「作物栽培」と「土づくり」を学習する教材の開発
皆さんは小・中学校でどんな植物や作物を栽培したか覚えていますか?アサガオやミニトマトなどが思い出されますね。では,それらの栽培でどんなことを学んだか考えたことはありますか?先生方は,自然や命あるものを大切にする心情や態度を培いたい,作物を栽培する技術が生活や社会を支えていることを深く理解してほしいといったねらいを持って授業を計画しています。
一方で,作物栽培の近代技術は,食料問題やエネルギー問題とも深く密接に関わっています。日本の食料自給をどのように支えていくか,太陽エネルギーを食料に変換する作物の能力をいかに化石燃料を消費せずに発揮させるかといった課題の解決も栽培学習で学んでほしい内容です。小・中学校では,これらの課題を解決できる素地を体験的に学んでおくことが大切です。
このような作物栽培における学びを効果的に実践するための学習教材を開発し,提供することを目指しています。そして,この作物栽培の中で最も注目すべきは土づくりだと考えています。なぜなら,作物栽培の神髄は土づくりにあると言っても過言でなく,また身土不二という言葉に示されるように我々の体は元をたどれば土だからです。
研究内容
小学校と中学校それぞれを対象にした教材を開発しています。
小学校では,残食や調理くずから微生物の力をかりて堆肥を作り(コンポスト化),その堆肥を使って野菜を栽培し,収穫して調理して食べる一連の活動を通して,物資循環や命のつながり等を学べる教材を開発しています。この提案する教材は,専門家のサポートがなければ実践するこが非常に困難で,また効果的な学習方法も研究段階にあります。そのため,子ども主体の管理でも失敗しないコンポスト化の方法,作ったコンポストの良し悪しを小学生でも評価できる生物検定法,いろいろなコンポストの活用方法,各活動の教育的効果について研究しています。
中学校では,保水・排水・通気性に注目した土づくりを目指して,自ら行った土づくりの効果が目で見てわかるような教材を開発しています。具体的には,栽培するための培土を,ペットボトルを加工して作った評価装置を使って改善し,調製した培土を用いて作物を栽培することで土づくり技術の効果を生徒自身で確認できるというものです。そのために必要な土壌改良資材の性質や簡易評価方法を研究しています。