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ベストティーチャー(令和5年度)

 鹿児島大学では、本学の教育実践に顕著な成果をあげたと認められた教員に対して、その功績を表彰し、本学教員の意欲向上と、大学教育の活性化を図ることを目的としたベストティーチャー賞制度を平成30年度から設けています。
 このページでは、令和5年度に受賞した教員の授業に対する心がけや創意工夫を行っている点などについてのコメントを紹介します。

ベストティーチャー最優秀賞

  • 木山 良二
  • 医学部保健学科
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  •  この度、ベストティーチャー最優秀賞という名誉ある賞を授与いただき,大変光栄に思います。これまでご指導いただきました学内外の先生方に深く感謝申し上げます。
     私が担当する講義や演習は、主にヒトの運動とその運動を用いたリハビリテーションに関するものになります。授業では知識をただ伝えるだけでなく、学生自身が体感し、リハビリテーションとの関わりを感じられるように努めています。体感することで知識の理解を容易にし、これまでに学習した知識と関連付けることで,実践で使える知識として深化すると考えています。
     授業中の学生の反応を見ると、自分の授業の善し悪しを感じることができ、何よりの授業への評価だと感じています。また,私たちの専攻では、4年生が19週間の臨床実習を行います。臨床実習を終えた学生に、臨床実習で活用できた知識や不足していた知識や技術について確認することで授業内容のバランスを確認しています。時には厳しい評価を耳にすることもありますが、これらのフィードバックを大切にしながら,授業内容の見直しを続けていきたいと考えています。 
     また、私は大学院でもヒトの運動解析や運動療法に関する研究に取り組んでいます。大学院生が臨床で感じた疑問等をテーマとし、課題を解決していく過程を通じて、臨床家としても研究者としても成長することを目指しています。大学院での研究成果の一部は学部教育にも活用しており、良い循環が生まれつつあると感じています。 
     今後も学生の反応を大切にしながら、学部生と大学院生の教育に努めていきたいと思います。これからもご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

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  • 坂巻 祥孝
  • 農学部
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  •  私の授業を高く評価いただきありがとうございます。
     推薦書類を準備いただいた農学部FD委員の皆さま、難しい選考をしていただいた佐野学長をはじめ、理事の皆さまにもこころより感謝申し上げます。
     今回受賞対象となった授業は「害虫学」という授業で農学部では2年生後期に開講される授業で植物生産系志望の学生以外にも農業経営や畜産系志望の学生も多数受講しています。主に農業にかかわる「害虫」について解説し、その防除法まで含めて講義していますが、基礎的な「一般昆虫学」にあたる部分も網羅するように心がけています。鹿児島大学農学部に「昆虫学」の授業がないため、まず初めに、この部分を概説しながら、受講生が日常的に見かける「虫」とのかかわりについて考えてもらうためです。日常的に見かける虫は「暮らしのおじゃま虫」とみなされる場合が多いのですが、そんな虫たちにも家族を守ったり、恋愛をしたり、欲望に抗えないことがあったり、と親近感を持てるような性質を持ったものもいます。このような点をはじめに紹介することで、少しでも学生が害虫について学ぶことの嫌悪感が減らことで、奥深い害虫学分野の入り口に立ってくれる学生が増えるものと考えています。
     農学部の受講生は授業中に積極的に挙手して、その場で授業の疑問点などを質問してくれることはありません。そこで、授業では、毎回ミニッツペーパーを配布してその日の感想と質問を手書きして、授業終了時に提出してもらっています。これらの質問に対する回答は、次の授業の冒頭で全員に回答するか、あるいはmanaba上に「第X回ミニッツペーパー質問への回答」として、質問と回答を書いたPDFファイルをアップロードするようにしています。この回答を楽しみに授業に出て来て、一生懸命ミニッツペーパーを書いてくれる学生が増え、結果的に出席率は初回から最後まで高い水準を維持できました。120名の受講者がいるので、日常的に全員と密にコミュニケーションをとることは困難ですが、ミニッツペーパーを介したコミュニケーションをとることで、学生の授業に対する理解度も深まり、同時に私の説明の不備などを学生さんが指摘してくれることもあるので、授業を改善するヒントとなっています。
     「害虫学」を15回担当したのは昨年度が初めてで、私と受講生とのやり取りが十分だったかはわかりませんが、昆虫と人間とのかかわりに興味を持ってもらえればと思っています。

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  • 辻尾 祐志
  • 共同獣医学部
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  •  令和5年度のベストティーチャー賞最優秀賞に選考いただきまして、誠にありがとうございます。学長をはじめとする選考委員の皆様、共同獣医学部の先生方、そして何より私の授業を受講しこのような評価をしてくれた学生の皆様に深く御礼申し上げます。
     私の担当する講義・実習は、獣医解剖学、獣医組織学です。解剖学は医学・獣医学における基礎系科目の一つであり、ここから繋がっていく病態系科目、臨床系科目の入り口となる学問です。英語圏の方とコミュニケーションを取るためには英語を学ぶ必要があるように、獣医師になるためには解剖学を学ぶ必要があります。しかしながら、膨大な量の専門用語や構造についていざ目の当たりにすると、辟易するのが本音ではないでしょうか。そんな解剖学の奥深さ、重要性を一つでも多く知識として吸収していただくために、私の授業が役立っていたらうれしく思います。
     私の授業で気を付けていることは、滑舌よく話せているか、学生目線で分かりやすい説明か否か、メリハリのある内容か、目で見てわかるものをきちんと提示できているか、です。先生方にとっては、ある意味分かり切った内容を講義するわけですから、難解な内容でもついこれくらい分かるだろうとしがちではないでしょうか。そういった内容をできる限り時間を割き解説し、本当に簡単な内容を短くまとめ、緩急をつけることを意識しています。また、学生との余談の中に講義と関連することはないか、分かりやすい例は身近にないかを探して授業に取り入れ、理解度の向上に努めています。
     とはいえ、私も自身の授業に対し、まだまだこれが正解だと思っておりません。このような栄えある賞をいただいたことに慢心せず、これからも教育、研究に精進していきたいと思います。

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ベストティーチャー賞

  • 小野 智司
  • 工学部
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  •  この度は令和5年度鹿児島大学ベストティーチャー賞にお選びいただき、ありがとうございました。 選考をすすめていただいた教職員の皆様、また、講義を受講してくれた学生の皆さんに深く感謝いたします。
     私は工学部先進工学科情報・生体工学プログラムにおいて、プログラミング言語や人工知能に関する科目を担当しております。 学部教育においては、学生の皆さんが社会に出てICTAIに関する事業の中心的な役割を担えるよう、暗記だけに頼らずに自ら「考える」ことができるようになる、そのきっかけを見出してもらえるような講義を行っています。
     プログラミングは得意不得意が別れる講義ですので、不得意な学生も自分のペースで取り組めるように、また、得意な学生は講義外のことに時間を使ってもらえるよう(できれば独自のアプリやサービスを開発してもらったり、開発コンテストに挑戦してもらいたいと考えています)、工夫を行っています。
     講義自体は反転授業とし、講義中は小テストとグループ学習のみを行います。講義映像は事前に視聴してから授業に臨むようにお願いしており、わからないところは繰り返し視聴でき、コードを書く速度が速くない学生も、一時停止や巻き戻しをしながら自らのペースで取り組めるようにしております。 小テストは毎回、学生個人にフィードバックのコメントを送るとともに、解説の映像を作成して受講者に公開しています。 小テストの出来がよくなかった学生には補填課題に取り組んでもらい、小テストの点数に少し加算を行っています。
     よく受講生の皆さんからは「内容が難しい」と言われます。 重要なポイントに焦点をあて、時代の変化とともに重要度が低下した内容は切り捨て、なるべく丁寧な講義を心がけています。 一方で、資格試験の内容をもとに、徒に授業内容を平易化しないように注意を払っています。 今後は、プログラミングの「楽しさ」をより味わってもらえるような講義にしたいと考えています。

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  • 山口 明伸
  • 理工学研究科(工学系)
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  •  令和5年度鹿児島大学ベストティーチャー賞に選出いただき、誠にありがとうございます。学生、教員、事務職員の皆さまをはじめ、全ての関係者の皆さまに心から深く感謝いたします。
     私は、工学系の海洋土木工学プログラムで、建設材料学、コンクリート工学を研究対象としています。
     現在担当している講義は、今回推薦いただく切っ掛けとなった大学院科目の「コンクリート構造特論」の他、学部科目の「材料力学基礎」「コンクリート構造設計学」などの土木工学の専門科目、さらに「工学倫理」や「デザイン工学」などの技術者教育や、「進取の精神海外研修inベトナム」などの全学共通科目、時々は一般向けの公開講義や特別講義など、幅広い授業を担当させてもらっています。
     いずれの場合も、単に知識や理論、解法などを理解するだけでなく、その内容が実社会の中でどのように活用されているか、あるいは、今後自分がどのように活用できるか、をイメージできることが重要と考えており、そのために、実務を模擬した演習や現場見学、実務者のゲスト講師を迎えての特別講義やグループディスカッション、反転授業など、試行錯誤ながらもアクティブラーニングを進めています。
     今回の受賞は、これまでの取り組みとその成果を評価いただいたものと感謝しておりますが、まだまだ工夫と改善の余地はあると思っております。本学の学生の皆さんが、多様化するグローカル社会で活躍する21世紀型スキルを備えた人材に成長するための一助となる有意義な授業を提供することを目標に、引き続き努力してまいります。

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  • 佐藤 達雄
  • 医学部医学科
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  • 変革時代の授業を模索する ーベストティーチャー賞を受賞してー

     この度、令和5年度鹿児島大学医学部医学科ベストティーチャー賞に選ばれたことを大変光栄に存じます。ご推薦頂いた皆さま、特に、私の試みを評価して下さったFD委員の先生方に、心より感謝申し上げます。

     私が薬理学教室に着任したのは、コロナ規制が解除された令和4年度のことです。コロナ禍を経て、大学講義の在り方についての考え方が大きく変わり始めています。大講義室で知識を伝達する型の対面講義は本当に必要なのか?(Courseraなどの)専門家によるオンライン講義の方が教育効果が高いのではないか?といった問いが繰り返し提起されています。この問いに明確な答えを出すのは難しいですが、科目の内容や学生のニーズ、学部の教育方針、そして利用可能なリソースによって最適解は異なると考えています。こうした問いを常に自問し続ける姿勢こそが、これからの大学教育において重要であると感じています。

     薬理学の講義を初めて担当するにあたり、まず私が振り返ったのは、自分が医学部で受けた薬理学講義のことでした。25年前、私が受けた薬理学講義は、化学に重きを置いたものと生理学に重きを置いたもの、様々なものがあったと記憶しています。薬理学は薬と生体の相互作用を解明する学問であり、化学と生理学の両方が不可欠です。これが薬理学が薬学部と医学部の両方で教えられている理由の一つとも言えるでしょう。

     私たちの教室では、薬理学教育の目標を「病態生理学を通して薬物治療を理解すること」に設定しています。医学部2年生は薬理学講義までに既に生理学を履修しており、3年生では臨床科目でさまざまな薬物について学ぶことになります。薬理学講義では、これら生理学と臨床科目を橋渡しすることに重点を置き、化学的な内容は最小限に抑えています。講義は、まず疾患のケーススタディから始め、生理学を復習し、関連する薬物を学び、最後に薬物治療を考えるという構成です。この講義スタイルが薬学部などに最適かどうかは別として、医学部では非常に合理的であり、「医学部モデル・コア・カリキュラム」の垂直統合というコンセプトにも合致しています。

     近年、教育効果をエビデンスに基づいて評価する「Evidence Based Education」の重要性が叫ばれています。どのような講義方針を取るにしても、それが正しいアウトプットに結びついているかを評価するシステムの構築が必要だと感じ、薬理学教室では試験形式を大幅に変更しました。答案は紙ではなくxlsファイルで提出させ、少しのプログラミングで120人分の解答を素早く自動採点してデータ化できるようにしました。理解度を確認するのは、理想的には長文記述にて行うのが望ましいのですが、採点の負担を考慮して穴埋め式の問題を採用しています。試験を二回行うことも、採点の自動化により(学生には不幸かもしれませんが)負担が軽減されています。実際、中間成績が悪かった学生が最終試験でも改善しない傾向を把握できるようになりました。今年度からは、これを踏まえてさらなる介入策を検討しています。今後、数年分のデータが蓄積されることで、より詳細な解析が可能になると考えています。

     ある大学の薬学部では、生理学の「反転授業」が採用されています。学生が事前に講義ビデオを視聴し、講義時間内に演習を通して理解を深める形式です。アクティブラーニングの観点から学生の満足度は高いとされていますが、理解度に関しては従来の形式と大差がないという結果も出ています。私が感銘を受けたのは、この反転授業の先進性だけでなく、データに基づいて教育効果を評価している点です。私たちも教育を最適化するために、データに基づいたアプローチを見習いたいと考えています。 

     最後に、私が特に重視しているのは「一期一会性」です。対面講義の価値は何かと問われると、例えばoasis(再結成したばかりですが)のアルバムをダウンロードして聴くことと、地元のインディーズバンドのライブに行くことを比べるようなものだと感じます。oasisのアルバムは完成度が高くリスナーの満足度も高いですが、インディーズバンドのライブにはその場でしか味わえない高揚感があります(ここでは、oasisのライブのチケットは手に入らないという想定をしています)。対面講義の価値もまた、そうした躍動感にあると考えます。私の講義では、教室内を歩き回りながら学生に問いかけ、時には漫談のようなエピソードを交えてライブ感を大切にしています。

     ベストティーチャー賞をいただいたことを励みに、現状に満足せず、今後も常に進化し続けていきたいと思っております。

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  • 稲田 絵美
  • 歯学部
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  •  この度は、令和5年度の鹿児島大学ベストティーチャー賞を受賞することができ、大変光栄に思います。学生の皆さんからの評価をいただき、このような賞を受けることができたことは、私にとって非常に励みになります。また、候補者として選出いただいた医歯学総合研究科のFD委員の皆さまにも改めて感謝申し上げます。
     私が担当する「小児歯科学」および「障害児(者)歯科学」の授業では、視覚素材や動画を活用して学生さんの理解を促進するよう工夫しています。例えば、小児の成長過程や疾患の対応方法を図や表、症例写真で説明し、学生さんが具体的にイメージしやすくなるよう努めています。また、診療風景の動画を用いて、臨床に直結する教育を意識しています。
     さらに、国家試験対策を意識した講義と実習を行っています。講義では過去問を取り入れ、試験対策を強化しています。模型実習では臨床に近い環境を整えることで、学生さんがスムーズに臨床実習を開始できる環境を整えました。また、キャリアプランの形成促進と学生さんとの交流も積極的に行っていま
    す。講義内でキャリアプランに関する情報を提供し、大学院進学や専門医取得の選択肢を学生さんに示しています。さらに、個別相談を通じて、学生さんの悩みや不安を聞き、助言を行うことで、学生さんの学習意欲を高めることを目指しています。
     この受賞は、私一人の力ではなく、同僚の教員、そしてサポートしてくださった全ての方々のおかげです。同僚の教員の皆様からのご指導とご支援にも深く感謝申し上げます。さらに、教育環境の整備や運営に携わってくださるスタッフの皆様のご協力にも感謝の意を表します。これからも、学生の皆さんがより良い学びの環境で成長できるよう、教育方法の工夫や改善に努めてまいります。

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