ベストティーチャー(令和4年度)
鹿児島大学では、本学の教育実践に顕著な成果をあげたと認められた教員に対して、その功績を表彰し、本学教員の意欲向上と、大学教育の活性化を図ることを目的としたベストティーチャー賞制度を平成30年度から設けています。
このページでは、令和4年度に受賞した教員の授業に対する心がけや創意工夫を行っている点などについてのコメントを紹介します。
ベストティーチャー最優秀賞
- 理学部(山本 啓司・礼満 ハフィーズ・ 北村 有迅)
- 理学部
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この度、令和5年度鹿児島大学ベストティーチャー最優秀賞に選ばれましたことを大変光栄に存じます。受賞対象の「地層学・古生物学実験」の来歴は、30年以上前に筆者(山本啓司)が理学部助手に着任した時点に遡ります。理学部地学科では地質学に関連する各種の実習を、各先生がそれぞれの専門分野に関わる部分についてバラバラに担当していました。それらの内容には、本来教授すべき事項に照らして過不足がありました。そこで、当時の山本温彦(まさひこ)助教授が主導して授業を再構築し、見学する地層、岩石、地質構造のバランスを改善しました。筆者はそれを引継ぎ、井村隆介(現共通教育センター)、尾上哲治(現九州大学)、仲谷英夫(鹿大名誉教授)、北村有迅、礼満ハフィーズの各先生方と共に少しずつですが改良を重ねてきました。これらの先生方の貢献に支えられ、現職の3人が受賞したことになります。
この授業の特色は座学、室内実験、野外実習を連携させているところにあります。座学で学んだ知識を次の実験・実習で実体験し、それをベースに次の座学に進むというサイクルになるようにデザインしています。学生は地層・岩石の分布形態を地下まで含めて3次元的に理解できるようになり、堆積岩の観察方法や岩石の薄片(プレパラート)作成方法、化石の分類・同定の方法などを習得します。ただし、現在の構成が完成形ではありません。見学していた露頭(地層・岩石の露出)が消滅したり、路線バスが減便されて実習地へのアクセスが困難になってしまうことがあります。交通費の負担を軽減するため、遠方に出かける際はスクールバスを利用していますが、運転士不足で予約が取りにくくなっています。さらに、増加傾向にある野外活動の経験が乏しい学生に適切に対処する必要があります。こうした状況の変化に応じて指導方法を工夫し、新たな見学先を開拓し続けなければなりません。今回の受賞を骨の折れる作業に取り組んできたことが評価されたものと受け止め、それを励みに今後もベストティーチャー賞の名に恥じぬよう教育に取り組んでまいります。
- 根路銘 安仁
- 医学部
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この度、令和4年度鹿児島大学ベストティーチャー最優秀賞を授与いただき、大変光栄に感じております。この度の受賞にあたりまして関係各位に感謝申し上げます。
私は、鹿児島大学出身者で医学部医学科を1995年に卒業後、県内で小児科医として臨床に軸足を置いていましたが、2007年から医歯学総合研究科離島へき地医療人育成センター、2017年に現在の保健学科の成育看護学講座の教授になり教育に軸足を移してきました。小児保健分野を専門に幅広く、医学・保健分野を教育しています。教育に軸足を移して以降、私自身が教育を学ぶ機会を提供して育ててくれたた鹿児島大学には大変感謝しています。私と同じように、ぜひ、教育環境の整った鹿児島大学で多くの学生が学んでいってもらいたいと思いますし、私自身も貢献したいと思っています。
保健学科に異動してから毎年講義スライドの新規作成や修正や、講義スタイルの修正を行ってきました。今回、受賞させていただいたのは、やっと学生さんにも評価してもらえるような教育ができるようになったと思うと、とても嬉しく思っています。 学生の教育においては、私自身が鹿児島大学で学んだこともあり、自分自身が学生時代にどのような教育を受けたかったかを考えて実践しています。そのため、学生に提供するのはもちろん知識も重要ですが、その知識を得ることによってどのように役立つのかなど面白いと思わせることができるのかを大事にしており、自身も学ぶ楽しさを忘れないようにしています。
しかし、30年前と学生の環境も違い、価値観も異なってきているため、学生からの意見を聞く双方向性を大事にしています。その点、現在はManabaやResponなど学習支援システムが整備されてとても教育しやすい環境になったと思います。また、新型コロナで大変でしたが、Zoomでの遠隔システムやon demandの学修環境の選択肢が増えたことも、とても教育しやすい環境になったと思います。お陰様で、自身も桜ヶ丘キャンパスは離れていますが、本学のFD活動にも参加できるようになりました。
教育に携わるようになって、学会等の教育講演を聞く際にも、その学問的な内容も興味深いですが、どのように内容を伝えるのかを工夫しているのにも興味を持って聞くようになりました。今のスタイルも、自分が良かったと思う先生方のいいところを真似をしていることが多いです。
今後、九州でも2番目に学生数の多い国立大学として、学生間も教員間も学際的な教育ができるようになっていければと考えています。今後も自身の教育スタイルを改善をしながら、学生さんに役立つ教育を行い、鹿児島大学の発展のため精進していきたいと思いますので、ご支援のほどどうぞ宜しくお願いいたします。
- 共通教育センター(社会人基礎力演習教員チーム:大前 慶和・藤村 一郎)
- 総合教育機構
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この度は「社会人基礎力演習」という授業を対象に、担当教員チームとしてベストティーチャー最優秀賞をいただくことができ、大変光栄に存じます。関係の皆様に、深く感謝申し上げます。今回の受賞は、担当教員チームにとどまらず、我々の所属する総合教育機構としても意義深いと考えています。
総合教育機構は、全学横断的教育プログラムの枠組みとして「地域人材育成プラットフォーム」を提供しています。令和5年度からは最短2年間の学修にてプログラムを修了することが可能となりました。現在のところ、「キャリア教育プログラム」「地域リサーチ・プログラム」「グローバル教育プログラム」の3つの教育プログラムが走っています。いずれのプログラムも指定された16単位を修得すれば修了となります。共通教育科目および各学部で開講されている専門教育科目の他、総合教育機構が提供している高度共通教育科目によりプログラムが構成されており、「社会人基礎力演習」は「キャリア教育プログラム」専用に我々教員チームが開発した高度共通教育科目となっています。
「社会人基礎力演習」の授業構想は、暗記学習を排除できないか、従来の授業イメージを覆すことができないかと考えることから始まっています。もちろんながら知識・スキルの蓄積、あるいは暗記に意味がないというわけではなく、学びの主眼を知識・スキルの活用に置きたかったのです。ですので、知識・スキルを後から見直せるように、まずは多くのメモを取るように受講生の指導をしています。その上で、それら知識・スキルを大いに活用でき、受講生に内在している社会人基礎力を引き出せ、自己肯定感を向上させられるような場の提供を行っています。無理やりやらせる・勉強させるといった場ではなく、受講生が自発的に参加したくなるような場である必要がありました。よって、「社会人基礎力演習」は、教育コンテンツのユニークさのみならず、学ぶ楽しさの演出にもこだっています。こうした思い切った授業デザインは、リベラルアーツにこそ適合的なのだと解釈できます。
授業は4週にわたる集中講義形式で、その運営スタイルは毎週、いや毎授業時間、徐々に変化させています。経営学を利用した講義を通じて現代の企業社会で求められる人材像をイメージすると共に、協働能力の基礎を身につける授業が起点です。その後は様々なグループワーク・実践を通じて協働能力を磨き、さらには創造力も鍛えられるようにしています。最終週のグループワークでは、鹿児島の地元企業の社長様にご協力いただき、よりリアルな経営課題に取り組む機会も用意しています。また、最初は教員の関与を強くしていますが、徐々に受講生主体の授業運営に変化もさせます。授業終了後のアンケートを見ると、受講生の多くが「楽しかった」という感想を残してくれており、「自然と発言できるようになっていた」「自分にもできる、やりたいと思えるようになった」など、自己の成長を実感している様子もうかがえます。我々教員は、学生を教えているという感覚よりも、学生の潜在能力を引き出すのだというイメージを強く抱き、授業に臨んでいます。
以上のように、「社会人基礎力演習」は、一味違う授業に仕上がっていると自負しています。今回賞をいただいた授業担当教員チームは2名でしたが、共同担当教員が増えつつあり、より充実した授業実施ができるようになってきました。共同担当教員からは「共同担当したことが最高のFD活動だ」とのコメントを頂戴しており、勇気づけられます。どうかこの「社会人基礎力演習」を多くの学生に受講してもらいたいと考えています。そのためには、「キャリア教育プログラム」あるいは「地域人材育成プラットフォーム」に興味を示す学生を増やす必要があります。今回の受賞を機に、より多くの学生と共に学び合えればと期待しています。
ベストティーチャー賞
- 大薗 博記
- 法文学部
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この度は、ベストティーチャー賞にご選出いただき、ありがとうございます!
まずは、よくわからない顔写真ですみません(笑)最近、心理学系機関誌のコラム掲載用に撮影した写真があったので。とはいえ、この写真も今回のベストティーチャー賞をいただいたことと無関係ではないかもしれません。私は、マジックが趣味で(学生時代はハトを出していました。今は、マジック関係の研究も少ししています)、「心理学概論」などの授業の中で内容に絡める形でマジックをお見せすることもあり、それが受講生からの評価につながっている面があるかもしれないので。
それ以外で評価されている点をアンケートから読み取ると、総じて双方向のやり取りへの評価が高いようです。具体的には、①レスポンやGoogleフォームを通じた心理学実験デモへの参加と即座のフィードバック、②LINEのオープンチャットを利用して授業中も常に匿名でメッセージを送信することができ、こちらもなるべくそれに応対すること、③授業後のミニッツペーパーに来た質問に対して、manaba上で毎週返答することなどです。100名以上の受講生を対象とした講義なので、どうしても一方通行になりがちなところを、少しでもインタラクティブにしようと、色々工夫していることがこうして評価につながっていることを、うれしく思います。これからも、学生の皆さんの学びにつながることと自分が楽しむことの両立を目指して、色々試していきたいです!
- 浅野 陽樹
- 教育学部
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この度はこのような賞をいただき大変光栄に存じます。選考に関わってくださった皆さま、そして受講生の皆様に感謝申し上げます。
ふり返れば、授業内容に興味を持ってほしい、学生の成長を感じたいという想いで授業内容と方法の改善を図ってきたことが、学生とともに高い満足感を得ることにつながったのだろう思います。
以下、学生の学び対する願いと、そのための工夫について紹介します。
1. 教師になった際に活用できる専門性を修得してほしい
きっかけは、教室で教えたはずの種まき理論・方法が直後の畑での実践時に活用されなかったこと、試験で合格
し修得したはずの知識や理解が2か月後の実習時に思い出されなかったことです。これでは教師になった際に使え
ない」と心の中で学生に謝罪したの思い出します。
この課題を解決したい想いを胸に技術科や生活科等の教育現場を見聞きすることで、学んでほしい専門的な内容
が整理され、後述する講義の工夫へと繋っています。
学生には、授業や実習を通して、作物栽培の現場で関連する知識を思い出し、理論的に考察し対応策を考えられ
る技能、また子どもの言動を多角的に読みとり、個に応じた対応を考える態度と技能を習得してほしいと願ってい
ます。
2. 具体的な場面をイメージしながら学んでもらう
活用できる専門性の修得には、将来活用するだろう場面を具体的にイメージしながら学ぶことが重要ですが、
経験の浅い学生にとっては難しい学び方だろうと考えています。
そのため、学校現場で見聞きした実際を紹介し、あるいは実際に起こりうる課題を考える学習を毎授業で設定し
ています。また、学生の教育実習校の実践や学部のほかの講義内容を紹介したり関連付けたりすることも有効だろ
うと考え、積極的に情報を集め紹介しています。
3. 知識は教えて、活用方法は考えてもらう
深い理解に基づいた知識の獲得と合わせて、その知識を活用する訓練を大切にしていることは先に述べたとおり
です。
知って理解しておくべき内容は、自分で調べて獲得するように仕掛けることもありますが、基本的にはしっかり
教えています。知識の定着と理解の補足は、講義中においては学生同士で説明し合う活動、講義外ではmanabaの
ドリル問題を活用した自習で進めています。その上で、それらの知識を活用する具体的な場面を設定し、数人で
考えたり議論したりする学習を設定しています。
4. 座学でも体験的な学びを提供する
実習がセットになっていない工作や栽培を含む講義においても、学生自身の体験に基づいた学びを大切にして
います。
特に生活科の講義では、子どもたちと同様の学び、すなわち自身の体験を基に自己分析を通して学 ぶといった
構成で取り組んでいます。時には私が学生の行動を分析し、私自身の体験も交えて考察したりします。1回目の講
義と15回目の講義で同じ質問を考えてもらっていますが、ほとんどの学生が自己の成長を実感し記録していま
す。
以上、授業改善の動機からその工夫について紹介しましたが、実際の授業は学生との対話の中で進めており、手ごたえのある授業ができるのはそう多くはありません。学生の興味・関心、私の体調、内容の難易度等で様々です。引き続き、常に満足いく授業ができるよう、また受賞に恥じない授業を提供できるよう改善していくことを宣言して終わりにしたいと思います。
- 工学部(福原 稔・大髙 武士)
- 工学部
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この度、令和4年度鹿児島大学ベストティーチャー賞にチームとして認定していただき、誠に有難うございました。また、推薦の基礎資料となる「流体力学基礎及び演習A&B」の「学生による授業評価アンケート」の記入に協力してくれた工学部先進工学科機械工学プログラム受講生の皆さんへ感謝いたします。
「講義では受講生が独学にて予習復習できるよう心掛け、演習では受講生間で共学できるよう心掛ける」という教育方針の下、教育支援しています。講義時間(遠隔形式)には、テキストを用いて復習・予習も含めて概説し、演習時間(対面形式)には、TAが主体的に演習指導を行う中で、教員はレポート提出状況の悪い受講生を対象に個別に指導しています。また、受講生は2クラスに分かれて少人数教育を受ける中で、教員はチームとして演習問題および参考資料の作成も丁寧に担当しています。演習課題の理解に乏しい受講生のため、解説動画を作成し、manabaにて時間外でも学習できるよう提供しています。このように教育効果の高い授業を実践し、かつ多様な教育上の工夫に取り組んでいるため、受講生による高い評価を得たものと考えています。今年度も受講生の学習において求めている内容を注視しながら、引続き、チームとして受講生の学習成果の向上に向けて研鑽を積んで参ります。
- 橋本 雅仁
- 理工学研究科(工学系)
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ベストティーチャー賞を授与いただきましてありがとうございました。今回評価対象となった授業は、大学院生を対象としてオンデマンド形式で実施したものです。当初は必要に迫られてオンデマンド形式に変更して実施していましたが、授業内容によっては最適な実施方法となりうるということを今回の受賞によってあらためて実感しました。過去を振り返ると、「授業はこのようにするもの」という固定観念があったようで、自分では改善したつもりでもそれほど最適化ができていなかったのではと思います。授業にはさまざまな方法がありうるということを念頭に置き、学生にとって有用な授業を実施できるように今後も努めてまいります。
- 髙山 耕ニ
- 農学部
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思いがけない受賞で大変驚いています。
推薦にあたってご尽力いただいた学部FD委員の皆さま、そしてお忙しいところ選考いただいた佐野学長をはじめ、理事の皆さまにも深く感謝申し上げます。
私は動物行動学をベースとした「家畜や野生動物の管理」について授業を行っています。 この授業は畜産を専攻する学生だけでなく、植物生産や農業経営を専攻する学生も多数受講しています。
普段なかなか目にする機会のない、家畜や野生動物の行動を動画などで紹介しながら授業を進めように心がけ、少しでも学生が授業内容に関心を持ち,学び深めるきっかけになればと考えています。
また、毎回manabaを通じて質問を受け付け、それを次の授業の冒頭で全員に回答するようにしています。
これは、学生の授業に対する理解度が深まればと思って始めたことですが、むしろ私の説明が至らない点を学生から教えてもらうこととなり、授業を改善するヒントとしています。
このように私は学生とのやり取りを楽しみながら授業を進めており、学生には授業を通じて家畜を飼う楽しみや野生動物と共生することの大切さを感じてもらえればと思っています。
- 大岡 唯祐
- 医学部
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この度は、令和4年度の鹿児島大学ベストティーチャー賞に選んでいただきましたこと、大変光栄に思います。ご推薦いただいた学生の皆さま、また、候補者として選出いただいた医歯学総合研究科のFD委員の皆さまにも改めて深謝いたします。
私が主に担当しているのは医学科2年次の「微生物学」の講義・実習です。「微生物学」は3年次に学習する「感染症」とは異なり、"感染症"の原因となる"微生物"をより深く理解し、「感染症」を学ぶ前に"病原微生物を正しく恐れる"ことが出来るようになってもらう事を目的としています。ただ、微生物は基本的に"目に見えないもの"なので、学生にイメージしやすいような工夫が必要です。そのため、講義・実習においては以下のようなことを行っています。
講義での工夫
講義前:視覚的に記憶に残りやすいよう図表や写真を多く使って作成した「要点をまとめたレジュメ」や「病原機構や臨床症状のスライド」を事前に公開し、学生が積極的に予習出来る環境を作っています。
講義時:事前に公開した資料を示しながら、より細かな説明を追記していき、学生自身が付帯情報を資料に書き込むことでアクティブ・ラーニングを促しています。また、項目毎に問題を提示し、理解度の確認を行っています。
講義後:webアンケートを利用し、講義で学んだ点や質問を学生に記入してもらい、全員からの質問とそれに対する回答をQ&Aとして公開し、学生全員が共有出来る環境を作っています。このアンケートを用いた質問受付は、直接質問に来ることに躊躇しがちな学生の持つ疑問の解消にも繋がっているのではと考えています。また、「講義内容が難しかった」という指摘があった場合には、必要に応じて資料を追加し、次の講義で補足説明しています。
実習での工夫
実習前に、実習の目的や原理を理解できるような資料を作成・配付し、実習時の説明にも利用しています。医学科の実習は120人と多く、実習手技の個別での指導が困難であるため、各実習項目について、使用器具や作業工程および細かな注意点を付した動画を作成し、作業前にスクリーンに映しながら説明しています。また、作業中も映像を流し続け、随時手技を確認できるようにするとともに、時間があるときは常に学生の中に入って質問しやすい環境を作っています。
話は変わりますが、医学部は医師国家資格を取得するために学習することを目的とした学部であり、他学部のように卒業論文で学生が配置されることはないため、基礎講座で研究を行ってくれる学生をリクルートすることは非常に難しいのが現状です。私は「微生物学」の講義・実習は、学生に自分の知識を伝える場であるとともに、自身が行っている研究の楽しさをアピール出来る場であると考えています。そのため、実際の講義・実習では、授業内容から脱線して雑談(全く違う話や研究の話)をしたり、実習中に学生の中を回って話しかけたりすることで、質問に限らず、学生が何となく話しかけやすい環境を作ることを心掛けています。その効果もあってか、現在、2年次「微生物学」の講義・実習を通して、微生物学の基礎研究に興味を持ってくれた学生3名(現、医学科4年生)が選択科目である自主研究を選択し、私の研究を一緒に進めてくれています。
最後に、今後も講義・実習をよりバージョンアップしつつ、学生とともに楽しく教育・研究をすすめて参りたいと思います。
- 内藤 清惟
- 共同獣医学部
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この度は、この様な素晴らしい賞を頂き誠にありがとうございます。ベストティーチャー賞に選出いただけたことを、大変嬉しく、また誇らしく思っています。鹿児島大学に赴任してから5年間、手探りの中で試行錯誤をしながらブラッシュアップしてきた講義・実習が、学生や教員の皆様から評価していただけたことは、本当に嬉しく、今後の励みになります。
私の講義・実習は基礎的な科目が多いことから、できるだけ分かり安い言葉と表現を意識して行なっています。特に専門的な内容は、文字だけでは学生がイメージを持つことが難しいため、可能な限り絵や動きのある講義スライドを準備するように心がけています。 また、教員になってからは講義・実習に対して指導を受ける機会が少なく、どのように改善すれば学生にとって分かりやすいものになるか、客観的に判断することが非常に難しいと感じています。そこで私は、毎回の講義・実習の後に必ず学生からアンケートを取るようにしています。なるべく辛辣な意見を書いてもらうようにしており、学生からの「早口で講義についていけない」、「どこどこのスライドが分かりにくい」などのコメントを参考に、これまで講義・実習のブラッシュアップを行なってきました。この学生からのフィードバックを元にした授業の改善が、今回のベストティチャー賞につながったと思っています。