日本と韓国のことわざを比較する
日本に昔から言い慣わされてきたことわざがあるように、韓国にも俗談(속담ソクタム)と呼ばれることわざがあります。その中には、티끌 모아 태산(塵集めて泰山)、천리길도 한 걸음부터(千里の道も一歩から)、좋은 약은 입에 쓰다(良い薬は口に苦い)、도토리 키 재기(どんぐりの背比べ)などのように、日本のことわざと共通するものもたくさんあります。もちろん、日韓のことわざには異なる面もいろいろとあります。例えば、日本では「言わぬが花」ということわざがあって、思ったことをすべて言ってしまわない方が賢明なことだと考えられていますが、韓国では고기는 씹어야 맛이고 말은 해야 맛이다(肉は噛んでこそ味があり、言葉は言ってこそ味がある)ということわざがあるように、思ったことははっきり言ってしまった方が良いという考え方が優勢です。このように、ことわざにはそれぞれの国の国民性や価値観が反映されている面があります。ですから、ことわざは異文化理解の手掛かりの1つと考えることができます。
このような、日本と韓国のことわざの共通点や相違点を、ことわざスペクトル(*1)という考えに基づいて様々な角度から明らかにしようとするのが私の研究テーマです。それぞれの文化のことわざには特徴があります。将来的には、日本と韓国のことわざだけでなく、どの文化のことわざも比較することができるような方法を模索しています。ことわざを教えるための授業は持っていませんが、「異文化理解入門」の授業の中で、韓国のことわざをいくつか紹介しながら、韓国の文化についてお話ししています。
外国語学習のための心構え
授業では韓国語を担当しています。日本と韓国の間には様々な問題がありますが、それらを克服して相互理解を深めるためには、お互いの言語を学習することが重要です。外国語学習は異文化理解のための最も確実な方法です。せっかく韓国語を勉強しようと決めた学生の皆さんには、単に進学や卒業に必要な単位のために習うという消極的な目的のために習うのではなく、大学の授業で実用的な韓国語能力を養えるように、授業計画を立て授業に当たっています。そのためには、3つのことを信じてもらわなければなりません。
1つ目は、習おうとすること、つまり韓国語を信ずることです。韓国語が使えるようになれば自分にとっていいことがあるはずだと信じることです。最近は韓国ドラマやKポップへの関心から韓国語を習う人が多いのですが、外国語が使えるようになれば、それよりはるかに意義深い結果が得られるはずです。
2つ目は、教師を信じることです。教師と学生の関係は教える人と教わる人のような関係ではなく、授業を共に作り上げていくパートナーとして相互の信頼関係が何よりも重要です。授業中のやりとりだけではなく、課外指導や韓国語ラウンジ(写真参照)の活動などを通じて、コミュニケーションをしっかりとれるように努めています。韓国語ラウンジには韓国人留学生たちも参加し、気軽にいろいろ話し合える環境を作っています。また、交換留学制度を利用した韓国への語学留学も推奨しています。
3つ目は、そしてこれが最も重要なことですが、自分を信じることです。よく自分には外国語能力がないと言う人がいますが、それは錯覚に過ぎません。言葉は誰でも覚えられます。潜在能力に個人差はありません。もちろん、様々な理由で学習速度には個人差がありますが、誰でもやればできるし、やらなければ誰もできません。韓国語に「하면 된다ハミョンデンダ」(なせばなる)という言葉があります。自分を信じて頑張れば必ずできるはずです。
用語解説
(※1)それぞれの文化のことわざは、よく知られ使われているものから、ほとんど知られても使われてもいないものまで、さまざまに「重み」の異なることわざの集まりであるとする考え方。