れる。特に、学生の理解度には幅があるので平均となるようにアレンジする。必要
      に応じて依頼学生の名前を挙げて感謝を伝える。依頼を組み込めない場合には正直にその理由を伝える、など。
     4.しっかりほめて、時には厳しく:学生の努力に応じて具体的なエピソードを踏まえて言葉で伝える。
     5.何でも相談に乗る:良くも悪くもいつもと調子が異なると感じる学生には積極的に声を掛ける、話を聞く。
     6.思い込みが本物へ
     7.たとえ話で懐に入る
     8.キーマンをおさえる
     9.さしみでOK
     10.まずは選択、次に立案
     11.質問はありませんか?には注意すべし
    【要約】
     ・私の教育法は「学生のモチベーションアップと維持」に尽きる
     ・アクティブラーニングは「アクティブフィーリング」から
     ・「しっかりほめて」、時には厳しく

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  • 奥野 浩行
  • 医歯学総合研究科(医学系)
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  •  この度は、令和2年度ベストティーチャー賞をいただき誠にありがとうございました。大変光栄であるとともに身が引き締まる思いです。ご推薦いただきました学生の皆様と教員の皆様ならびにご審査いただきました先生方に深く御礼申し上げます。
     学部教育では私は主に一年次前期 ‐まだ学生の大学での学習習慣が固まっていない時期‐ の授業を担当しています。大学の授業は高校と異なり、授業で習ったことを基に自ら問題・課題を見つけ、それに対する答えを自分で調べるなり他人に聞くなりして知識を広げていくプロセスを習慣化することがとても大切です。ですので、大学教員が1年次学生に対して果たすべき役割の一つは、高校までの「受動的学習」から大学における「能動的学習」への意識の変革を助けることだと考えています。このために学生からの質問を引き出すことは重要だと思いますので、私は授業時間後もmanaba/レスポンでのアンケート機能等で質問やコメントを随時受け付け、できるだけ質問のハードルを下げるようにしています。質問への回答は可能な限り速やかに行い、さらに再質問につなげ、会話のキャッチボールを行うようにしています。また、学生の皆様からのコメントは授業の改善にとても役に立っています。
     大学教員としては研究を行うこと、そして研究者を育てることも重要な職務です。授業では教科書の内容に関連した最新論文や自身の研究などのトピックスに触れたり、時には国内トップクラスの研究者による特別授業を開催したりすることもあります。このような教科書にはまだ載っていない"新鮮な"研究事例に接することにより、一人でも多くの学生が研究活動に興味を持ち、将来研究に関わるようになってほしいと願っています。
     大学院教育においては専門性が増すために能動的な学習はさらに重要になります。私は修士・博士課程の学生には、自ら課題を設定し解決することができる自立的な研究者の育成を目標とした講義・実習や研究指導を行っています。
     令和2年度はオンライン授業元年ともいうべき1年になり、学生・教員ともに新しい授業形態への移行に四苦八苦いたしました。しかし、実際に行ってみるとオンデマンド動画配信やZoomのブレークアウトルーム機能を利用したグループ学習などオンライン授業ならではの有効な活用法も見えてきました。当面は続くであろうウィズコロナ時代に対応した、学生が受ける価値のある教育を提供する努力を続けていきたいと思います。

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  • 松成 裕子
  • 医学部
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  •  令和2年度の鹿児島大学ベストティーチャー賞に選んでいただきましたことに、保健学科の学生の皆様をはじめ,医学部の先生方,特にFD委員会の皆様に対し,心より感謝申し上げます。
     今回の選出の要因としましては、共通教育科目2科目の科目責任者、保健学科のチーム医療科目群4科目、看護学専攻の基礎看護学・統合分野の10科目と演習、実習などの多くの授業を担当していることでの一票の積み重ねだと考えています。
     そして、私が担当している授業、演習、実習で、特に大切にしていることは、学生が「批判的・論理的なクリティカルシンキングのステップにて思考し、物事を探求することができる能力を修得する」ことを目指しています。それには、授業では座学の時間を少なくし、アクティブラーニングの活動を取り入れ、動機づけに重きを置き、楽しく、学び、そして、「なぜ?」「どうして?」と思考し、探求することに喜びを見出せるような工夫を心掛けています。しかし、いつもながら、授業を振り返えると、改善すべき点が山積しています。
     これからも学生と共にリフレクションを深め、より充実した授業を展開できるよう努めてまいります。

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  • 内匠 正太
  • 水産学部
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  •  この度は、このような素晴らしい賞を頂きありがとうございます。
     普段、私が講義で心がけていることは、いかに講義内容に興味を持ってもらうかという事です。幸い食品に関する講義を担当しているので、学生が興味を持ちそうな身近な事象を講義で取り扱えたことが、今回評価して頂けた大きな理由かなと感じています。
     講義内容に関しては、まだまだ改善すべき点もありますので、今後も学生からの質問や要望を講義にうまく取り入れながら、より良い講義を作り上げていけるよう、学生の声に耳を傾けられる姿勢を持って教育活動に取り組んで行きたいと思います。

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  • 白石 光也
  • 共同獣医学部
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  •   この度は素晴らしい賞を頂き誠にありがとうございます。これまで悩みながらの教育活動でしたが、今回学生や教員の皆様から客観的な評価をいただけたことは大変嬉しく励みになります。  

     授業方法はオーソドックスなスタイルに近く、特段の工夫を行っているわけではありません。基礎的な科目を多く担当していることから、できるだけ容易な用語と表現を意識し、学問に対して興味をもってもらう授業を心がけています。

     教育には正解がなく日々進歩、変化していることを念頭に、今後も試行錯誤しながら精進したいと思います。

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  • トレマーコ・ジョン
  • 総合教育機構
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  •  まず最初に、ベストティーチャー賞のような素晴らしい賞を頂きとても恐縮していると共に大変光栄に思っています。
     なぜなら私自身、私の同僚の先生方よりさほどいいと感じているわけではないからです。
     例え、私が教える立場としてこのレベルに到達できたとしたら、シンプルに現在の同僚の方々や私の長年のキャリアの間に助けて下さった皆さまのお陰だと言えます。
     その私を助けてきて下さった同僚の先生方々、事務局の方々、そして私についてきてくれた学生たち...教員にとって学生のみなさんが何より指導において何が必要かを常に考えさせてくれ、気づかせてもらえました。またコロナ禍で心身難しい時期にもめげずに努力してきた学生たちにもとても感謝してます。
     これら全ての方々に心より多大な感謝をお伝えしたいです。
    本当にありがとうございました。

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